
僕たちがファーストキスを交わしたのは、もう随分前のことだ。
未だに脳裏から消え去らない甘い記憶。
いちごミルクの香り漂う、甘酸っぱい記憶。
あの時の彼女はいつになく純真で、女らしく、それでいて艶かしさすらあった。
唇を合わせた瞬間、立ちのぼる熱気。
薄いピンクの唇がしっとりと押し付けられ、
脳髄をピリピリとした刺激が走り抜ける。
粘膜が重なり合うだけの行為が、夢心地にさせてくれるなんてこと、あの時初めて知った。
離すタイミングを見失い、数秒そのままでいたら、彼女はゆっくり目を開いて僕を見た。
「………。」
まだ……?
そんな問いかけが彼女の瞳に浮かび、ようやく我に返ったかのように唇を離す。
今から考えると拙いキスだったが、今までで最高に興奮を覚えたキスでもあった。
あれから彼女も成長したと言えるだろう。
夜になると、
まるで喰らいつくような勢いで唇を奪ってくる。

負けじと応戦。
舌が痺れるまで続く激しいキスに、雄の本能を掻き立てられる。
熱い吐息だけで、昇天しそうな心地よさ。
僕が仕込み、僕好みの女に仕立てた。
自信作だ。
とはいえ、あの時の震える唇の甘さや、揺れるまつ毛、訴えかける瞳を思い出せば、性的興奮以上の何かが体を駆け巡る。
若く、幼い悠理を瞼の裏に描けば、背徳感すら漂う。
「清四郎……何考えてんの?」
おっと……不穏な表情をさせてしまった。
ここは取り繕う必要もなく……
「お前のことに決まってるじゃないですか?」
笑顔で答える。
野生の勘で真実を見抜く彼女も、その言葉に偽りがないと分かると、険しさを引っ込め、再び唇を貪り始める。
「きょうは……寝かさないから……」
叩きつけられた挑戦状。
もちろん、それを受け取るのは僕の役目だ。
「いいですね……受けて立ちましょう。」
夜はこれから。
あの時の無垢な悠理を思い出の箱にしまい込み、目の前にいる妻の欲望を叶えるため、純粋とは言い難い、淫靡で猥褻なキスに没頭することを決めた。
これはこれで………堪らない。
