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道場小話

道場小話5

「さすがにわしも年でのぉ。………弟子を増やすのはもう無理じゃわい。」 「んな固いこと言わずにさぁ~。あたいだったら水くみも鶏の世話も経験済みだし、じっちゃんの肩だって揉んでやるじょ?」 「ふぅ………確かに、嬢ちゃんほどよく動く弟...
道場小話

道場小話4

いくら──── いくら和尚から技を聞き出したいにしても、あんなことまでする必要性があるのか? さっきから肩、腕、腰、足………全てをマッサージして回る悠理。 媚びるようにヘラヘラと笑いながら。 まるで丁稚奉公に来た小僧だ。 ...
道場小話

道場小話3

試合に負けた清四郎なんて、初めて見る。 落ち込んでるよな。 プライド高いもん。 でも─── 仕方ないよ。 足首ひねってんじゃん。 脇腹も打撲してんじゃん。 夕べ飲んだ帰り、酔っぱらいの車に轢かれ...
道場小話

道場小話2

「ふぉっふぉっふぉっ。嬢ちゃんもなかなかやるのぉ。清四郎がほれ、余裕を欠いておるわい。」 「じっちゃん!早く攻撃の仕方、教えてくれよ!このまんまじゃ、いつまで経ってもあいつに勝てないじゃん!」 「わしゃ知らんもーん。第一...
道場小話

道場小話1

「おや、早速来ましたね。」 「お、おう。」 よほどハードな鍛錬をこなしていたらしい。 いつもの隙のない髪型はすっかり乱れ、清四郎は汗だくの状態で悠理を出迎えた。 「午後の部では師範代が一対一で組み手をしてくれます...
IF 悠理が菊正宗家に嫁いだら(VS大叔母)

IF 悠理が菊正宗家に嫁いだら(VS大叔母)

「せぇしろぉ………まだ歩くのかよ。てか、ここん家、庭でかすぎ!」 「おまえが言う台詞とは思えませんな。」 「うちは玄関先まで車つけれるもん。なぁ、この竹藪…………いつまで続くんだ?」 二人は、京都の奥座敷と呼ばれる、ひっそ...
IF 悠理が菊正宗家に嫁いだら

IF 悠理が菊正宗家に嫁いだら

「なぁ、清四郎って義父ちゃん似?義母ちゃん似?」 家族揃っての夕食の後、風呂上がりの僕を待ち受けていたのはそんな質問。 先に浴びたという妻は、すっかりパジャマを着込み、ベッドに潜り込んでいた。 秋の夜長。 これから夫婦の大切な時間で...
IF 剣菱家の事情。~あの時の二人が~

IF 剣菱家の事情。~あの時の二人が~

※剣菱家の事情より。IF設定です 剣菱邸では夕食の準備がすっかり整い、10人は座れるであろうダイニングテーブルに、悠理一人が着席していた。 「五代、清四郎は?」 「は。清四郎様は帰宅された後、書斎に隠ってい...
狐の婿取り

狐の婿取り~第七話~

夜風が強い。 連日の雨はおさまったが、日を追うごとに寒くなってきている。 もう、すぐそこにまで冬が訪れていると判り、悠理は小さく肩を竦めた。 今日は酒を飲む気になれず、夕飯の後は魅録の冒険話に耳を傾けていた。 何でもこの男、時と...
狐の婿取り

狐の婿取り~第六話~

ザァザァ──── あぁ、雨だ。 地面を打ち付ける激しい雨。 冷えた空気と埃立つような勢いの雨粒。 そういえば、あの恋しい男と出会った時も、雨が降っていた。 みすぼらしい女を洞窟に招き入れ、僅かな食料を分け与えただけでなく、...