太陽の下で~番外編 二人だけの熱(R)~

※だいぶ前に書き上げていたものです。R作品


秋の行楽シーズン。
色んな祝日、休日が重なり、5連休となったその年の10月。
悠理は清四郎に連れられ、沖縄から約一時間半ほどの場所にある、自然美溢れる離島にやってきていた。
まだまだ日射しはきつく、海で泳ぐことも可能だが、「クラゲがいるかもしれませんよ?」と諭され、結局はホテルのプールで楽しむことにした悠理。
海外移住に纏わる手続きと教職に追われる清四郎が、恋人のために確保した貴重な休日の為、僅かなトラブルすら避けたかった。

「先生も泳ぐだろ?」

「ええ、あと少しで終わりますから──。」

百メートル四方はあるだろう大きなプールには、二人の他に三組のカップルがプールサイドに腰掛け、パチャパチャと他愛なく遊んでいる。
がっつり泳いでいるのは悠理だけ。
クロール、バタフライ、平泳ぎ。
どれも見事なフォルムを見せつけていた。

清四郎といえば、大きなパラソルの下に備え付けられてあるデッキチェアに腰を落ち着け、ノートパソコンと睨み合っている。
一日の数時間を仕事に充てるのも、苦労して休みを捻出した証。
そんな時、悠理は必ずといっていいほどプールに飛び込んだ。
泳いでいる間だけは暇だとも、詰まらないとも思わないから。

しかし、だ。

10mほど離れた場所に座る一組のカップル。
その片割れが、先ほどからこちらをチラチラと見ている。
正確には清四郎だけを。
自分の連れと比べているのか、その逞しい肉体や脚の長さ、整った横顔に宿るストイックな表情に見とれているようだった。
今時の“もやしタイプ”では、太刀打ち出来なくて当然だろう。
厚みのある胸板からシェイプされた腰へのラインは、悠理すら喉を鳴らす。

“それら全てが、自分だけのモノ”。
物欲しそうな目をするその女を上から目線で憐れむ少女は、胸の内で毒を吐いた。

『残念だったな。この男はあたいにメロメロなんだぞ?おまえなんかお呼びじゃないやい!』

心此処に在らずな恋人の輪郭を、痩せ形の青年はそれでも恨めしそうに見つめている。
せっかくのビキニ美女だというのに相手にされていない現実。
まあ、気の毒な話だとは思う。

自分はその女のように余所見など出来ない。
清四郎しか目に入らないし、最近では、彼の存在を肌で察知する能力が生まれたようだ。
学園でも清四郎の影を、香りを、気配を、瞬時に嗅ぎ取ってしまう。

こんなにも好きだなんて────自分でも驚きだ。

ひんやりとした水の中でもこの熱い思いは適温にならず、むしろ燃えさかる一方。

暑い陽射しの下、クラクラするのは間違いなく清四郎の所為だ。
悠理は勢いよく音を立てプールから上がると、日陰で難しい顔をしている恋人の横に寄り添った。

「なぁ………せんせ。」

「………ん?」

パソコンから一旦視線を逸らした男が窺う。

「キスして。」

人前で………それもこんな太陽の下で、強請ってくるのは珍しい。
驚く清四郎だったが、もちろん断る理由など無いため、悠理の濡れた髪を耳へかけると、彼女の望むような頬への軽いキスを落とした。
喜びを込めて。
しかし驚くべきことに、愛する少女は物足りないといった顔で清四郎に迫る。

「………もっと。」

「……………いいんですか?人に見られますけど。」

「ん。」

長い睫毛をそっと伏せ、まるで誘うように口を尖らせる悠理。
美しい少女がそんな表情をすれば、男の欲望に火がつくのも当然。
喉を鳴らした清四郎は静かにパソコンを閉じ、そして期待に満ちた悠理を裏切り、
「………当てつけの為にキスなどしませんよ。」と断言した。

「え?」

「部屋に戻りましょう。」

立ち上がると同時、力強く手を引かれ、あっという間にプールが離れてゆく。
宿泊しているコテージまで僅か200メートルほどの距離だ。
プライベートビーチが見える庭先から寝室へ直行した二人は、真っ白なシーツに飛び込むや否や、互いの水着の紐を忙しなく解いた。

