Phone Call

───よぉ、悠理。今から出てこれねぇか?アツシの就職祝いで飲み屋貸しきったんだけどよ。箱がでかすぎて、人が足りねぇんだ。

だからアツシだよ、アツシ!
おまえ、この間、奴の後ろに乗って喜んでたろ?
そう、ヤマハのナナハン………赤いボディの派手なやつ。

え、無理?何か用事でもあんのか?
は?清四郎が何だって?

……………………そうか。了解。悪かったな、邪魔して。
いやいいよ。無理に来なくてもいいから。
今度会った時にでも、声かけてやれよな。 あいつ、おまえとつるむの楽しかったみたいだし。

………いや、電話とかしなくていいだろ。
うん………そう、やっこさんがな………
ああ、キレるとやべぇしよ。

あ?隣にいる?
マジかよ。
こっちの声筒抜けじゃねぇの?

…………そうか、スピーカー通話してんのか。(最初っから、聞かれてたんじゃねぇか)

いや、そろそろ切るさ。
土曜の夜だもんな。
二人で楽しめよ。

うん…………また学校で。
ああ………んじゃ。



「魅録、どうだった?」

「…………忙しくて来れないとさ。よろしく伝えてくれって。」

「そっか…………しゃあねぇよな。ちょっとだけ顔見たかったんだけどよ。」

「今生の別れってわけじゃないんだ。またいつか会えるさ。」

「そだな。」

─────たぶん。
あの男が許したら、の話だけどな。