場所はイタリア。
ブドウ畑広がるトスカーナ地方の教会で、一組の結婚式が行われている。
お互いの瞳を真っ直ぐに見つめ、誓いの言葉を交わす二人。
純白のウェディングドレスが、教会のステンドグラスから差し込む光を受けて輝く。

清四郎の手が悠理の指に優しく触れ、ミラノで購入したばかりの結婚指輪が光を放った。
教会の外にはオリーブの木々。
穏やかな風が、ふたりの誓いを祝福するように優しく吹き抜けていく。
結婚式を終えた彼らは、教会のバルコニーに立ち、夕暮れ時の景色を眺めていた。
「とうとう……夫婦になったんだな……」
悠理がそう言うと、清四郎は彼女の肩を抱き寄せ、微笑んだ。
「やっと……ね。」
小さなテーブルに置かれたキャンドルの優しい光がふたりを包みこむ。遠くに見える村の灯りは、まるで祝いの光のように煌めいていた。
ふたりはシャンパングラスを手に取り、お互いを見つめる。
「日本に帰ったら、どんちゃん騒ぎですな。」
「はぁ……知ってるか?父ちゃん達が用意した式場……横浜の海の上なんだって。んなもん、わざわざ作るか!?」
「その次はハワイ、フランス、香港………体力がもつかどうか……。まあ、今回、二人だけの結婚式を許してもらえたわけですから、言うことは聞きますがね……。」
「早く新婚旅行行きたいじょ……。」
「残念ですが………もれなくあいつらも付いてきますよ。」
静寂な夜に響く、幸せそうな不満の声。
二人の小さな結婚式は、明日から訪れるであろう災難を予期しながら、静かに幕を閉じた。