「いいですか?お酒はほどほどに。帰りは名輪を呼ぶか、タクシーを捕まえなさい。携帯電話を無くさないよう時々チェックするんですよ?」
「はいはい。わあったってば。親よりもうるさいぞ、清四郎。」
「親以上に………愛している自信はあるんですけどね。」
「うっ………………それも解ってるよ。」(照)
「さ、上着を羽織って。春先とはいえ………こんな薄着で本当に大丈夫ですか?」
「あたいが頑丈なの知ってんだろ?風邪菌だって裸足で逃げてくさ。」
「結構。それと変な男に絡まれたら、すぐに電話しなさい。GPSはONになっているな?」
「うん、なってる。あ、そだ。いくら男だらけの飲み会だからって、浮気の心配なんてこれっぽっちもしなくていいかんな。魅録だって居るんだし。」
「…………当然です。僕以外の男で満足出来るような調教はしてきてませんよ。」
「けっ。自信家め!」
「おや、違うんですか?」
「……………違わないけど………」(照)
「よろしい。………あぁ、でもやはりついて行くべきか。最近のおまえは酒が入ると、随分色っぽくなりますからね。グラスを取ろうとした手を握られたり、テーブルの陰で腰を抱き寄せられたり…………まさか強引に顎を掴まれてキス、なんて………されないでしょうね!?」
「妄想が激しすぎる!!」
「酒が入った男は野獣です。油断は禁物ですよ?」
「……………あのなぁ。みんなおまえのこと知ってんだぞ?おまえの強さもイヤと言うほど知ってるし。どこの世界にそんな奴の恋人にちょっかい出す男が居るよ?」
「ふむ………それはそれは、謙虚でよろしい。」
「それに…………」
「それに?」
「……………皆、あたいが清四郎にベタ惚れだって、わかってるもん。」(三回目の照)
「!!!」
「だから大丈………って………ちょ、なにすんだ!?」
「おまえが点火したんですよ。責任をとりなさい。」
「こら待て!あ、あたい飲み会………………」
「どうでもいい男達とベタ惚れの婚約者、どっちが大切なんです?」
「んな卑怯くさい二択あるかよ!」
「そう。もちろん、一択ですよね?」
「……………っ!」
「愛してますよ、悠理。」
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「松竹梅様、申し訳ございません。せっかくお迎えに来てくださったのに。お嬢様は少々風邪気味とのことでして…………」
「…………あ、いや、なんとなーく解ってたんで。ハイ。」
「“呉々も宜しくお伝えください”と、清四郎様より言づかっております。」
「……………………お大事に。」