短編・超短編の読み切り作品
秋の夜長に……
※甘めのショート 静かな夜だった。 秋の夜長───いつもよりちょっとだけ夜更かししたくなる季節。 最近買ったばかりのサイドテーブルにお気に入りの推理小説を置き、母から貰ったジノリのカップに紅茶を注ぎ...
LOVE PRACTICE(R)
R作品 夕方、それも西日。 痛いくらいの強い日差しに思わず眉を顰めるも、恐らく夜も気温が下がらないことは容易に想像出来た。 暑い 熱い 母に持たされた西瓜は特別大きく重い物だったが、これにかぶりつく恋人の顔...
DOLCE(ショート)
「悠理、いい加減にしなさいよ!あんた朝からずっと寝てるじゃない?」 高校生活も残すところ、あと数か月。日々寒さが増していく季節の中、剣菱悠理はタマフク柄のクッションを抱きしめ、机に突っ伏していた。 お昼休みも終わり、時計はすでに午後...
Beautiful Beast(R)
夜ともなれば── 日中の粗野でがさつな印象を、野生味溢れるカリスマ的個性へと転換し、僕を誘い出す。 ここ一年……いや一年と半年か。 彼女の美しさは、時として神がかっていて見えるのだが、恐らくは男……それも僕という男を知ったからだろ...
我が人生(ショート)
「恋って、いいもんですねえ。」 しみじみと、それはまるで年老いた夫婦の間で発せられる言葉のようで、悠理は思わず吹き出しそうになった。 「おまえ、いくつだよ。」 「年齢が関係ありますか?」 「その口ぶりはさすがに高校生...
嘘つきは地獄のはじまり(前)
あら────あの顔、どこかで見たと思ったら、先月のパーティで悠理にモーションかけてた男じゃないの。 ちょっと小太りだったから印象に残ってるのよね。 玉の輿探しに余念のない可憐だったが、その時ばかりはふと視線を留め、目を細...
片思いの終着点(清四郎ver.)
片思いの終着点(ショート) 後悔なんて柄じゃない 常に前を向き、己を磨くことが人生に置いて最も重要なことだと思っていた。 そんな人間でも、どうしても忘れられない「後悔」がある。 野梨子に平手打ちされた時、それ...
ナンパから始まるエトセトラ
「おっ!あの子いいな。」 東山護(ひがしやま まもる)は嬉しそうに声をあげた。 ここは大都会東京の某繁華街。 土曜ということもあり人通りは多く、カップル、観光客、家族連れでにぎわっていた。 正直人混みは得意じ...
片思いの終着点(ショート)
♥悠理視点 清四郎が好きだ…… ……なんて、口に出せない想いを1年も抱えてる どうせ片想い決定なんだ 好みじゃないってのも解ってる 恋愛なんか興味ありませんよ…………って呆れた顔で告げ...
愛情に準ずる欲望(R)
「悠理、そろそろ出ますよ。」 「わぁった。」 婚約者として、清四郎が正式に剣菱家に越してきたのは大学二年の秋だった。剣菱に婿入りするということは、必然的に跡取り候補となる。 とはいえ、兄である豊作も存在するわけだから、今直ぐ決定す...