━━━━お待たせ。
いつもの軽快な口調で部屋にやって来たのは、どう見てもあたいの恋人なんだけど、その姿はいつも通りじゃなかった。
目の覚めるような赤。
帽子まで被った、本気のコスプレ。
「な、なんだ?その格好!」
「クリスマスですからね。たまには良いでしょう?」
たまには………ね。
意外とノリ良いんだな、こいつ。
知らなかった清四郎を知って、思わずにんまり。
「うちに来るまで、そんなかっこで歩いて来たのか?」
「まさか。名輪さんが迎えに来てくれましたよ。」
人ん家の運転手を当たり前のように使いやがって…………。
でもまあ、来年には家族の一員になるんだし、良いんだけどさ。
それに、こんなにもでかくて、目立つサンタが歩いてたら不審者扱いで即通報だろうし?
「プレゼントは?」
「ちゃんと、良い子にしてましたか?」
「む?良い子?」
「早く僕に会いたいと………願っていましたか?」
「そ、そりゃ………まあ……’遅いな~‘ってくらいは思ってたけど……」
こんな風に甘ったるいやり取りが出来るようになったのも、ここ最近。
お互い、’らしく’ないもんな。
あー・・・だけど、やっぱ照れる!
全然慣れてないんだもん!
なんて答えたら良いか分かんなくて、もじもじしてたら、ふんわりヤツの腕の中。
ちょっぴり冷たい指で頬をなぞられた。
くすぐったいなぁ~、もう。
猫じゃないんだぞ?
目と目が合ったまま、繰り返し与えられる心地好さに、瞼がとろんとしちゃう。
暗示にかけられてんのかって思うほど、清四郎のことが好きな気持ちが溢れて、こそばゆくなる。
あたい………恋してるんだよなぁ。
いまだに信じらんないけど。
「すごく可愛い顔をしてますね。無茶苦茶そそられますよ・・・。」
「なら、早く、プレゼントちょーだい。」
「何が欲しい?」
最後まで言わせる意地悪な男だけど、心は逆らえない。
「・・・・‘清四郎’。」
「よしよし・・・良い子だ。」
頭の芯まで蕩けるようなキスは、まるでアミューズ。
サンタクロースの中身は飢えた獣だってこと、イヤというほど知ってるから、どうかこのまま優しく抱いて欲しい。
そう願っても━━━━
「甘いですよ、悠理。サンタはただの配達人。プレゼントはあくまで、この『僕』です。」
赤い衣装は見る間に床へと落ち、熱い肌を持つ見事な躰が現れる。
燃え盛る情熱を抱えたまま、清四郎はあたいに覆い被さってきた。
息が苦しくなるくらい抱き締められ、皮膚が粟立つほど色っぽく囁かれる。
これに弱いんだよな………あたい……
「気絶する覚悟はできてますか?」
「て……手加減しろよ……馬鹿。」
言葉とは裏腹に心は踊る。
重ね合わせる肌の気持ち良さはお墨付き。
♪恋人はサンタクロース~♪
懐かしの名曲が頭を巡る中、二人で乱れた聖夜を過ごすのもお約束……だよな?