アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~第五話 ニューヨークのど真ん中。 クラシカルなホテルのロビーは、賓客で賑わっていた。 宿泊客は一体何事だろうと首を傾げるも、その顔触れを見て、思わず目を見開く。 政界、経済界、ハリウッドスター。 煌びやかな、いつもはモニター越しに存在するは... 2019.11.18アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~第四話 「ええ、そう………そうなの。ニューヨークで集まるのもオツでしょう?」 三日に一度の定期連絡。 野梨子は可憐からの電話に穏やかな微笑みを浮かべた。 可憐が高垣のパートナーとしてニューヨークに渡り、そろそろ三ヶ月が経とうとしている... 2019.11.18アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~第三話 「どーせ、あたしは馬鹿な女よ~!」 白いテーブルクロスに突っ伏した親友を、野梨子は冷めた目で見つめる。 キッチンを借り、ちらし寿司に添えるお吸い物を作ったが、この調子だと来なければ良かったかも知れない、と彼女は本気で思い始めていた。... 2019.11.18アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~第二話 その日の可憐は朝から頭痛がひどく、何となく嫌な一日になる予感がしていた。 常備薬を飲み、パソコンで仕事のメールをチェックする。 ━━━またエッセイの依頼か。それも30ページ。仕事が増えるのは嬉しいけど、最近休めてないのよねぇ。 ... 2019.11.18アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~第一話 大学部を卒業し、早くも十五年が経つ。 仲良し六人組は40を目前に、それぞれ忙しい毎日を送っていた。 卒業後直ぐ、叔母の勧めで見合いをした野梨子は、しかし結婚二年目で破局。 その後、何の運命か、私立探偵になった魅録と再婚し、現在は二... 2019.11.18アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~
狂おしき慕情野梨子編(魅録視点) その日、野梨子は憂い顔で窓の外を眺めていた。 今にも雨が落ちてきそうな空模様。 声をかけるべきかどうか迷ったが、部屋に漂う湿気に両肩が重く感じた為、俺は思いきって明るい声を出してみた。 「じめじめと鬱陶しいよな!これじゃバイクにも... 2019.11.18狂おしき慕情
狂おしき慕情野梨子編 パキッ 弾けるような音と共に、瑞々しい蓮の茎が折れる。 「野梨子さん、一体どうなさったの?心ここにあらず、ね。」 「━━━━ごめんなさい。」 華道は五歳から嗜んでいる。 母に連れられ、池之坊の高い敷居を跨いだ。 今は... 2019.11.18狂おしき慕情
狂おしき慕情その後の二人 信州での事件は、十日も経たぬ内に記憶から薄れていった。 あの後、別荘へと戻り、事件の概要を語り聞かせた四人。 可憐と美童は「行かなくて良かった!」と口を揃え喜んだ。 悠理は雨に濡れた所為ですっかり風邪を引き込み、せっかくの... 2019.11.18狂おしき慕情
狂おしき慕情伊織編 「伊織は良い男だねぇ。」 そんな評価を下されたのは、齢15の頃。 言った相手は、家に出入りしていた花屋の後家で、一回り以上も離れていた。 男好きする白い身体を使い、艶かしく誘ってくる。 年頃といえば年頃。 断る理由など思いつか... 2019.11.18狂おしき慕情
狂おしき慕情本編 しとしとしと 空から零れる涙は悠理を濡らす。 細い肩に掛けられた薄い浴衣がじっとりとその重さを増してゆき、痛いほどの冷たさに肌が震えた。 遠くより聴こえてくるは女の声。 男に取りすがる絶望の悲鳴。 ━━━━貴方は………... 2019.11.18狂おしき慕情