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読み切り作品

青い夏の日(前)

「清四郎君!」 世の中の大半の男がその姿に目を瞠らせることだろう。 アイドル顔負けの可愛さと、程良い肉感の艶めかしいボディ。 色白の肌はきめが細かく、化粧っ気がなくともパッチリとした目鼻立ちが愛くるしい。 薄紅の...
読み切り作品

Snow storm(中)

Snowstorm(前) 猛吹雪の外界から、まさかの客。 茶色に染まったウェーブヘアは雪の粒に凍らされ、重たげに肩へと垂れ下がっていた。 厚手のダウンジャケットは凍てつく氷そのもの。 視界もままならぬ吹雪の中、彼女が...
Happy Daily Life

Happy Daily Life act.6

剣菱万作の朝は、アケミとサユリの世話、そして丹誠込めた畑の収穫から始まる。 万作にとって、早起きなど朝飯前。 朝日も昇りきらぬ内、けたたましい“コケコッコー”が邸内に轟きわたり、それを聞いた使用人たちは眠気を堪えて支度し始めるのが日常だ...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(2)

次の日もまた、島は最高の天気で六人を迎えてくれた。 魅録と悠理は紺碧の海に潜るため、チャーターしたヨットへ飛び乗る。 もちろん、芝田が手がけた大型ランチボックスを抱えて、だ。 野梨子と可憐は島にある唯一の売店を訪れ、それぞれお気に入り...
クリスマス作品

White Christmas

「なんか………サンタクロースさんってかわいそう。」 窓の外では本格的な雪が降り始めている。 等間隔で並ぶライトアップされたもみの木は、粉砂糖を振ったように真っ白。 どうやらこの寒波、年末まで続くようだ。 先ほどからテレビで流...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(1)

時は春。 大学部の入学式も無事終わり、サークル勧誘も一段落ついた辺りの頃。 有閑倶楽部のメンバー達も新しい学び舎にすっかりと馴染み、長期連休に向け旅計画を立てていた。 「いいかげんアフリカいこーよぉ!南極でもいいからさぁ。...
夜に惑う

夜に惑う(熱夜:R)

“酒豪である”、と自負しているつもりだ。 滅多なことでもない限り、酒にのまれたりはしない。 騒ぐだけ騒いでスカッと眠れば、朝はすっきりいい目覚め。 食欲すら減退せず、通常モードで三杯飯を食らう。 だからこんなにも長く...
狐の婿取り

狐の婿取り~第九話~

悠理が清四郎の屋敷で過ごすようになって五日ほどが経つ。 着物も食べ物も、不足なく用意され、それはまさしくお姫様待遇であった。 使用人として連れてこられた魅録が清四郎と顔を合わせることは稀だったが、日中どこかしらへ出かけている...
読み切り作品

恋、恋われ・・・

※甘い二人(R要素あり) 一生、独りでもいいって思ってた。 結婚なんてまっぴらごめんだって。 でも でも 一度知った想いは気球のように膨らんで、空高く飛んでゆく。 なんて清々しい気分。 叶えた恋はどんな...
夜に惑う

夜に惑う(ラスト)

清四郎が彼らの後ろ姿を見つけた時、タイミング悪く、タクシーの前に酔っ払いのサラリーマンらしき男が飛び出してきた。 急ブレーキをかける運転手。 軽い舌打ちこそ出たが、客の前である。 罵倒は寸でのところで飲み込んだのだろう。 ク...