読み切り作品

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月光

青い月明かりが、深い夜の庭園を照らしていた。​静寂に包まれた屋敷の縁側に座り、池を泳ぐ鯉を見つめる彼の隣には、おろしたての浴衣に身を包んだ悠理がいた。​昼間は活発でおてんばな彼女が、今はその鳴りを潜めている。彼女の美しい横顔を、月光が優しく...
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残り香の行方

「おっかえりー!」​寝室の扉が開いた瞬間、悠理はいつものように清四郎を迎え入れた。今日は母親に買ってもらったばかりのシルクのアンダーウェア。新婚なのだから、少しは色気を付けてさっさと子どもを作ってちょうだい!というのが母、百合子の言い分(命...
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消えゆく境界線

​清四郎の腕の中で、悠理の呼吸がわずかに乱れた。彼が先ほど落とした口付けが、額から眉間、そして柔らかく頬をなぞるように滑り落ちていったからだ。​「……清四郎」​彼の名前を呼ぶ声は、自分でも驚くほど甘く、微かに震えていた。清四郎の瞳が、獲物を...
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PURE

僕たちがファーストキスを交わしたのは、もう随分前のことだ。未だに脳裏から消え去らない甘い記憶。いちごミルクの香り漂う、甘酸っぱい記憶。あの時の彼女はいつになく純真で、女らしく、それでいて艶かしさすらあった。唇を合わせた瞬間、立ちのぼる熱気。...
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Morning Kiss

いつからだっけ?いつから、こんなに激しくなったんだ?昔は軽い挨拶程度のキスだったのに……今はもう、メイドたちが赤面するほどやらしいキスを仕掛けてくる。まだ、朝だっつーの……「行ってきます。」「お、おぅ……いってらっしゃい。」旦那を見送る新妻...
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彼女の背中に僕はいる

台湾料理が食べたい金曜の午後、悠理の発案で、いつもの仲間は剣菱マークのプライベートジェットに乗り込んだ。おじさん、おばさん、珍しく五代まで。巨万の富を持つ名家【林(リン)家】の当主と会食予定があるからと聞いている。僕達はただ悠理の果てしない...
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キスの効能(ショート)

おはようおかえりおやすみ夫婦になってキスが日課になった海外じゃあるまいにヤツは当然のようにキスを求める。今じゃそれに慣れたあたいもいて……ま、いっか?……って思ってる。ちょっとした喧嘩もリセットされるからけっして悪くはない。でもなこの間、ヤ...
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KISSを仕掛けて

嘘みたいだけどほんと冗談じゃないか?って思うけどあたいの初めての男が清四郎だなんて……憎たらしいくらいいつも苛めていた男が初めての恋人だなんて……「好きだった」「おまえしか、欲しくない」そんな告白に、びっくりよりも嬉しさが勝ったなんて、自分...
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秋の夜長に……

※甘めのショート静かな夜だった。秋の夜長───いつもよりちょっとだけ夜更かししたくなる季節。最近買ったばかりのサイドテーブルにお気に入りの推理小説を置き、母から貰ったジノリのカップに紅茶を注ぎ入れ、昨夜の続きを楽しもうとカウチソファに座る。...
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LOVE PRACTICE(R)

R作品夕方、それも西日。痛いくらいの強い日差しに思わず眉を顰めるも、恐らく夜も気温が下がらないことは容易に想像出来た。暑い熱い母に持たされた西瓜は特別大きく重い物だったが、これにかぶりつく恋人の顔を思い浮かべれば、しかし苦にならない。──き...