Happy Summer Beach(R)

青い空、輝く太陽、透明な海。
しかし何よりも目を釘付けるのは、僕の恋人。

「さ、泳ご~ぜ。」

「待ちなさい。まだオイルを塗っていないでしょう?」

「あ~、どうしよっかな~。」

「塗った方が綺麗に焼けますよ。」

逸る心でうずうずと海を眺める悠理へ、下心を隠して提案する。
彼女は迷った挙げ句、どすんと細い腰を落とした。

「んじゃ、頼む。」

まだ日焼けしていない背中は、足元に広がる砂の様に真っ白で……、僕はサンオイルをたっぷり手に取ると、しつこいほど念入りに、美しいラインを描くそこへと塗り込んだ。

「せ、せぇしろちゃん?ちょっと………」

背中だけではない。
デコルテから胸、そしてウエストへと手のひらを滑らせ、さらに足の付け根とショートパンツからちらりと覗く下尻にまで、くまなく塗りたくる。

「悠理、足を開いて。ムラにならないよう塗らなくては……」

彼女の柔肌を感じながら、まともでいることは不可能。
ビーチパラソルの下は言わずと知れた恋人たちの聖域で━━━
そう、たとえ少しくらい過激な事をしていても、大目に見てもらえるのだから有り難い。

「あ………そこは関係ないだろ?」

「ここも大事ですよ。ほら………可愛いピンク色が変色したら大変でしょう?」

「ち、ちゃんと水着、着てるもん!」

「泳ぎに夢中になって、ビキニが外れても気付かないくせに?」

彼女はぷくっと膨れ面。
しかし僕は、そんな可愛い恋人が着る、頼りない布の脇から手を差し込み、柔らかな肉の頂にある淡い突起をコリコリと刺激する。

「あ………んっ、ばか!摘まむなよ!」

「先っぽもしっかり塗らないとね。」

「やだぁ!んなことしたら………感じちゃうじゃん!」

「感じる?オイルを塗っているだけなのに?」

むずむずとお尻を揺らす悠理は、熱い吐息と共に僕を振り返る。
そして━━━

「嘘ばっかり。おまえだって…………こんなに……」

躊躇わず握ったソレを手慣れた様子で扱き、上目遣いで睨んだ。

漂い始める女の気配。
欲情した悠理はとても美しく、堪らない色気を放つ。

そんな彼女の手で水着越しに触れられ、ほっそりとした指を感じとると、直ぐにでも欲望が弾けそうになる。

「悠理……」

我慢出来ず耳を甘く食めば、熱を持ち始めた身体がぐっと押し付けられ、まるで誘うかのように揺れる腰が僕の昂りを擦りたてる。

「せぇしろ………」

ぞくぞくするほど官能的な瞳。
舌に絡む声は尾てい骨にまで響く。

━━━嗚呼、悠理。なんて表情かおをするんだ。

僕は唾液を塗り込めるかのように彼女の耳朶を責め立て、何度も中を抉る。
ブルブルと小刻みに震える肌が与えられる快感に戸惑っていることも、全てお見通しだ。

そっと周りを見渡すが、20メートルほど離れた一組のカップルは、同じ柄のパラソルの下でお互いに夢中の様子。

僕はショートパンツに隠れた水着のギリギリのラインまで指を這わせると、わざと疼かせるような動きで彼女を翻弄した。

「あ……やっ…………」

「欲しくなってきたんでしょう?」

首を縦にも横にも触れないままの状態で、悠理は僕の指を見下ろしている。
直接触れられたいのに、それを口に出来ないもどかしさ。
羞恥と欲望のせめぎあう様子がありありと見て取れる。

「どうなんです?」

そんな追い詰める台詞に彼女はとうとう陥落し、そして喘ぐように口を開けた。

「も………意地悪っ!!早く何とかしろ!」

━━━━はい。良くできました。


 

