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忘れられない女

忘れられない女(4)

忘れられない女(3)「せぇしろ……どこにいんの?」暗闇の中、もがく手すら徐々に闇色に染まっていく。息苦しさ、焦燥感、孤独感。悠理が苦手とするそれらの感覚に囚われ続ける真っ黒な世界。一つの光を求め彷徨う手が、指が、闇から抜け出そうと必死に足掻...
春の風と囚われの村

春の風と囚われの村(1)

登場人物剣持 旬次郎(54)剣持村の実力者。大地主。手広く不動産業を営む剣持 操  (48)旬次郎の妻剣持 宗一 (26)長男・前妻の子  剣持 龍臣 (19)次男 大学生  剣持 美紗紀(17)長女 高校生  医学部を目指している剣持 羽...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(5)

トクントクン……心音はそれでも穏やかだった。悠理はどうであれ、清四郎は川の流れのように自然に近付き、赦されていない唇へ自分のものを重ねた。それはしっとりと冷たく、足の痛みに耐える女の唇。触れるだけの行為でも、興奮が煙のように立ち昇る。一体自...
恋はままならず

恋はままならず〜清四郎視点の夜〜

恋はままならず〜扉〜の続きほんのりR作品夢、だろうか。───いや、夢だとしても問題ない。彼女の香りが鼻腔を擽り、彼女の寝息が肌に降りかかる。ほんのり伝わってくる体温。絡み合う足先。ふわりと広がる髪が、頭の重みが、この腕に感じられる。閉じられ...
読み切り作品

秋の夜長に……

※甘めのショート静かな夜だった。秋の夜長───いつもよりちょっとだけ夜更かししたくなる季節。最近買ったばかりのサイドテーブルにお気に入りの推理小説を置き、母から貰ったジノリのカップに紅茶を注ぎ入れ、昨夜の続きを楽しもうとカウチソファに座る。...
恋はままならず

恋はままならず〜扉〜

「あらまあ!!剣菱のご令嬢じゃありませんこと?」振り向けば、紫色のワンピースを着た少しふくよかな中年女性が目を見開きこちらを見ていた。大ぶりのイヤリングと真珠のネックレス。化粧は年相応に濃い。悠理は記憶を辿るも、何も出てこなかった。とりあえ...
忘れられない女

忘れられない女(3)

PM6:00───菊正宗家清四郎が学校から帰宅して10分あまりが経つ。夜に行われるESPオンライン会合の準備を整えていると、仕事を終えた修平を待ち構えていたかのように、冴子はやってきた。いつの間に面接したのか、菊正宗病院で働く事が本決まりと...
恋はままならず

恋はままならず〜嵐〜

〜Rテイスト〜”いいよ“たったそれだけの言葉で覚悟を伝えた悠理だが、心臓はドラムを鳴らすかのように激しく鼓動していた。しかしそれは自分だけではなかったようで………血走った瞳で見つめてくる男もまた、触れ合う胸でその興奮を伝えてきた。「ほんとに...
読み切り作品

LOVE PRACTICE(R)

R作品夕方、それも西日。痛いくらいの強い日差しに思わず眉を顰めるも、恐らく夜も気温が下がらないことは容易に想像出来た。暑い熱い母に持たされた西瓜は特別大きく重い物だったが、これにかぶりつく恋人の顔を思い浮かべれば、しかし苦にならない。──き...
忘れられない女

忘れられない女(2)

PM8:00───鳴海家クスッ冴子は思い出し笑いを浮かべていた。実家のベッドはドイツのものより柔らかく、留学する前と何一つ変わらない自室には、母の優しさと細やかな気配りがそこはかとなく感じられた。お気に入りのクッションやぬいぐるみには埃一つ...