連載物(長編)

青い果実たち(本編)

第二話

「悠理ってば、いつも喧嘩ばっかりしてるけど、ちょっとくらい気になる男の子居ないの?」「ブホッ!」可憐にそう尋ねられた悠理は口にしていた海老天を思いきりよく、吹き出した。こうして5人、中庭に集まって昼食を食べるようになったのも、ここ二週間ほど...
青い果実たち(本編)

第一話

―――ごきげんよう朝の爽やかな挨拶が交わされる中、ひときわ元気な少女が一人、颯爽と歩く。剣菱悠理、十五才。現在、クラス委員副委員長という役職に就いてはいるが、元は教師泣かせの問題児である。そんな彼女に声をかける四人の影。金髪の貴公子、美童グ...
青い果実たち(番外編)

La nouvelle lune(初めての夜:R)

青い果実たちシリーズ:15歳の二人最初は制服のリボンを解いた。次に上衣のボタンに手を伸ばし、指が震えないよう気を配った。彼女が協力的に腕を上げてくれたことは嬉しい誤算で・・それが僕を受け入れてくれているという、何よりの証拠だった。さっきの口...
青い果実たち(本編)

序章

「ふぁ~あ、よく寝た。」時計を見なくとも既に昼近くだと判るのは、眩しいほどの太陽が天窓から差し込んでいるから。「ん・・?ここ、どこだっけ?」軋む身体をんしょっと伸ばし、悠理は辺りを見回した。見慣れぬ壁紙、見慣れぬ机。几帳面に並べられた本棚は...
太陽の下で(番外編)

~黒羊は何を見る?中編~R

夜遅くの剣菱邸───仕事を終えたメイド達は、そのほとんどが住み込みで働いている。広々とした従業員専用のリビングでのんびりとお茶を啜り、一日の締めくくりに他愛もない噂話を楽しむのが日常だった。「お嬢様が留学したら、寂しくなるわねぇ。」「奥様は...
太陽の下で(番外編)

~黒羊は何を見る?前編~

良家の子息子女が通う名門の学園とて、全て白い羊ばかりとは限らない。中には稀に、黒羊だって存在する。瀬戸美香子はもしかすると、その黒羊だったのかもしれないが、流石に生まれた時から黒いはずもなく───それはあくまでも、一つの切っ掛け。変色するに...
太陽の下で(番外編)

X’mas小話

「菊正宗先生!メリークリスマス!」聞き馴染んだ声の教え子に背中を叩かれ、振り向いた瞬間、首にふわりと巻かれたマフラーはどう見ても手編みのそれ。清四郎は毛糸のチクチクした感覚に多少の不快感を覚えながらも、極力、表情に出さぬよう努力した。自分よ...
太陽の下で(番外編)

後日談3

「悠理、もし予定がないなら、明日パーティに行かない?」そう誘ってきたのはクラス一の社交家、黄桜可憐。手には招待状らしき封筒をちらつかせ、にっこり優雅に微笑む。「パーティ?」授業が終わった後の悠理は、明らかにそわそわしている。それはもちろん、...
太陽の下で(番外編)

後日談2

夏休み明け直後の試験。悠理は驚くべき快挙をなし遂げ、教師陣を驚かせた。全教科30点以上。数学に至ってはまさかの58点。彼女の人生に於いて、これほどまで見事な結果を生み出したことは一度としてない。それもこれも菊正宗清四郎・・・彼のおかげだ。婚...
太陽の下で(番外編)

後日談1

夏休みが明ける直前。五代と共にマンションを訪れた百合子が、唐突にこう告げた。「そろそろ、うちに帰ってらっしゃい。」プレ新婚生活を楽しんでいる二人に、突如として訪れた激震。山盛りの素麺を啜っていた悠理と、甲斐甲斐しく茹で続ける清四郎が目を丸く...