二人だけの世界(R)

「あ………せぇしろ………くすぐったい」

悠理のどこもかもを、彼の唇と吐息が奪ってゆく。
伝う汗の香りを。
立ち昇る女の色香を。
彼の鼻は余すことなく嗅ぎ取り、自身の興奮を高めている。
そしてそのセクシーな唇が蠢く度、女は身体の芯から、熱い雫を滲み出させていた。

「悠理………おまえは、なんて良い香りがするんです。」

脇腹をなぞるよう滑らせながら、脚の間にある柔らかな茂みに長い指を絡める。
弄ぶ動きがもどかしくて、悠理は脚を擦り合わせ身動ぐが、彼の手は決してそこから去ろうとしない。
優しく、まろやかな動きで翻弄し続ける。

「ここも………ほら、甘い香りが漂い始めましたよ。」

「や………っ、言うなよぉ………」

のし掛かる男は重く、細身の彼女に押し退けることは不可能。
ただでさえ相手は清四郎なのだ。
厳しい修行を耐え抜いた体には到底敵わず、悠理は悔しさに涙する。

「触れますよ?」

甘く、意地悪な瞳を見せる男は、蜜が溢れるそこへと指を差し入れた。
具合を確かめるように、まずは襞の外側から、そして中へと徐々に侵入する。

圧迫する膣内。
きゅうきゅうと指を締め付ける。

それを感じ取った清四郎は、慎ましやかに隠れている真珠を親指で触れると絶妙な力加減で擦り始めた。

「ひっい………んっっ!!」

女の嬌声が男の脳を冒す。
指は激しさを増し、加速する快感に悠理は喘ぎ続けた。

「んっあ………い、イク…………!」

ブルブルと痙攣する体が、更なる芳香を振り撒く。
溢れる涙は、乱されることによる羞恥。

清四郎はゆっくり身を起こすと、ひくつく悠理の全身を眺めながら、バスローブを脱ぎ去った。
筋肉に覆われた屈強な肉体は、夥しいフェロモンを撒き散らしている。
落ちた前髪から覗く、野性的な瞳。
彼は硬く反り返った肉棒を、悠理に見せつけながら、激しく擦り始めた。

「………ゆうり」

らしからぬ、か細い声。
そんな声を聞いてなお、恐る恐る見つめてくる女の視線に、清四郎はどんどんと昂ってゆく。

「……………あぁ、もっとおまえを見せてくれ。」

全てをさらけ出しているつもりなのに、まだ求めてくるのか?

悠理は羞恥に惑いながらも、ゆっくりと脚を開いた。

「そう、もっと……自分で触れて、中の蜜を掻き出して………」

背徳感漂うその行為は、二人のボルテージを最大限に引き出す。

「こ、こう?」

「ああ………すごく……溢れてる。僕に見られて興奮しているんですね?」

彼自身を握る手は速度を増し、それに合わせて悠理の細い指が花弁を擦り立てる。

部屋に充満する淫らな香り。
艶かしい湿音。

脳が痺れるほど淫猥な光景に、我慢の限界が訪れた。
清四郎の熱い飛沫が、悠理の身体を濡らし、汚し、そしてエクスタシーへと導く。

「あぁ……!」

女の果てる姿は、どうしてこうも美しいのか。
流れ落ちる白濁が、絵の具のように垂れ、彼女というキャンパスを彩る。
清四郎だけが描くことを許された、一枚の絵。
誰にも見せることは叶わない。

緩く上下する腹に溜まった精液を、悠理の指が掬い取る。
そして彼女の甘い舌は、まるで蜂蜜を舐めるかのように、それを味わった。

「悠理……おまえは………なんて…………」

言葉が続かない。
吐き出したばかりの性器は、たちまち猛々しく反り返り、女を蹂躙することしか考えられなくなった。

「せぇしろ?」

「挿れますよ。」

柔らかな太ももが引き寄せられ、彼の切っ先が入り口に当たる。
身を捩り、逃げ出そうとするのは、女の本能か?
ゆっくりと沈み込む先端に弱い部分が擦られると、悠理は髪を振り乱し、切なく喘いだ。

「あっ………あっ………ぁあ!」

快感のツボを浅く突かれる感覚は、理性と言う名の逃げ道を少しずつ、すこしずつ壊していく。

「悠理………もっと乱れなさい。」

「そんなの、怖いよ………」

「大丈夫。僕が側にいるから。」

彼の根元までもが、奥深くに埋まる。
ずっしり重いその感覚。
動き始めた清四郎の呼吸は耳元で掠れ、悠理の心を刺激した。

「あ、あっあっ!!」

リズミカルに押し広げられる膣道。
硬く、雄雄しく、深く抉り続ける肉茎は、体の芯を燃やすように熱い。

「悠理……!いいぞ………すごく締まる!」

どうせなら、二人して狂ってしまいたい。

そう感じるほど、融け合う感覚が恋しかった。
奥深くまで溶かすほどの愉悦を求めて止まない………。

「せぇしろ、せぇしろ!」

肌をぴたりと密着させたまま、二人同時に絶頂を味わう。

吐き出された熱は、ゆっくりと彼女に染み渡っていくことだろう。
どうせなら細胞の一つ一つに溶け込んで、そのまま支配してしまいたい。
そしていつか、二人だけの世界で、欲望の最果てを見てみたい。

清四郎は甘い余韻に浸りながらも、そんな野望を抱く。

『愛』と云う言葉を免罪符にして。