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読み切り作品

秋の夜長に……

※甘めのショート静かな夜だった。秋の夜長───いつもよりちょっとだけ夜更かししたくなる季節。最近買ったばかりのサイドテーブルにお気に入りの推理小説を置き、母から貰ったジノリのカップに紅茶を注ぎ入れ、昨夜の続きを楽しもうとカウチソファに座る。...
恋はままならず

恋はままならず〜扉〜

「あらまあ!!剣菱のご令嬢じゃありませんこと?」振り向けば、紫色のワンピースを着た少しふくよかな中年女性が目を見開きこちらを見ていた。大ぶりのイヤリングと真珠のネックレス。化粧は年相応に濃い。悠理は記憶を辿るも、何も出てこなかった。とりあえ...
忘れられない女

忘れられない女(3)

PM6:00───菊正宗家清四郎が学校から帰宅して10分あまりが経つ。夜に行われるESPオンライン会合の準備を整えていると、仕事を終えた修平を待ち構えていたかのように、冴子はやってきた。いつの間に面接したのか、菊正宗病院で働く事が本決まりと...
恋はままならず

恋はままならず〜嵐〜

〜Rテイスト〜”いいよ“たったそれだけの言葉で覚悟を伝えた悠理だが、心臓はドラムを鳴らすかのように激しく鼓動していた。しかしそれは自分だけではなかったようで………血走った瞳で見つめてくる男もまた、触れ合う胸でその興奮を伝えてきた。「ほんとに...
読み切り作品

LOVE PRACTICE(R)

R作品夕方、それも西日。痛いくらいの強い日差しに思わず眉を顰めるも、恐らく夜も気温が下がらないことは容易に想像出来た。暑い熱い母に持たされた西瓜は特別大きく重い物だったが、これにかぶりつく恋人の顔を思い浮かべれば、しかし苦にならない。──き...
忘れられない女

忘れられない女(2)

PM8:00───鳴海家クスッ冴子は思い出し笑いを浮かべていた。実家のベッドはドイツのものより柔らかく、留学する前と何一つ変わらない自室には、母の優しさと細やかな気配りがそこはかとなく感じられた。お気に入りのクッションやぬいぐるみには埃一つ...
恋はままならず

恋はままならず〜新風〜

恋はままならずシリーズ思いの外低く鳴る出航の汽笛。空気を震わせるその物悲しい音は、悠理の腹底にまで響いた。そういえば昔、大型客船で旅をしたな、と思い出す。あの時は手に入れた大金で贅沢三昧楽しんだっけ?結局は皿洗いに落ち着いたが……。「悠理、...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(4)

白波が寄せては引いてを繰り返す。流れる音楽のように。空は突き抜けて青く、太陽は燦々と輝いて、その光を浴びた彼女はやはり美しかった。「はぁ〜、今日も良い一日だったわ。思い切ってここに永住しちゃおうかしら♡ほら、肌もつるっつる!」エステで磨きを...
嘘も方便

嘘も方便(3)

嘘も方便(1)(2)剣菱の屋敷は夜でもそれなりの輝きを放っている。厳重な警備体制に加え、家の主による装飾が一般家庭とはかけ離れているからだ。やたらと広い玄関アプローチには、青銅で作られた龍が淡い光を浴びながらこちらを見つめている。いつぞやの...
忘れられない女

忘れられない女(1)

その日はやたらと暑く、購買部に詰め掛ける学生はこぞって冷たいスポーツドリンクを求めていた。学園の購買部は3箇所に分散しており、それぞれ品揃えは違っているものの、お金持ちの子息子女が好む商品が並べられてある。特に最近発売されたミネラル入りスポ...