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恋はままならず

恋はままならず〜新風〜

恋はままならずシリーズ 思いの外低く鳴る出航の汽笛。 空気を震わせるその物悲しい音は、悠理の腹底にまで響いた。 そういえば昔、大型客船で旅をしたな、と思い出す。 あの時は手に入れた大金で贅沢三昧楽しん...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(4)

白波が寄せては引いてを繰り返す。 流れる音楽のように。 空は突き抜けて青く、 太陽は燦々と輝いて、 その光を浴びた彼女はやはり美しかった。 「はぁ〜、今日も良い一日だったわ。思い切ってここに永住しちゃおうかしら♡ほら、肌も...
嘘も方便

嘘も方便(3)

嘘も方便(1)(2) 剣菱の屋敷は夜でもそれなりの輝きを放っている。 厳重な警備体制に加え、家の主による装飾が一般家庭とはかけ離れているからだ。 やたらと広い玄関アプローチには、青銅で作られた龍が淡い光を浴びながらこち...
忘れられない女

忘れられない女(1)

その日はやたらと暑く、購買部に詰め掛ける学生はこぞって冷たいスポーツドリンクを求めていた。 学園の購買部は3箇所に分散しており、それぞれ品揃えは違っているものの、お金持ちの子息子女が好む商品が並べられてある。 特に最近発売されたミネ...
アラフォー可憐のお悩み相談室~大人になった六人~

第七話

アラフォー可憐シリーズ 「よーし、これで一件落着だな!」 そう晴れ晴れと叫ぶことができたのは、テロリストの要求からおよそ三十分後のこと。 活躍した悠理は大きく背伸びをし、仲間たちに最高の笑顔を見せた。 あの時……… 野梨子...
読み切り作品

DOLCE(ショート)

「悠理、いい加減にしなさいよ!あんた朝からずっと寝てるじゃない?」 高校生活も残すところ、あと数か月。日々寒さが増していく季節の中、剣菱悠理はタマフク柄のクッションを抱きしめ、机に突っ伏していた。 お昼休みも終わり、時計はすでに午後...
読み切り作品

Beautiful Beast(R)

夜ともなれば── 日中の粗野でがさつな印象を、野生味溢れるカリスマ的個性へと転換し、僕を誘い出す。 ここ一年……いや一年と半年か。 彼女の美しさは、時として神がかっていて見えるのだが、恐らくは男……それも僕という男を知ったからだろ...
読み切り作品

我が人生(ショート)

「恋って、いいもんですねえ。」 しみじみと、それはまるで年老いた夫婦の間で発せられる言葉のようで、悠理は思わず吹き出しそうになった。 「おまえ、いくつだよ。」 「年齢が関係ありますか?」 「その口ぶりはさすがに高校生...
恋はままならず

恋はままならず〜噂〜

恋はままならずシリーズ 剣菱悠理が生徒会長と交際中だって? どこから洩れたのか、そんな噂が学園内を駆け巡った。 悠理のファン、清四郎のファン、それぞれが阿鼻叫喚の様相で嘆いている。 とはいえ、彼らほど...
読み切り作品

嘘つきは地獄のはじまり(前)

あら────あの顔、どこかで見たと思ったら、先月のパーティで悠理にモーションかけてた男じゃないの。 ちょっと小太りだったから印象に残ってるのよね。 玉の輿探しに余念のない可憐だったが、その時ばかりはふと視線を留め、目を細...