湯けむりと煩悩

宿の庭園には、秋の気配が色濃く漂っていた。

悠理と清四郎が身を寄せ合って浸かる露天風呂は、湯煙を上げてしっぽりとした雰囲気を醸し出している。

二人ともすっかりいい気分だ。

​清四郎が悠理の頬に熱いキスを落とす。

悠理もそれに応えるかのように、小さな盃を口元に運んだ。

「美味しいな、この酒!」

「あぁ、格別ですね。おまえとこうして飲む酒は……。」

清四郎の甘い言葉に、悠理の頬が赤らむ。

部屋に付いた露天風呂にしてはかなり本格的な岩風呂で、彼らは甘く刺激的な時間を過ごしている。地酒の熱燗は、胸の火照りをより一層熱くさせる効果があった。

唇を重ねると清四郎が悠理の口の中からあったかい酒を啜る。

そんな恥ずかしい行為にも慣れつつある悠理は、どんどんと酒を口に運び、キスを求めた。

「酔っぱらってきたかな……」

「湯あたりかもしれませんよ?」

悠理を抱きかかえ、備え付けのベンチに横たえると夜風に当たらせる。

スレンダーな体がほんのりピンク色に染まったのを見て、清四郎はごくりと喉を鳴らした。

「スケベ……目がやらしくなってるぞ。」

小さなタオルで前身を隠したとて、男心を余計にそそる行為とは知らない悠理。

案の定、清四郎の手は彼女の胸にそっと触れた。

「今更ですよ……」

「……ま、待て。せめて部屋の中にしろ……。ここ、隣の部屋に筒抜けじゃんか……」

「部屋では何をしてもいいってことですね?」

「!!!」

再び抱えられた悠理に逃げ道など見当たらない。ふかふかのバスタオルで包まれると、これまたふかふかの布団に横たえられた。

「ゆ、湯冷めしちゃわない?」

「湯冷め?僕がそんな生優しいセックスをするとでも?」

(ひぃ………!)

有言実行。

温泉の香りを纏った二人は、夜が明ける頃にようやく眠りにつく。

「もう一泊しますか?美肌効果抜群ですし。」

にっこり笑う清四郎に、悠理は文句も言えず頷くしかなかった。