太陽の下で(本編)第六話 僅かに感じる腕の重み―― 微かに鼻を擽る汗の香り―― それ以上に甘く存在する悠理の肢体。 清四郎はアラームが鳴る二分ほど前に自然と目覚めた。 カーテンの隙間から差し込む、青い朝の光。 その光は悠理の白い肌に透明感を与え、さらに儚く... 2019.11.17太陽の下で(本編)
太陽の下で(本編)第五話 “このまま閉じ込めてしまいたい” そう感じるほど、清四郎の心は悠理を縛りたがっていた。 しかし教師として大人として、そんな事は到底出来ない。 彼女を飛躍させること・・・それは自分に課せられた最低限の義務だ。 「ん・・... 2019.11.17太陽の下で(本編)
太陽の下で(本編)第四話 夏休み期間中、外部受験生に向けての夏期強化合宿があると知ったのは、終業式前日の事。 他人事である悠理は、それをさらりと聞き流していた。 三泊四日で組まれたカリキュラム。 場所は、都内から車で二時間ほどのところにある自然に囲まれた白い建... 2019.11.17太陽の下で(本編)
太陽の下で(本編)第三話 悠理のクラスには、学園の人気を二分する美少女が在籍している。 一人は黄桜可憐。 高校生らしからぬ体つきに、色気ある泣きぼくろ、そして大人っぽい話し方が特徴だ。 そのせいか、特に下級生からは絶大な支持がある。 倒錯した世界の住人か... 2019.11.17太陽の下で(本編)
太陽の下で(本編)第二話 窓の外はすっかり暗闇だ。 清四郎は情事の後の気怠さを振り払い、隣で眠る少女にシーツをかけ直した。 女性物のパジャマはクローゼットの奥底に眠ってはいるが、何故かそれを彼女に着せたいとは思わない。 代わりに自分用の新しいシャツを取りに立ち... 2019.11.17太陽の下で(本編)
太陽の下で(本編)第一話 聖プレジデント学園高等部。 春に赴任したばかりの数学教師は、見た目通り真面目で厳しく、そして頭が良かった。 毎朝、真っ直ぐ背筋を伸ばして出勤する姿に、女子生徒達は黄色い声をあげる。 「菊正宗先生ってうちの教師とは思えないほど素敵だ... 2019.11.17太陽の下で(本編)
Cupid & Nightmare第三話 泣き腫らした顔は、自分でもうんざりするほど不細工だった。 悠理は自室の洗面所で涙を流し去り、無理矢理口角を持ち上げる。 恋を強く自覚したと同時に失恋。 胸が張り裂けるほどの辛い痛み。 しかし、いつまでも泣くのは性に合わない。... 2019.11.17Cupid & Nightmare
Cupid & Nightmare第二話 「はぁ~・・やっぱり主さんは最高。」 女は赤い舌でペロリと唇を舐め上げ、満足そうに口端を上げた。 いつしか夕陽は落ち、部屋は薄闇に包まれていた。 普段は清浄な空気が漂う寝室に、微かに血の香りが零れる。 むわっと澱んだ空気がこ... 2019.11.17Cupid & Nightmare
Cupid & Nightmare第一話 ━━━━ん? その日、親友の肩に異様なほど長い、黒とも焦げ茶ともつかぬ一本の髪の毛を見つけたのは、魅録が彼のパソコンを覗き込もうと腰を屈めた時だった。 野梨子のものでは勿論、ない。 かといって彼の姉にしては長すぎる。 常日頃... 2019.11.17Cupid & Nightmare
Cupid & Nightmare序章 ~序章~ 「また一人殺されたんですって!これで5人目よ?ほんと物騒な世の中よねぇ。」 週刊誌を捲りつつ、可憐がぼやく。 美童は放課後のデートの下準備に余念が無く、魅録はメカニカルな雑誌に夢中な様子だ。 野梨子は悠理におやつを... 2019.11.17Cupid & Nightmare