R作品
「やだっ…………せぇしろ!!」
「‘いや’?こんな格好をしてイヤもクソもないでしょう?」
「だ、だって、これは………おまえが!」
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「確かに僕が要求したんですけどね。だからといって、他の男に見せろとは言ってませんよ?少し考えたら分かるでしょう?こういう衣装は、基本、二人きりの時に楽しむ物なんです。」
そう言い切る清四郎の長い指が、悠理の柔肌を舐めるように這う。
たとえここが、クラブの立ち並ぶ繁華街の路地裏であったとしても、彼は気にも留めない。
お世辞にも綺麗とは言えない壁に悠理を押し付け、荒々しく唇を貪るその姿。
普段の沈着冷静な生徒会長からはほど遠く、まるで牙を剥いた雄ライオンのように、攻撃性のあるフェロモンが漂っていた。
悠理は思う。
━━━あたい、なんか間違ったのかよぉーー!
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二人は、付き合ってたかだか三週間の、生まれたてカップル。
しかしその関係は決して初々しいものではなかった。
きっかけは清四郎のあり得ない告白から。
「もう、限界だ!!おまえを抱きたくて、どうにかなりそうです!」
見たこともないほど切羽詰まった表情で押し倒され、半ば無理矢理その花を散らされた悠理は、早々に混乱の渦へと放り込まれてしまう。
人よりも脳の働きが鈍い彼女。
清四郎の本意など伝わっては来ない。
そのくせ彼に開かれた身体は、与えられる官能に瞬く間に順応し、最初から激しく身悶える始末。
常識を凌駕する快感に、なけなしの抵抗も無意味と化し、すっかり性の玩具と化してしまった自分に辟易する。
もちろん、普段から彼の『おもちゃ』ではあったけれど。
こんな爛れた関係が、実は彼の恋心によるものだと気付いたのは、三度目の夜。
帰宅しようと名輪を呼び出す前に捕獲され、あれよあれよと菊正宗邸に連れ込まれる。
ベッドの上で散々弄ばれた後、清四郎は背後から抱き締めながら、睦言のように呟いた。
「いつか………結婚して、子供を二人作りましょうね。」
「・・・・・へ?」
「三人でもいいですよ。」
「ち、ちょっと待て!どーいうことだよ!?」
突拍子も無い未来予想図を聞かされ、目を白黒させる悠理。
彼の思惑を理解出来ようはずもない。
ただでさえ、自分とはかけ離れたタイプの人間なのだ。
お馬鹿な彼女には荷が重かった。
「解らないんですか?僕は結婚したいくらい、おまえが……好きなんです。」
そこでようやく、彼は愛を告げる。
━━━好き??あたいを好きだって!?
「んなもん、聞いてねぇー!!」
「ん?言ってませんでしたかね。それは失礼。」
どうやら知っていて当然だという口振り。
混乱に拍車がかかる。
「す、す、好きって………」
「ええ。悠理が好きです。むしろ愛しています。ここ数ヵ月間、夢の中に現れるおまえに欲情しまくっていました。さすがの僕も気づかされましたよ。これが恋なんだ、と。」
「ど、どんな夢見てんだ!変態!!」
「聞きたいんですか?」
「聞きたくない!!!」
脳の血管が破裂しそうなやり取りに、悠理はぐったり力を抜く。
思い起こせば、彼は確かに少々おかしかった。
皆が集まる部室では、必ず悠理の隣に座り、じっとり顔を眺めてくる。
放課後は何故か名輪の車に乗り込んで剣菱家に向かい、勉強会と称して夜遅くまで居座る始末。
きちんと勉強もするのだが、たいていは他愛のない話をし、二人でおやつを食べながらDVDを観て、「おやすみ」と言って別れるだけ。
皆と騒ぐ夜遊びでも、清四郎は悠理から片時も離れたことがなかった。
「ま、まさか……あれってアプローチ?」
「そうですよ。」
「わかるか!!んなもん!」
「あんなにも分かりやすくおまえの側に居たんですけどねぇ。気付かないなんて、頭が悪過ぎますよ。」
さらりと酷いことを言うが、それもいつものこと。
悠理はとうとう泣きそうになった。
「もっとストレートに告って来いよ!これじゃ身体目当てだって思うだろ?」
「身体が目当て………ふむ。全てを否定することは出来ませんが、僕は好きでもない女とセックスする主義はありません。」
「・・・・・え?」
思いがけない告白に動きが止まる。
「それも気付かなかったんですか?僕はおまえが初恋なので、もちろんあの日が‘初めて’です。」
「嘘つけ!!あんなにも慣れてたじゃん!」
「どうやら僕は、何をさせても優秀なんでしょうねぇ。知識さえあれば実践に移せるんですから。」
自画自賛と共に相槌を打つ清四郎。
それを見て目を剥く悠理。
引き続き、頭の中は混乱中だ。
とてもじゃないが信じられない。
あの夜の清四郎は驚くほど手際がよかった。
バナナのようにひん剥かれ、しつこいほどの愛撫を与えられ、激しく貫かれて、最後にはもう、快感に喘ぐただの人形となっていた。
観察するよう見つめてくる男には、うっすらと汗が滲んでいたものの、その表情に大きな変化は見られず、悠理の身体を裏表満遍なく舐め尽くしていった。
━━━━なのに、あれが初めてだって!?信じられっか!