「もしかして、欲情しちゃった?」

「当然。悠理が悪いんですよ?」

水気の残った髪を優しくときながら、同じく欲情した婚約者に口づけを落としてゆく。
ここまで来ると昼も夜も関係ない。
心赴くまま、お互いを貪ることに集中する。
艶やかに濡れた唇をしゃぶり尽くすように舐めると、悠理の腰が揺れ始め、その細い手が水着の上から清四郎のモノをさすり始めた。
慣れた手付きでの愛撫。
絶妙の力加減で相手を悦ばせる。

「………すごい…………でかすぎ。」

「ふ………想像してみなさい。これで中を擦られることを。」

甘い囁きはたとえ下品であろうと、更なる欲望を引き出す。
舌を絡ませながら互いの体を愛撫し、一層激しくボルテージを上げてゆく愉しさ。

「んっ………せん……せっ……」

「…………まだだ。もっと深く………」

痺れるほど吸い上げられてなお、舌の根元を刺激してくる官能的なキスに、悠理の視界は白く微睡んだ。

「もう、ぐっしょり濡れてる…………そんなにもコレが欲しいんですか?」

水着越しに押しつけられた熱の杭は今にも挿入できそうなほど硬くそびえ立っていた。
雄々しいシンボルを前に、喉が熱く鳴る。
悠理はそっと手を離すとベッドに横たわり、自ら布を横にずらし、甘く懇願した。

「………挿れて…………早く、それでいっぱいにして?」

ヒクヒクと蠢く穴が涎を垂らしているのが分かる。
清四郎のモノしか必要としないそこを、指で開き誘い込む仕草。
甘え方も強請り方も、すべて彼が教えた。

━━━にしても、淫らな光景だ。

「まったく……………誘惑が上手くなった。」

感心したように溜息を吐きながら、清四郎の指が小さな蕾を弾く。

「ひやぁん!」

子犬のような鳴き声で体を震わせる少女は、その瑞々しい肌を一気に紅潮させ、期待に瞼を閉じた。

「挿れますよ。」

間に膜一つ存在しない二人。
互いの粘液を潤滑油に、躊躇なく滑りこんでゆく。

「あ………ふ………ぅ………」

もう数え切れないほど受け入れたその肉茎は、悠理の内膜のすべてを知り尽くしていた。
どう味わえば悦ぶかも知っている。
ぴったりと吸いつく彼女の膣で、快感の一つ一つを呼び覚ましてゆくと、キュウッと締め付ける見事な胎内。

「毎日のように抱いていても………このきつさ。極上ですね。」

ゆるゆると動きながら、清四郎もまたその心地よさに身を沈ませる。
成長途中の若い体は最上の快楽をもたらし、そこそこの経験値を持つ男を容易に翻弄した。
特に悠理は柔軟で性欲に素直だ。
そんな女を開発してゆく悦びは何物にも代え難い。
男の自信が増す。
清四郎は引き締まった腰を掴み、より深く探るため先端をやらしく擦り付けた。

「んんっ!………いきなりそこ、ダメだってぇ………」

刺激的なポイントを的確に突かれ、悠理の声が跳ね上がる。
そこをひたすら擦られると、訳が分からなくなるほど感じてしまうのは今更のこと。

「おかしくなるほど………感じさせてやりますよ。」

鍛えられた体が、腰が、悠理に覆い被さったまま激しく揺れ始める。
ごく自然に舌と舌を絡ませ合いながらら、互いが密着する音を聞く。
最初に音(ね)を上げるのはいつも悠理の方だが、負けず嫌いな性格の彼女は清四郎が達する時の顔を見たくて仕方ない。
必死に食らいつき、彼の律動に合わせて腰を揺らす。
結局はそのせいで“より強い快感”を引き込んでしまうのだが、未だ解っていないようだ。

「あっ………あっ………せん……せ、もうきちゃうよぉ!」

「…………いつでも…………っ……くっ……!」

感じ過ぎて蕩ける顔は、いつもの快活な悠理ではない。
まさしく女。
荒い息が、しっとり汗ばんだ細い首筋が、清四郎の限界を誘い込む。

「いくっ…………あっ……あ…ああ!!せん……せぇしろぉ………!」

「ゆう……りっ!」

互いの愛しい名を叫び、存在を確かめると、この上ない幸せに包まれる。
大量の熱を放射しながら奥深くへと注ぎ込まれる精子は、実りをもたらすことはないけれど。
得も言われぬ快楽の渦に巻き込まれ、腰が砕けそうになる。
脳へと送り続けられるドーパミンの所為からか、なかなか射精が止まらない。

