窓から入り込む風に、わずかな秋の気配が混じるようになった。
あれから半年が経つ。
二人の時間は驚くほど自然に、そして深く溶け合っていた。
清四郎の寝室にあるお気に入りソファで、悠理は恋人の胸元に顔を埋めている。
少し乱れた髪を指で梳きながら、清四郎はその柔らかな温もりを確かめていた。
「…………なんか落ち着く。」

悠理が小さく呟き、浴衣の襟元をぎゅっと握りしめる。
タンクトップにショートパンツという無防備な姿が、清四郎の胸を甘く締め付けた。
ただただ愛おしさが込み上げてくる。
「こんな風に甘えてくれるのは大歓迎ですよ。」
彼女の細い肩に腕を回した後、少しだけ強く引き寄せ、清四郎は大きく息を吸い込んだ。
本棚に整然と並ぶ古書とデスクに置かれたランプの明かりが、静かな時間を琥珀色に染め上げている。
以前のようなぎこちなさはない。
春の香りと、初夏の風。
それらを潜り抜け、今は確かな信頼と互いを慈しむ心だけがあり、二人は充分に満たされている。
「ねえ、明日………どっか行こうよ。」
悠理が顔を上げ、少し上目遣いで清四郎を見つめる。その無垢な瞳に映る男の顔は、かつて想像もしなかったほど穏やかなものなのだろう。
「どこへでも。行きたい場所へ連れて行きますよ。」
清四郎はそう言って、満足そうな彼女の鼻先に優しくキスを落とした。
季節が巡り、風景が変わっても、隣にいるのが彼女であるという事実だけが、何物にも代えがたい人生の宝物だと噛み締める。
「………好きだよ、清四郎。」
消え入りそうな告白にただ微笑んだ男は、悠理の身体をもう一度強く抱きしめた。
秋風がカーテンを揺らす中、二人の鼓動が重なり、夜はどこまでも深く、優しい静寂に包まれていった。