連載物(長編)

恋しがる女(本編/完結)

悠理視点1

その夜、清四郎は鼻に付く強い香水を纏って帰宅した。時間は夜九時を回ったところ。いつもよりは早い。「飲んで来たのか?」「ええ、ほんの少し。」すぐにバスルームへと向かう辺り、気を遣っているのだろう。ソファに投げられたスーツを手にすると、やはりき...
恋しがる女(本編/完結)

アキ視点1

好きなものは‘最新のメイク’と‘アダルトなファッション’。あ、‘コンビニのデザート’も。美容院代は毎月五万円。エステを入れたら軽く八万は飛んで行く。クラブでの仕事は、実入りもいいが出費も多い。いつもギリギリの生活。もっと家賃の低いアパートに...
恋じゃなきゃダメなんだ(完結)

後編

「おまえ、芳川家のお嬢さんとはどうなっとるんだ。」夜遅くまで困難な手術を手掛けていた父は、帰宅するなり恒例のマッサージを要求してきた。今週はあと三回、予約が入っている。元々筋肉質な身体ゆえ、適度な運動をしなければ凝りはどんどん酷くなるのだが...
恋じゃなきゃダメなんだ(完結)

中編

パーティから四日経ったその日。講義が終わり部室へと顔を出した僕は、5人に囲まれた状態で雑誌を突きつけられた。それは時事ネタから芸能まで、フレッシュな話題を多くの分野から取り上げる、一般大衆向けの所謂、娯楽雑誌だった。コンビニなどでよく見かけ...
恋じゃなきゃダメなんだ(完結)

前編

恋じゃなくていいの続き二泊三日の離島を楽しんだ僕たちは、東京に戻ってから、事の顛末を皆に伝えた。「え?嘘でしょ・・・・」「悠理と?」「いつの間に?」「へぇ、なるほどねぇ。」それぞれの反応を楽しむ余裕がない悠理は真っ赤になりながらも、僕の袖を...
恋じゃなくていい

恋じゃなくていい

「あたいがおまえを好きだって言ったら、どうする?」吹き荒ぶ風雨の中、彼女はハッキリとそう言った。浴衣の袖をギュッと握りしめ、浚われる髪が顔の半分を隠す。言葉が返せない。そんな経験は、優秀な僕にとって初めてのこと。「あたいは…………いつまで経...
新米秘書弓子の恋心(完結)

後編

カシャン……悠理は物音がした方向へと慌てて振り向く。折角娘が寝入ったと言うのに一体何の嫌がらせだ、と怒りを交えて。それは隣室にある、清四郎の書斎から聞こえてきた。愛娘がしっかり眠っていることを確認した悠理は、そっと寝室から抜け出し、書斎の扉...
新米秘書弓子の恋心(完結)

前編

ピーピーピー本日三度目のエラー音が鳴り響く。有能なはずの最先端コピー機が俄に騒ぎ始め、働く人間達を苛む。「あぁ、またなの~?」秘書課に配属されたばかりの守屋弓子(もりやゆみこ)はがっくりと肩を落とした。有名私大をトップで卒業し、難関の剣菱本...
砂漠の王子が恋する時(番外編)

甘い罠

「砂漠の王は何を求めるか?」(後) のその後・・・愛してる。愛してる。清四郎だけが、あたいの身体をこんなにも熱くする。15時間きっかりで帰宅した夫に、10分後、早速ベッドに押し倒されていた。でもそれは自分が望んだこと。「おまえが何かを隠して...
砂漠の王子が恋する時(番外編)

砂漠の王は何を求めるか?

二人が香港から帰国して二ヶ月が経ったその頃。サイードとの偶然の再会も記憶から薄れ始めていた悠理は、母・百合子に連れられ、とある団体が行う国際親善パーティに出席していた。いつもなら夫婦仲良く参加するそれも、万作が畑仕事でぎっくり腰を患った為、...