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恋しがる女(番外編)

五年後の恋心

「嬢ちゃま、お客人がお見えですぞ。」「あたいに?」その日、剣菱邸に現れた人物は、夏の日射しを跳ね返すような、真っ白なワンピースを身に着けていた。清楚な白一色。肩にも届かない、真っ黒なショートボブ。半袖から延びる小麦色の腕は適度な筋肉に覆われ...
恋しがる女(番外編)

クラブMのママ視点

アキが去って一ヶ月。その夜、店を訪れたのは剣菱豊作と見慣れぬ一人の客だった。私は新しく入ったカオルを連れ、彼らの席に着く。時間帯のせいか、客の入りはまだ浅い。「やぁ、ママ。今日は羽振りの良い客を連れてきたよ。」「あら、嬉しい。」紹介された男...
恋しがる女(番外編)

ハルカ視点

「ん?あれって、もしかしてアキさん?」人通りこそそれほど多くもないが、男女が密着している光景はどうしても目立つ。男は黒髪の長身。よくよく見れば、この間の客ではないか。「へぇ、なるほどねえ。」1ブロック先でもはっきりと判別できるほど、彼らは目...
恋しがる女(本編/完結)

アキ視点:決着

今のママには話していないが、私が騙された男は一人じゃない。最初の男は、私がネオンの世界へと飛び込む切っ掛けを作った、根っからのジゴロ。彼は私への愛を囁きながら他の女を選び、結局隠していた金を探し当て、消えた。それはたかだか数十万円の事。しか...
恋しがる女(本編/完結)

悠理&清四郎視点

兄ちゃんお気に入りの秘書、紅ちゃん【本名:紅 由美子(くれない ゆみこ)】から電話があったのは、夜七時を過ぎたあたりの事。今、彼女は主に清四郎の仕事を手伝っているけど、あたいの事も頻繁に気遣ってくれる。あいつの帰宅が遅くなる日なんかは、その...
恋しがる女(本編/完結)

清四郎視点1

―――失敗した。待ち合わせたカフェで彼女の顔を見た時、僕は激しい後悔に見舞われた。二日前。見覚えのない番号に出たのは、それが仕事用の携帯電話だったから。耳に飛び込んできた軽やかな声と上品な口振りを聞いて、すぐにあの夜のホステスだと思い出す。...
恋しがる女(本編/完結)

アキ視点2

あの夜から五日が経つ。彼からの連絡はまだ無い。まだ?いや、これはもう諦めるべきなのね。しかしそう簡単に諦めきれない男の名刺はドレッサーの上に置かれたまま。客としても、男としても、彼に心惹かれてしまう現実。あの後――彼らを見送った直後、ハルカ...
恋しがる女(本編/完結)

悠理視点1

その夜、清四郎は鼻に付く強い香水を纏って帰宅した。時間は夜九時を回ったところ。いつもよりは早い。「飲んで来たのか?」「ええ、ほんの少し。」すぐにバスルームへと向かう辺り、気を遣っているのだろう。ソファに投げられたスーツを手にすると、やはりき...
恋しがる女(本編/完結)

アキ視点1

好きなものは‘最新のメイク’と‘アダルトなファッション’。あ、‘コンビニのデザート’も。美容院代は毎月五万円。エステを入れたら軽く八万は飛んで行く。クラブでの仕事は、実入りもいいが出費も多い。いつもギリギリの生活。もっと家賃の低いアパートに...
恋じゃなきゃダメなんだ(完結)

後編

「おまえ、芳川家のお嬢さんとはどうなっとるんだ。」夜遅くまで困難な手術を手掛けていた父は、帰宅するなり恒例のマッサージを要求してきた。今週はあと三回、予約が入っている。元々筋肉質な身体ゆえ、適度な運動をしなければ凝りはどんどん酷くなるのだが...