読み切りシリーズ(ノーマル)

恋はままならず

恋はままならず〜焦り〜

発芽→惑い 眼の前に広がる不快な光景。 初めはなんの冗談だ、と魅録を窺っていたが、どうやら嘘や新手のジョークではないらしい。 “達也”と呼ばれる男はよほどのお気に入りなのか、魅録は終始、満面の笑みで彼らを茶化していた。 この...
恋はままならず

恋はままならず〜惑い〜

(発芽から続く) カチカチカチ…… 枕元のクラシカルな時計がやたら五月蝿く聞こえるのも、思考が、とある一方向を向き、神経が研ぎ澄まされているから。 いつもならグルメや旅行、夜遊びのことでシッチャカメッチャカな悠理だが、...
恋はままならず

恋はままならず〜発芽〜

なんだかなぁ……今日は気持ちが乗らないっつーか、たぶん楽しめない気がするんだよなぁ。 スマートフォンに羅列された文字は、普段なら絶対心浮き立つ誘い文句なのだが、何故か今日に限って気が進まない。 魅録の仲間がオープンさせた「焼...
嘘も方便

嘘も方便(2)

嘘も方便(1) 「よっ。あんたが夜の街をうろつくなんて珍しいな。」 染み付いたたばこの香り。 高校生には見えない鋭い眼光と、無骨なファッション。 一見アウトローな彼だが根は真面目で、だからこそ僕たちと長く付き合えてい...
嘘も方便

嘘も方便(1)

ショート連載 高校三年の夏休み─── これで最後だと信じたいが、あいつがどんなハプニングを持ち込むかわからないので、確定事項ではない。 今日は久しぶりにESP研究会に顔を出した。 新メンバー二人迎え、いよいよ...
道場小話

道場小話6

初夏の日差しが磨かれた道場の床に射し込む。 師範代をはじめ、厳しい稽古に臨む子供たち。 様々な型を次から次へと繰り出す汗だくの彼らを、悠理は腕組みしながら眺めていた。 (清四郎もあんなだったのかな) ...

雨(HAPPY DAY)

絶え間なく降り続く雨は 大都会東京をすっぽり包むよう 雨足を強めていく 剣菱が持つ超高層ビルの最上階。 その宝石を撒き散らしたような街を、今年26歳を迎える清四郎は眉を顰めつつ眺めていた。 ...
Happy Daily Life

Happy Daily Life act.6

剣菱万作の朝は、アケミとサユリの世話、そして丹誠込めた畑の収穫から始まる。 万作にとって、早起きなど朝飯前。 朝日も昇りきらぬ内、けたたましい“コケコッコー”が邸内に轟きわたり、それを聞いた使用人たちは眠気を堪えて支度し始めるのが日常だ...
Happy Daily Life

Happy Daily Life act.5

※何気ない朝 「最近、目覚めがいいようですね。」 新婚カップル、といっても長い付き合いである。 お互いの事は充分すぎるほど知り尽くしているわけで……… もちろん、悠理の朝がめっぽう弱いことを清四郎は強く認識し...
Happy Daily Life

Happy Daily Life act.4

Happy Daily Lifeシリーズ第四弾はRで。 「あ…………このタイピン。」 “奥さま”なんてちっとも柄じゃないけど、結婚して半年。 ようやくその呼び名にも慣れてきたように思う。 “お嬢様”から“奥様...