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二度目の恋

※清悠ではありません。野梨子の恋話。 二度目の恋は大学二年の春に訪れた。 ロサンゼルスからやって来た一人の客員教授。 チャイニーズアメリカンの彼は考古学の専門家で、大学だけに留まらず、メディアや映画界からも引っ張り...
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ひな祭り(小話)

三月三日は桃の節句。 剣菱邸では百合子主催の人形祭りが開かれていた。ご自慢の巨大な雛壇には多くの人形たちが並べられていて、そのほとんどが全国の名高い職人に作らせた銘品である。 一部の若いメイド達も、この日ばかりは可愛らしい着物に身を...
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デートファッション(小話)

確かに──── 確かに僕は彼女に告げた。 “初めてのデートなんです。いくらなんでも男同士のカップルには見られたくない。それなりの格好でお願いしますね。”───と。 今、その発言を三日前に遡って消去してしまいたい。 跡形も...
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彼女のDeclaration

────幸せ? そう聞かれて、曖昧に笑うしかないあたし。 幸せ………なのかしら。 この美貌と完璧なボディスタイル。 それに楽しい仲間たち。 ママは元気だし、特に困ったことはないけれど───素直に“幸せよ!”って笑う...
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Phone Call

───よぉ、悠理。今から出てこれねぇか?アツシの就職祝いで飲み屋貸しきったんだけどよ。箱がでかすぎて、人が足りねぇんだ。 だからアツシだよ、アツシ! おまえ、この間、奴の後ろに乗って喜んでたろ? そう、ヤマハのナナハン……...
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買収する男(小話)

「どうしたの?清四郎ちゃん。」 「ううん………何でも。」 「……………剣菱さんが気になる?」 「別に。」 「ウソ。一年生になったらあの子と同じクラスになりたかったんでしょ?」 「ち、違うよ。そんなんじゃ...
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春よ、恋

「ほら御覧になって。菊正宗様と白鹿様。」 「お二人とも素敵ねぇ。」 「雛壇に並んでも、遜色なくてよ。」 「是非、コスプレしていただきたいわ。」 「まあ、賛成!さぞやお美しいことでしょうね。」 あれは高校...
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going my way

「いいですか?お酒はほどほどに。帰りは名輪を呼ぶか、タクシーを捕まえなさい。携帯電話を無くさないよう時々チェックするんですよ?」 「はいはい。わあったってば。親よりもうるさいぞ、清四郎。」 「親以上に………愛している自信はあるん...
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悪夢に魘される男

「ごめん、清四郎。やっぱあたい………魅録みたいな男が好きだ。これからは魅録と生きてく。」 「わりぃな。清四郎さんよ。こいつは俺が責任もって大事にするから、許してくれよな。」 「な、何を…………馬鹿なこと…………」 ...
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missing

さ み し い─── 声に出したら、なんてチープな音の並び。 だからヤなんだ。 こんな風にうじうじするくらいなら、 好きになんてなりなくなかった。 特別な男なんて作りたくなかった。 ただの友達で、 あの...