窓の外には都会の夜景が静かに広がっていたが、室内を支配しているのは、互いの体温と荒い吐息だけだった。
清四郎は、まるで手の中の壊れ物を確かめるように、悠理の頬を掌で包み込んでいた。
その瞳には、隠しきれない飢えと、深い情愛が混ざり合っている。
獲物を狙う猛獣のようでもあり、同時に唯一無二の存在を慈しむ慈愛にも満ちていた。
「お前が、欲しくてたまらない……」
低く、擦れた声が、悠理の鼓膜を震わせる。それは切実な渇望であり、命令よりも甘い呪縛のように悠理を捉えて離さない。
清四郎の唇が、もうすぐ悠理の唇へと重なろうとしている。
そんな清四郎の熱を帯びた瞳を見つめ返し、悠理は薄けるような笑顔を浮かべた。
その表情には、すべてを捧げても構わないという諦めに似た覚悟と、彼に愛される悦びが溢れている。
「いいよ……スキにしても………」
悠理の潤んだ瞳から涙がひとすじ、頬を伝い落ちた。
清四郎の手の中で、悠理の体は熱く火照り、高鳴る鼓動だけが響いている。
二人の距離は、もはや呼吸さえも分かち合うほどに縮まり、清四郎の抑えきれない渇望が、漂う空気を濃密に塗り替えていく。
彼の手が悠理の頬から首筋へと滑り落ち、その指先はまるで彼を自分のものとして刻みつけるかのように、力強く、しかしこれ以上ないほどの情愛を込めて肌をなぞった。
「……ずっと、こうしたかった……おまえを僕のものにしたくて、疼いていたんだ……」
清四郎の声は、欲望の深淵から響くような重低音となり、悠理の理性を霧散させる。
彼は悠理の顎を優しく、しかし確固たる意志で持ち上げ、その唇を執拗に求めた。

舐めしゃぶり、そして呼吸を奪う。
脳髄が痺れる感覚は互いに感じていただろう。
清四郎の腕の中で、悠理は初めて味わう興奮に身を委ねていた。
お腹の底が熱くなり、子宮へと響く。
剥き出しの情熱に晒され、重なり合う吐息はねっとりと混ざり合い、甘い熱となって二人を侵食していく。
悠理は、抗うことなど微塵も考えていなかった。むしろ激しく注がれる独占欲に、体の芯から満たされる幸福感を感じていた。
清四郎の肩へと手を回し、その強靭な体躯を自分の方へと引き寄せる。目尻に滲む涙は、愛おしさが頂点に達した証。
「清四郎……もっと…あたいを求めて………」
悠理の掠れた懇願を聞き届けた瞬間、清四郎の理性は完全に火を吹いた。
彼は悠理と共にべッドへとなだれ込み、思うがまま愛の奔流の中、溺れてゆく。触れ合う場所すべてが火傷しそうなほど熱く、互いの存在を確かるよう貪り合う接吻は、もう誰にも止められない情動だった。
二人は舌が痺れるまでキスをした。
そして……夜が明ける頃まで、満たされることのない渇きを互いの体温で埋め続けた。