連載物(短編)

アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~

第三話

「どーせ、あたしは馬鹿な女よ~!」白いテーブルクロスに突っ伏した親友を、野梨子は冷めた目で見つめる。キッチンを借り、ちらし寿司に添えるお吸い物を作ったが、この調子だと来なければ良かったかも知れない、と彼女は本気で思い始めていた。事の詳細を聞...
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~

第二話

その日の可憐は朝から頭痛がひどく、何となく嫌な一日になる予感がしていた。常備薬を飲み、パソコンで仕事のメールをチェックする。━━━またエッセイの依頼か。それも30ページ。仕事が増えるのは嬉しいけど、最近休めてないのよねぇ。出版社への返答を後...
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~

第一話

大学部を卒業し、早くも十五年が経つ。仲良し六人組は40を目前に、それぞれ忙しい毎日を送っていた。卒業後直ぐ、叔母の勧めで見合いをした野梨子は、しかし結婚二年目で破局。その後、何の運命か、私立探偵になった魅録と再婚し、現在は二児の母。もちろん...
狂おしき慕情

野梨子編(魅録視点)

その日、野梨子は憂い顔で窓の外を眺めていた。今にも雨が落ちてきそうな空模様。声をかけるべきかどうか迷ったが、部屋に漂う湿気に両肩が重く感じた為、俺は思いきって明るい声を出してみた。「じめじめと鬱陶しいよな!これじゃバイクにも乗れやしねえ。気...
狂おしき慕情

野梨子編

パキッ弾けるような音と共に、瑞々しい蓮の茎が折れる。「野梨子さん、一体どうなさったの?心ここにあらず、ね。」「━━━━ごめんなさい。」華道は五歳から嗜んでいる。母に連れられ、池之坊の高い敷居を跨いだ。今はそこそこの腕前だが、定期的な練習は欠...
狂おしき慕情

その後の二人

信州での事件は、十日も経たぬ内に記憶から薄れていった。あの後、別荘へと戻り、事件の概要を語り聞かせた四人。可憐と美童は「行かなくて良かった!」と口を揃え喜んだ。悠理は雨に濡れた所為ですっかり風邪を引き込み、せっかくの旅行気分もたちまち暗転。...
狂おしき慕情

伊織編

「伊織は良い男だねぇ。」そんな評価を下されたのは、齢15の頃。言った相手は、家に出入りしていた花屋の後家で、一回り以上も離れていた。男好きする白い身体を使い、艶かしく誘ってくる。年頃といえば年頃。断る理由など思いつかなかった。一度知った味は...
狂おしき慕情

本編

しとしとしと空から零れる涙は悠理を濡らす。細い肩に掛けられた薄い浴衣がじっとりとその重さを増してゆき、痛いほどの冷たさに肌が震えた。遠くより聴こえてくるは女の声。男に取りすがる絶望の悲鳴。━━━━貴方は………私の、わたしだけのもの!!誰にも...
the snowy night(始まりはここから)

the snowy night

注意:清四郎と別の女との絡みが中心となる話です。悠理と交際する前の設定なのですが、苦手な方は読まないでください。雪がしんしんと降り積もる。そう。あの年のニューヨークも、こんな風に静かな速度で雪景色へと変わっていった。鮮やかに甦る記憶。その男...
抜け出そうとする女(完結)

番外編2

「津乃峰さん。」「はい?」振り返るとそこには、今年の春マネージャーとして迎えられたばかり───“上野 将吾”(うえの しょうご)の姿があった。30歳。まさしくこれからが男盛りだろう。自信に満ちた表情と野心を秘めた目。未だ独身の彼は何故か私を...