花たちの競艶

白大理石の床に、天井まで届くアーチ型の窓からは、暖かな春の光が差し込んでいる。

花びらが散らされた石畳を、美童は長い金髪を揺らしながら、可憐のエスコート役として優雅に歩を進めていた。

​真っ白なタキシードに身を包んだその完璧な容姿は、まるで物語から抜け出した王子様のようである。

学生の頃よりもアダルトな雰囲気を醸し出す美童。周りの女性の視線が熱い。

一方、エスコートを当然のように受ける可憐は、豊かなボディをワインレッドのエレガントなドレスで包んでいた。大胆に開いた美しい背中から続く細い腰。形よいヒップラインが男の視線を集めている。

そんな二人が中央に差し掛かった頃、可憐がふと声を落とした。

​「ねぇ。見て、美童。」

クイッと顎を上げる可憐に導かれ、​美童が視線を向けると、そこにはさらに多くの人だかりができていた。

輪の中心にいるのは、紺色のスーツに身を包み、落ち着いた物腰で話す清四郎と、隣で楽しそうに料理を口にする悠理の姿だ。

​「おやおや。渦中の二人じゃないか。」

​美童は微かに口元を緩めた。

​「あの子たち、すっかりパーティの花になっちゃってるじゃない。」

​可憐が感慨深げに言う。

大病院の息子が、とうとう剣菱財閥の令嬢を射止めたと雑誌を賑わせていたのは数ヶ月前のこと。二度目の婚約披露宴には更に多くの記者が訪れた。

大学時代から真剣交際を始めた彼らだったが、清四郎のプロポーズが実を結んだのはつい最近である。

やたら焦らしていた悠理が結局、清四郎の根気と強引さに負け、来年の春、ウェディングベルを鳴らすこととなったのだ。百合子夫人が数カ月の予定でフランスへ飛んだことは言うまでもないだろう。

​「財界ではいよいよか、と話題をさらっていたからね。ま、当然の結果だけど。」

​美童と可憐は悠理に視線を注ぐ。

清四郎が耳元で何かを話すと声を上げて笑い、周囲を明るく照らす。何かが吹っ切れたのか、今宵の悠理はやたらと美しく見えた。

​「あの子、かわいくなったわ。ほんと恋って不思議ね。」

​まるで我が子の成長を見守るかのような温かい視線を送る彼女に、美童も深く頷いた。

​「あの二人には昔から特別なものを感じてたけどね。あれだけ違う性格なのにさ、なんかしっくりくるんだ。多分離れられない関係なんだろうな。」

​ずいぶん前……そう、まだ恋に発展する前から、美童は清四郎と悠理の間に流れる独特の空気に気づいていた。それは、ただの友人関係以上の、もっと深く、強い何かを感じさせるものだった。

​「私たちもあの二人に負けないくらい、素敵な関係を築いていけたらいいわね!」

​可憐は美童の手に指を絡ませ、美しく微笑む。そんな彼女の想いに応えるよう、美童も優雅な笑み返した。

彼らは、再びパーティの喧騒の中へと歩き出す。

二組のカップルは、それぞれの場所で豪華な花となり、誰もが羨む光を纏い、輝き続けた。