読み切り作品Baby Baby 「やっぱ、ちっちぇーなぁ。これがほんとにでかくなんのか?」 「なりますよ。ひと月経つ毎に、見た目も体重も変化していきます。」 「確かにあたいも生まれた時、すんげぇちっちゃかったから……こいつも似たんだろうな。」 「... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品初祈願(悠歌ショート) 「ありがとう、パパ。」 七歳になったばかりの愛娘が、頬にキスをしてまで喜ぶ瞬間。 父親というものは一生娘を手放したくない生き物なのだと、つくづく理解できる。 「大切に遣うんですよ?」 「うん!」 花車が描かれた友禅... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品ひ・め・は・じ・め(正月小話) 「せーしろー!姫始めしよーぜ!」 「悠理………その漢字、正しく変換されてます?」 「は?“姫”、“始め”、だろ?他にあんの?」 「諸説ありますが、元々“姫始め”という言葉に『年が明けてから初めてするセックス』の意味はありま... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品小さなプレゼント(野→魅) どんよりとした空。 東京の雪は湿っぽくて、コートの肩をじっとり濡らしてしまう。 ───電話して迎えを呼べば良かったかしら? イルミネーション輝く銀座の街中。 イブともなれば人混みに加え、車も多く、誰かを呼び出すのはちょっと面... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品Sweet Night こいつと夜を過ごすようになって、どのくらいになるだろう。 高等部を卒業した直後に変わった二人の関係。 “優等生”の仮面を剥がした男は、美童顔負けの色気で迫ってきた。 ───ちょ、おまえ、そんなキャラだっけ? ───変です... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品Thanks to a God. 眩いばかりのイルミネーション。 耳を通り抜けるクリスマスソング。 たとえ雪が降りそうなほど寒くても、行き交うカップルたちの表情は明るく、誰もが底抜けに幸せそうだ。 「やれやれ。こんな時期に外で待ち合わせなど、一体どこに視線... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品Fragrance(ショート) 悠理から香る甘い匂い……… その香りに敏感な鼻が反応したとき、僕は彼女を意識していると気付いた。 今まで感じたことのない………女性らしい香り。 香水とは違う。 かといってフェロモンの類でもない。 それは甘く、不思議... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品IF 悠理が菊正宗家に嫁いだら(ショート) 「あら、紫陽花が満開。」 玄関から一歩出たばかりの和子は目を細め、喜んだ。 彼女の誕生月でもある水無月はじめじめと鬱陶しいものの、青紫の花が雨によく似合うため、わりと好きな季節となっている。 隣家のお嬢様はいつも二枝ほど持ち帰り、... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品宣戦布告 街中を一組のカップルが歩いていた。 いや、正確にはカップルのような近い距離で。 楽しそうに、時折小突き合う年頃の男女。 女は最近流行のチーズドッグというものを頬張っていて、口の周りを汚せば、隣の男はそれを手の甲で拭ってやっていた。... 2019.12.19読み切り作品
読み切り作品missing you(ショート) くそぉ………瞼が重い。 夕べ、調子に乗って飲み過ぎたか。 せっかくのクリスマスだってのに、二日酔いなんて冗談じゃねぇ。 手繰り寄せた携帯電話を見ればメールが四件。 その内二件は可憐で、今夜表参道で行われるパーティについての話... 2019.12.19読み切り作品