ケダモノカップル(R)

「清四郎のソレってさぁ、標準?それともデカイの?」

突如投げ掛けられた質問は、既に恥じらいを失った交際二年目の恋人から。
風呂上がりの清四郎は、ハタリ、とその動きを止めた。

「…………さぁ?標準よりは少し大きめだと思うんですけどね。」

謙遜して答えれば、悠理は目を瞬かせながら「うっそだあ。」と指差してくる。
それは確信を帯びた声だった。

━━━悠理が僕以外のペ○スを知っているはずはない!!

聞き捨てならぬ台詞に、清四郎は眉間に皺を寄せ詰め寄った。

「いつ、誰と、どのように比べれば、そんな言葉が飛び出すんです!?」

「昨日、夕方、大学からカフェに行く時、変質者に見せられたんだよ!勃起したヤツを!」

「へ、変質者!!?一体どういうことです!?」

詳しく聞けば、細い裏道を通り抜けたところ、飛び出して来た中年男がいきなりコートの前を開けたらしい。
だが、中性的な容姿である悠理を少年と思い込んだその変態は、がっくりと項垂れ、それ以上何もせずに、すごすごと消え去ったというのだ。

「今すぐ警視総監に電話を。」

「え?んなことで時宗のおっちゃん、呼び出すの?」

「当たり前です!この僕の大切な恋人に何てモノを見せつけるんだ!その変態は!」

憤怒する清四郎は怖い。
とても怖い。

悠理は「余計なこと聞いちゃったのか」と反省したが、ここはそれ。
小悪魔テクニックで話を逸らそうとした。

「あ、でも清四郎のコレ、すんごく綺麗だよね。真っ直ぐでスベスベしてて。あのおっさんのヤツ、なんか曲がってたし黒かったし………」

「おまえの動体視力はどうなってる!もしかして暗がりでも記憶できるほど、長い時間見せつけられたんだな!?」

火に油を注ぐ結果となり、しょぼんと肩を落とす悠理。
惨敗だ。
しかし、清四郎は意に介さない。

「おまえがこの先、目に焼き付けていいモノはこれだけだ!!」

ペロリ、下着から現れた逞しい肉茎は美しい褐色をしており、悠理は直ぐ様釘付けとなる。

「やっぱ良い形~!」

「存分に記憶の上書きをしなさい。そんな腐れ野郎のブツは早く忘れることです!」

「はぁーい。」

ペロッと舌を出した悠理は、いそいそと清四郎の足元に跪く。

「食べちゃっても良~い?」

「もちろんです。」

「うふ。頂きます。」

パクン

「あっ…………」

清四郎は一旦怒りを引っ込めると、与えられる愛撫にうっとりと身を任せた。

「は………ぁ、せぇしろの、やっぱ、おっきい………」

口の中で更に膨張するソレは、悠理の全てを満たすもの。
愛しい愛しい、男の欲望。

「そうでしょうとも。好きなだけ堪能しなさい。」




その後、痴漢・変質者対策の強化を警視総監に打診した清四郎。
間もなく捕らえられた露出狂が、どのような人生の末路を迎えたのか。
それを知る者は一人としていない。