おはよう
おかえり
おやすみ
夫婦になって
キスが日課になった

海外じゃあるまいに
ヤツは当然のようにキスを求める。
今じゃそれに慣れたあたいもいて……
ま、いっか?
……って思ってる。
ちょっとした喧嘩もリセットされるから
けっして悪くはない。
でもな
この間、ヤツが香港の女社長の接待で帰りが遅くなったときは……
おかえりのキスを拒否してやった。
驚いた顔してたな。
てっきりババアだと思ってたのに、20代、それもナイスバディのアジア美人。
ネットで検索なんてしなきゃよかった。
変な妄想に悩まされた。
次の朝……
「キス……しないんですか?」
ちょっと寂しそうな顔をしてきたから、心痛んだけど、プイとそっぽを向いたら、
「………ふ、甘いですね。」
乱暴に顎を掴まれて
そのくせ唇は優しくて
だけど朝とは思えないほど
長くてやらしいキスが降ってきた。
「んっ………?!!」
ヤツを本気にさせるとヤバい。
たとえ清浄な朝だろうが、
スーツ姿だろうが、
ベッドに引きずり込まれて、
無茶苦茶にされる。
たっぷり……5分。
腰だ抜けたあたいを見下ろしながら、
舌なめずりする夫。
「では行ってきます。」
涼しい顔で、
ジャケットを整えて背中を向ける清四郎。
あ……無理だ。
こんなキスされたら、
馬鹿みたいな嫉妬も
情けない闘争心も
あいつへの憎たらしさも
全部全部……消えちゃって
ただ……
「せ、せぇしろー!」
振り向く前に背中に追いすがる。
スイッチが入ったあたいは、
自分でもコントロール不能。
ソファに押し倒し、ネクタイを抜くと
ヤツはしてやったりといった顔でこう言った。
「………ご機嫌は直りましたか?」
まだ……まだだよ。
でも……
愛しちゃってるから……
仕方ないんだよな。
「さあね…。」
そんな意地を張ったあと、
あたいはさっきよりも獰猛なキスを
夫に仕掛けた。