彼が悠理を連れ込んだ先は━━━━━
脱衣所と隣接しているトイレの一室。
そこはリゾートホテルが管理している為、公衆の物とは違い、比較的清潔に保たれている。

「やだっ!こんなとこ……!」

「ホテルまで我慢出来るんですか?無理でしょう?」

それは誰に対する問いかけだったのか。
悔しそうに顔を赤らめる悠理を見て、清四郎は心の中で自分自身を嘲笑った。
余裕など、もう一欠片すらない。
サンオイルで滑りを帯びた肌に触れながら、どれほど貫きたい思いに駆られたか。
その艶かしい背中に、幾度吐きかけたいと思ったか。

そこは大人二人が余裕で入れる広さで、清四郎は扉を閉め、悠理を抱いたまま壁に押し付けると、自らの身体をギリギリまで密着させる。
見下ろせば、悠理の目も欲情に濡れていることが解り、磁石で吸い寄せられたかのように唇を重ねた。
最初からの深い口付け。
何度も角度を変え、柔らかい粘膜を啜り立てる。
舌を踊らせるように絡め、甘い唾液の交換を幾度となく繰り返せば、酸素を求めた彼女が涙目で請うた。

「ん…………っ……はぁ……くるし……もぉ……無理。」

「まだです。」

息継ぎの下手くそな彼女に少しの休息も与えてやれない。
急くように唇を塞いだ男の胸を、悠理は弱々しく叩いたが、すぐに脳内が白く染まり、そこまま官能の世界へと引きずり込まれて行く。
清四郎は汗に湿った悠理の‘うなじ’を掌でしっかり固定しながら、喉の奥まで探るよう舐め回した。
震え出す身体はもう、その先の快感を求めている。

━━━━欲しい、欲しい

そんな声なき声が聞こえ、清四郎の手はショートパンツの中へと忍び込んでいった。
水着と一体型のそれは、薄いアンダーショーツが悠理の大事な部分を覆っている。
手に伝わる、生暖かい熱。
すっかり興奮した悠理が、熱い湿気をこもらせている。
長く男らしい指がベージュ色をした布の上から、それらを曝くよう、ゆっくりと撫で始めた。

「あっ…………」

「悠理、これは汗?それともおまえの中から漏れ出す蜜ですか?」

わざとらしく尋ねられたその質問に、悠理は恥ずかしそうに首を振った。

クチュクチュ…
アンダーショーツの下で粘つく音。
清四郎は容赦なくその音を響かせる。

「ほら……言って。僕に何が漏れているのか伝えなさい。」

「や……ぁ……!」

器用さに秀でた指が更に激しく擦り出す。
と同時に彼女の上半身を清四郎の唇が滑り始めた。
蛍光色の水着には、膨れあがった突起があからさまなほど主張し、彼はそこをパクリ、唇で食むと軽く左右に揺らす。
そんな優しい刺激が与えられただけでも、悠理の身体は快感にうち震えてしまう。

「あ、あ、あん……っ」

「悠理?」

「あ、愛液だってば……っ!」

「そう、これは愛液なんですね?どうしてこんなに零れるんでしょう?」

布を食い込ませるよう突き立てられ、ヒッと声を洩らす。

「だ、だって……、欲しくなっちゃったんだもん。」

「何が?」

「…………せ、清四郎が。」

「僕のどの部分が欲しいんです?」

「!!!!」

意地悪な男だ、と常日頃から解ってはいるが、自分だって相当我慢してるくせに、ここにきてそれを聞くのか!?と悠理は目を見開いた。
それでも火照る身体が先を急かす。

「コレ……」

そう言って、水着越しにそそり立った男根を手にするが、清四郎の言葉責めは続き……

「コレ?コレは何て名前なんです?ほらはっきりと言うんだ。」

今度はカリと強めに乳首を噛まれ、仰け反ってしまう悠理。
甘美過ぎる刺激が再びとぷりと蜜を溢し出す。

「●×●……」

「そう、言えるじゃないですか。」

満足そうに微笑んだ男は、赤く染まった恋人を反転させ、そのまま抱きかかえるよう洋式の便器に腰をかけた。

そしておもむろに片足から自分の水着を抜き去ると、悠理の物も器用に滑り落とす。

「いいですね?……大きな声を出してはいけませんよ?いつ隣に人が来るか分かりませんから。」

今更ながらの忠告を、清四郎は殊更丁寧に告げた。
素直にコクリと頷く悠理の臀部には、猛々しい肉塊がこれでもかと触れている。
挿れたい、挿れたいとせっつくように。

「やはりオイルのせいか、ぬめりますね。」

わざとらしく擦り合わされた厚い胸板。
ぬるぬるとした中に彼の尖った乳首までもがリアルに感じられ、一瞬で皮膚が粟立つ。
まるで性感帯を攻められたかのように震える中、彼の手が乳輪の外周を緩々と巡る。
あまりにも焦れったい官能に、悠理の気は変になりそうだった。