「ん……ふっ………」

腰を引こうとしても、本能が抵抗する。
二人の粘膜はお互いを求め合い、ねっとりと合わさったままでいるのだ。
快感の残骸に身じろぐ恋人の姿は、清四郎から冷静になる時間を奪い去ってゆく。
ムクムクと勃ち始める雄芯の硬さ。
最初のそれと変わりないほどに猛々しい。

「………ぁ………また………?」

「一度で満足するような身体じゃないでしょう?」

答えを聞かずして塞がれる唇。
互いの舌を舐め、啜り合い、唾液に濡れながら蕩けてゆく恍惚。
こんなやらしいキスが出来る相手は、この娘だけだ。
心から求める相手だからこそ熱も入る。

清四郎の手がまたしても小さな胸を揉みしだき、尖った先をコリコリと攻めたてる。
ビクンビクン…………またしても新鮮な反応をする体。
そんな淫らな姿に脳がじんわり興奮を帯びてゆく。

最後まで食らい尽くしたい。

このような衝動を初めて知った。
理性の欠片も残らないような切望。
無茶苦茶に抱いて、欲に溺れさせ、一日中下着が濡れたままで居ればいいと思う。
まだ未成年の………たかだか高校生の女にそんなことを願うなんて、ほんとどうかしている。

清四郎は意味もなく喉を鳴らすと、目頭の熱さを感じながら、威圧的に囁いた。

「…………今夜は寝かせませんよ?」

「…………うん」

とろんとした眼差しが、快楽の海に揺蕩っていることを示している。
体の芯を疼かせながら、恋人の首へと腕を回し、悠理は熱い吐息を吐きかけた。

「…………いっぱい、しよ?」

可愛いオネダリは男の箍を簡単に外す。
硬く勃ち上がった肉の塊が、濡れたままの筒の中でじれったく揺れ、急くように涎を垂らす。

「…………言わずとも………そのつもりです。」

大きな腕で悠理の背中ごと抱きしめた清四郎は、穿つ速度を上げ、彼女の奥深くまで己を行き来させた。
追い上げる度、漏れ出す潮。
生々しい濡音が、よりいっそう快感を高めてゆく。

「はっ……ぁあ!気持ちいい…………いいよぉ………」

止まらない嬌声に清四郎の腰も滾る。
甘い痺れと何もかも放棄したくなる快感。
湿り気を帯びた肌と肌が、滑らかな抽送を助け、そのまま溶け合いたいとすら願ってしまう。

「悠理…………出すぞ………っ!」

結合部をより密着させたまま、清四郎は熱い息と共に吐き出した。
ねっとりと白濁した男の欲望を。
その瞬間、悠理を包み込む絶頂と快楽の波。
敏感すぎる身体が清四郎の情熱を全て吸い尽くそうと幽かに痙攣する。
ともすれば、まだ足りないと強請るようなうねりを見せながら。

「……………すごいな。」

悠理と体を重ねるようになって随分経つが、日に日に甘い香りを漂わせ熟れていく。
快楽に蕩け、貪欲にくねらせる四肢は、毎回清四郎の理性を奪い取ってしまう。

手に吸いつく小さな胸。
張りがあって感度もよくて、何よりも素直に主張する紅色の蕾。
時々強く摘まめば、嬉しそうな悲鳴を上げ、こちらを悦ばせる。
痛みすら快感に繋がっていることがありありと判る。
若き婚約者は、そら恐ろしいほど彼好みに育っていた。

「せんせ……………なか………気持ちいい………」

譫言のような呟きと恋する瞳。
求めているのが分かり、清四郎は吸い寄せられるように唇を食んだ。
やがて深々と舌を絡み合わせ、同じように腰を蠢かす。

ピチャ……ピチャ………

互いの口内を貪り合う水音が響き、吐き出したばかりの肉杭が力を取り戻し始める。
二度や三度では終われない絶頂。
清四郎が再びその力強い昇りで愛しい女の中を暴き始めた時、すっかり日は暮れ、紺色の空が広がっていた。