読み切り作品

ショート集 AIイラスト共に

胸の中の花火

​7月もそろそろ終わりを迎えるある日の夜。美しく整えられた庭園は、菊正宗家所有の別荘地にあった。微かに聞こえてくる祭り囃子は、地元で行われている夏祭りで、トリを飾る花火が今宵のメインイベントである。おそらくは、多くの人たちがそれぞれのポジシ...
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揺れる心は恋未満

太陽眩しい朝。ゆっくり瞼を持ち上げると、目に飛び込んできたのは、見慣れた友人の寝顔。そう……清四郎の穏やかな寝顔だった。​「はっ……??」​悠理は自らの目を疑い、一度ぎゅっと瞑ってから再び開いた。だが、現実が変わることはなく、清四郎は相変わ...
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二人きりの結婚式

場所はイタリア。ブドウ畑広がるトスカーナ地方の教会で、一組の結婚式が行われている。お互いの瞳を真っ直ぐに見つめ、誓いの言葉を交わす二人。純白のウェディングドレスが、教会のステンドグラスから差し込む光を受けて輝く。清四郎の手が悠理の指に優しく...
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雨は止まない

降りしきる雨は、二人の吐息さえも激しく打ち消していくようだった。​清四郎の腕の中に閉じ込められた悠理は、逃げ場を失った熱を清四郎にぶつけるように、その広い背中に指を食い込ませる。全身を濡らす冷たい雨とは対照的に、唇が触れ合う場所だけが、この...
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星空の下で

​冷たく澄んだ夜気が、豪華客船「オーロラ.スターズ」のデッキを撫でていた。岸を離れて数時間、フィヨルドの深い入り江を進む船は、まるで時間が止まったかのような静寂の中にある。​手すりに身を預け、悠理は空を見上げていた。まさしく満点の星空が広が...
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目の前の向日葵に

夜の熱気と、祭りの喧騒が少しだけ遠くに感じる木陰。提灯の穏やかな光が、二人のシルエットをぼんやりと浮かび上がらせている。恋人同士の時間。そこが何処であれ関係なく流れるもの。​清四郎は、悠理の浴衣姿から目が離せない。向日葵柄が、持ち前の明るさ...
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こうして始まった二人

その瞬間、悠理は息をのんだ。いつもの生徒会室(溜まり場)にある奥まった部屋。仮眠室に併設された書斎で、清四郎の鋭い眼差しが、彼女の瞳を射抜いた。制服の端正な襟が目の前に迫り、壁に押し付けられた背中は、冷たい木の感触を伝えている。​「……恋人...
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誰よりも、おまえを……(前編)

雨音が、格子戸の外で静かに響いている。​その日、街の路地裏でチンピラたちを蹴散らしていた悠理。その荒っぽい所作と、ふとした瞬間に見せる華やかな光と笑顔に龍炎は激しく心を奪われた。橘 ​龍炎は、冷徹なインテリヤクザとして巷で知られている。魅録...
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共に走ろう!

穏やかな陽射しが差し込む、ある日曜日の午後。剣菱邸には心地よい空気が流れていた。​清四郎は寝室のソファで、最近気になっていた小説を読み耽っていふ。その隣で悠理もまた、人気の音楽雑誌をめくっていたが、いつの間にかページから目を離し、夫の横顔を...
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甘い独占欲

すべての授業が終わり、学園には軽やかなチャイムが鳴り響く。しばらくして生徒たちはそれぞれ迎えの車に乗り帰宅の途につくのだが……部活に勤しむ者、もしくは勉学に勤しむもの達は、チャイムが鳴り止んでも学園に残っていた。廊下の突き当たり、図書室の少...