「世の中にはローションプレイというものもあるようなので、今度試してみましょうか。」

押し殺した声の誘惑すらも彼女の快感を煽る。

「な、何、それ?」

耳慣れぬ言葉に尋ねれば、

「後で教えてやりますよ。」

そう言って清四郎は、少し腰を浮かせた悠理の秘裂に勢いよく自分を沈めていった。

「ああああ…………んぐっ!」

「こら、声が大きい。」

みっちりと埋め込まれた衝撃に嬌声が溢れる。
しかし大きな手で口を塞がれた彼女は、その目から大粒の涙を零れさせた。

「ん、んん……」

「他の人間におまえの声を聞かせたくないんだ。我慢しろ。」

独占欲がにじみ出す言葉に喜んでいる余裕はない。
揺さぶり始めた清四郎の逞しい肉茎が、子宮に限りなく近い場所をノックし、瞬く間に頭の中で火花が飛び散る。

「んっ……っ、んっ、んっ――!!!」

「はぁ……すごく熱い、蕩けるようだ。」

恋人の切実な声は悠理の快感度合いを引き上げていく。

もっと、もっと昂ぶって、この勢いのまま真っ白な世界へと連れて行って欲しい!

悠理はカリと清四郎の指を囓り、その意思を伝えようとした。
そんな明確な欲望に、彼の腰も最大限に繰り出される。
突き上げる力は益々激しくなり、腰の合間から聞くに堪えない粘着質な水音が響く。

「悠理……中に出していいか?」

コクコクと頷く彼女もまた搾り取るような蠢きを見せる為、いくら清四郎と言えども我慢が出来ない。
彼は悠理の首を強制的に振り向かせると、貪るように唇を奪い、僅かな喘ぎすらその口の中に吸い込んだ。

「!!!」

瞬間、火傷するのではないかと思われるような熱い飛沫が、胎内へと迸る。
子宮にまで届く熱に念願の絶頂を迎えた悠理は、ぐたりと身を預け目を閉じる。

ドクンドクン……

昇り詰める度、勢いが衰えていく吐精。
清四郎は心地良い快楽に身を浸しながら、最後の一滴までをも悠理の中に吐き出した。



二人は息を整え、ぴったりと寄り添ったまま、余韻を楽しむ。
やんわり揉みし抱かれる彼女の胸は未だ痙攣し、次の刺激を心待ちにしている。
細腰をゆっくりと持ち上げれば、とろりと流れ出す白濁。
脳内が痺れるような光景を目にしつつ、清四郎は彼女を反転させ、再び膝の上に抱きかかえた。

「まだ……欲しい?」

「…………ん。」

濡れた性器を悠理の手が優しく包み込み、そして上下に擦られる。

「もっと……したい。」

「泳げなくなりますよ?」

「……いい。今はこれが……いいんだ。」

動物的な彼女の懇願を聞き届けてやれるのは、この世で清四郎、ただ一人。
オイルの勢いを借り、擦りつけてくる紅色の蕾は、限界まで勃ち上がっている。

「可愛いヤツだ。」

そんな痴態を目にした男は、あっという間に勢いを取り戻し、華奢な手を弾き返すほど猛る。
悠理が喜ぶのも当然。

「せぇしろ……大好き。」

「僕も好きですよ。」

欲望はまだまだおさまりをみせない。

再び唇を深く重ね合わせた二人は、目眩く世界を目指す為、密室の中、静かな吐息を漏らし始める。

白い太陽に背いたまま、ただひたすら淫蕩に耽る。
たまにはそんな夏があってもいい…………

悠理はそう自分を納得させると、逞しい肩にしがみつきながら、興奮する男の耳を甘く噛み締めた。