連載物(長編)

悠歌シリーズ

夫婦小話

「なあ、清四郎。」おや、今日は随分とご機嫌斜めのようですね。「どうしました?」珍しく早めに帰宅した僕は、ネクタイを外しながらそう尋ねる。「あたいってやっぱ女に見えないのかなぁ?」「は?」「女に見えない」・・・と言ったのは、もう随分昔の自分。...
悠歌シリーズ

gaze(熱視線)

抜けるような青空と、輝く太陽。東京の初夏にしては爽やかなその日。聖プレジデント学園幼稚舎では、子供達の甲高い声と親たちの歓声が響き渡っていた。赤と白。オーソドックスに分かれた二色のハチマキ。クラス対抗リレーは小さなトラックで行われ、アンカー...
悠歌シリーズ

Parental love

小学生の悠歌とその親たち聖プレジデント学園初等部では、夏休み明けの子供たちが、それぞれの思い出を語り合っていた。裕福な家庭の彼らは、一般人が羨むほど豪華な夏休みを過ごしている。ハワイ、フランス、シンガポール、モルディブなど。中にはまるで南国...
悠歌シリーズ

gratify my desire(R)

その日、悠歌が泥だらけの姿で帰宅した時、剣菱邸の古株メイド達は皆思った。 『ああ・・・デジャブだわ』と。悠理の心配通り日々お転婆ぶりを発揮する悠歌は、幼稚舎でも評判の悪ガキ『伊能剣吾(いのうけんご)』と毎日のようにやり合っている。いつもは口...
悠歌シリーズ

the fatal day(R)

「ねえ、ママ。あしたはママだけしか来ない?」「んなわけないだろ。パパもじいばあも来るぞ?」「え?パパも来る??」「あったり前だろ!その代わり、今日は遅くなるって言ってたけどな。悠歌(ゆか)は早く寝ろよ?」「うん!」聖プレジデント学園への入学...
憂鬱なマーメイドシリーズ

再会編2

「なぁ………おまえ、もしかして剣菱?」「ん?」仲間達はそれぞれの意図を持って会場へと散らばり、夫もまた食べることに夢中となった妻を半ば呆れたように見限ったのだろう。いつしか彼は、よそ行きの笑顔で顔見知りの間を行き来している。片手にチキンを握...
憂鬱なマーメイドシリーズ

再会編1

━━━うぅ、ちょっと窮屈だなぁ。やっぱ、もうワンサイズおっきいドレスにしたらよかったか?ターコイズブルーのタイトなドレスは、胸を強調するかのようなデザインで、むしろ少し小さめが良いと勧められ、悠理は仕方なくこれを選んだ。━━━可憐じゃあるま...
憂鬱なマーメイドシリーズ

ハバナ編

「ごめ~ん!遅くなって・・・・・」珍しく申し訳なさそうにやってくる恋人を、ビーチパラソルの影から息をのんで見つめる。片手で300Pの本を開きながら。直前までグローバルマーケティングについて埋め尽くされていたはずの脳が、一瞬でしなやかな身体の...
憂鬱なマーメイドシリーズ

アメリカ編

「だから!どうしてそんな簡単に男から物を受けとるんです!?相手に期待させるということが解らない年齢ではないでしょう?」「んなもん知るかよ!余ったからって言われて無理矢理押し付けられたんだってば!」「ほう。予約困難な‘パティシエ’のパウンドケ...
憂鬱なマーメイドシリーズ

続:憂鬱なマーメイド

「やたっ!Bカップ!」色とりどりの下着が並ぶ売り場の片隅で、年配のベテラン店員は慣れた手つきで悠理の胸を計測し、にこやかに微笑んだ。「半年前に比べて3センチアップされましたね。もうBカップの商品を選んで頂けますよ。」そういって彼女が試着室に...