狂宴(R)

満月の夜。
桜散る中、男は鬼になる。
恋しい人を縛り、淫らにそそり勃つ欲望を突き立て、ただひたすら腰を振り、掻き乱す。

「あ………ぁ!も………許し………て………」

着物から覗く生白い肌に、赤い花弁を一枚、二枚━━━

「ほら、もっと啼きなさい………今宵のおまえに理性など必要ないでしょう?」

男の指が紅色の蕾を攻めた。
女はか弱き悲鳴をあげる。

「まだだ。………まだ放してなどやらない。夜が明けるまで、声が枯れるまで、こうして貫き続けてあげますよ。」

引き裂かれた狭き肉の中へ、男の赤黒いモノが激しく出入りする。
滴り落ちる欲情の飛沫。
濡れそぼる粘膜は、本来動かずとも十分な刺激を与えてくれる。

まだまだ若い肢体。
喰むように締め付ける媚肉の心地良さに、男の端麗な眉が険しく寄った。

「あぁ………悠理。もっと僕を欲しがればいい。乱れ狂って、そのまま僕に取り込まれてしまえ。」

女の目からは男の蕩けるような表情が見えない。
ただ背後から届く、低く掠れた声に、身体の奥深くが熱く痺れるだけ。

「ひぃ……んっ!!あぁっ!!!」

その太い竿は、滑る胎内の全てを知り尽くしている。
開ききった女の口は戦慄(わなな)いており、あられもない嬌声だけが夜に響いた。

全ての思考を放棄したくなるほどの快楽。
涎を滴らせ‘よがる’姿は、空にある月すら目を覆いたくなるだろう。

「も………おねが………い…………休ませて………」

そんな懇願にほくそ笑む男は緩やかに、そして深く腰を回しながら、自ら舐め濡らした長い中指を、ピタリと肉芽に押し当てた。

「まさか。休みなど与えませんよ。今日はおまえを好きにしても良い日なのですから。」

言うや否や、肉芽の上で男の指が軽く弧を描き始める。
その甘く辛い刺激に、女の華奢な腰が跳ねるように揺れた。

「ふ……ここに触れると、より一層締まりますね。」

「あ……ぁんっ、だっ………め……そこ………あぁ!!」

理性など、この快感の前では失って当然。
女は甘く濡れた声を必死で抑えようとするが、それはもはや不可能だ。
追い立てられる身体が痺れを切らす。

「せぇしろぉ………も、イカせて?………イキたい。いっぱいイキたいの!」

望みが吐き出されると同時、女の腰がやらしく強請り始める。
一旦穏やかさを見せていた律動もまた動きを速め、そして胎内に埋め込まれた肉茎は更なる膨張を見せた。
男は奥歯を食い縛り、斜め下から思い切り突き上げる。

「ひっん、かはっ………!」

呼吸すら奪ってしまうほどの衝撃。
たちまち始まった激しい抽送に追い上げられ、女の全身は自然と強張る。

強引に開かれた襟元からは、まだ未成熟な乳房が溢れ落ちて、男はその軽い重みを揉みし抱き、悦に浸る。

「あぁ……悠理、ゆうり!」

「せぇしろ………!!」

隙間なく密着した二人は同じタイミングで絶頂の高みへと到達した。
女は奥深く貫かれたまま男の熱き迸りを感じ、虚ろな目で崩れ落ちる。

「………はぁ、はぁ………」

息はなかなか整わぬ。
完全に蓋をされ、一滴すら溢れない状態で、悠理の身体は再び持ち上げられる。

「あ………も、無理だってばぁ………」

「何をおっしゃる。まだまだこれからですよ。着床率を上げる為には何度でも注ぎ込まなくては。」

そう、二人は子作り真っ最中。
月に一度の排卵日を的確に狙い、その時ばかりは清四郎も鬼のように攻める。
言うに及ばず、元からの性格もそこそこ『鬼』。
悠理を苛め、啼かせる事に関しては、嬉々とした表情を浮かび上がらせる。

三ラウンド終了後━━━
汗だくになった悠理の肌を、清四郎の唇が這う。

「なんで縛るんだよぉ。」

「あぁ、それはオプションです。危機感を抱いた時の方が妊娠しやすいと聞きましたので。」

「うそつけ!ただの趣味だろ?」

「ま、全てを否定できませんがね。次はもう少しハードにいきますか?」

「は、ハード!?」

「ええ。道具ならインターネットでいくらでも手に入りますし……」

にっこり笑う夫に対し、妻の背中を悪寒が走る。
決して頷いてはいけない場面だ。

「わざわざ着物まで着せて……変態だよな、おまえって。」

「動きが制限されることで焦れったくなるでしょう?普段よりもずっと艶っぽくて、恐ろしく興奮しましたよ。さ、今夜はエンドレスです。子作り、子作り。」

「あ……んっ!もう♥」

まだまだ新婚一年目。
二人の獣じみた夜はこうして過ぎてゆくのであった。