彼女もまた、快楽に陥りやすい身体である事に気付いていない。
「僕はおまえのもの、おまえは僕だけのものです。これからは、みだりに人前で肌を晒さないようにしなさい。もちろんパンツも、ね。」
そう約束させられた後、再び押し倒された悠理の心中は
━━━━もはや、何も言うまい。
だった。
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それから約三週間。
二日と空けず好き勝手されている悠理だったが、先日二人で訪れた商業施設にて、可愛いサンタガールの衣装を見つけた彼にそれを買い与えられた。
所謂セクシーグッズの類(たぐい)なのだが、悠理には通じていなかったようで━━━
「クリスマスに、これを着て僕に見せてくださいね。」
とにっこり笑った清四郎の目的を、やはり理解出来ていなかった。
そして今日、クリスマス本番を迎え、街を歩くカップル達は浮き足立っている。
悠理は、美童のモデル仲間が開催したクリスマスパーティに出向き、何故かその衣装で登場した。
可愛く、ちょっぴりセクシーなサンタガールに盛り上がる会場。
可憐が「やるわね!あんた。」と喜ぶ横で野梨子は若干目を逸らしたものの、美童の「よく似合ってるよ」との賛辞に気を良くする。
魅録だけは、その薄いワンピースの妖しさに首を傾げていたが、悠理自身は満足だった。
(へへ。清四郎、何て言うかな。)
すっかり調教されつつある彼女は、ぴらぴらの布地を翻し、酒を飲み始める。
周りのイケメン達の視線は獣じみたソレ。
清四郎の手に落ちた悠理の色気はどんどん上昇中であるからして、まだ成長の余地を残した身体はむしろご馳走にしか見えない。
「ねぇ、君、すごく可愛いね。こっちに来て飲まない?」
「んぁ?」
「ほら、このカクテル、甘くて美味しいよ?」
ジュースのような酒を差し出し、テンプレートのような台詞で誘い続ける男達。
「んまい!」
彼らは知らなかった。
彼女がザルであるということを。
遅れてやって来た清四郎が目にしたのは、二人の男に挟まれた恋人が、20杯目のカクテルを飲んでいる最中で、一目見た瞬間、その端正な顔を険しく歪ませる。
ツカツカと靴を叩きつけるような歩き方で彼らの側に辿り着くと、カウンターに座る悠理をそのまま抱え上げ拉致。
そんな目立つ光景に、首を傾げる仲間達だったが、酒の所為もあってか長くは気に留めない。
清四郎と悠理。
二人の関係に気付いている人間は、まだ誰もいなかった。
清四郎は店の裏口から飛び出すと、そのまま荒々しいキスを始めた。
それはもう明らかな不機嫌さで。
▽
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▽
そして冒頭へと戻るのだが、悠理の頭は疑問符だらけ。
何が、どうして、こうなったのか・・・分からない。
「さぁ、後ろを向いて。馬鹿な恋人にはお仕置きが必要でしょう?」
彼はイライラしていた。
男達がどんな目で悠理を見ていたかなど、思い出したくもなかった。
柔らかなラインを描く両肩。
男の欲情をそそる細い首。
きめ細かな白肌を彼らは食い入るように見つめていた。
「あっ!」
手際よく下ろされた白い下着。
剥き出しになった尻に冷たい風が吹き抜ける。
だがそこを温かな彼の手が覆い、優しく撫で回す感触を得て、壁に爪を立てていた悠理は、清四郎が今から何をしようとしているのかを的確に読み取った。
「こ、こんなとこで……やだっ………!」
しかし、完全にスイッチが入った男を止める術は知らない。
膝を折った清四郎は、露になったそこに容赦なく口を当て、啜り立てるような音を立てながら愛撫を始めた。
「寒いんですか?震えていますよ。」
「誰のせいだ!!」
悪態を吐いたとて、悠理はまさしく彼の玩具。
直ぐ様、蕩けるような快感が下半身を覆い、腰がゆらゆらと蠢き出す。
人が通らない保証など何処にもない路地で、二人の痴態は繰り広げられる。
襞を掻き分ける長い指。
優しく、時々揉み込むように撫でられる太もも。
執拗な舌技は清四郎の憤りと執着を示している。
「あっ!……あっ………んっ………!」
自然と漏れ出す声は蕩けるように甘く、どう足掻いても止めることは出来ない。
恥じらいも戸惑いも、全てを奪い取っていく。
「こら、静かに。………人が来ますよ?」
「………んっ………んっ!」
嗜められ、声を押し殺せば、反射的に蜜が溢れ出す。
嗜虐に濡れる花を目のあたりにした清四郎は、感嘆の溜め息を吐いた。
「おまえはなんて淫らな身体なんでしょうね。本当に仕込み甲斐がありますよ。」
薄く赤い布に覆われた上半身に手を伸ばし、やんわり胸を揉み始めると、悠理はいよいよ甲高い矯声をあげた。
「もっ……やあ……ぁ!あぁ………!」
慌てて手のひらで口を閉じるが、もう遅い。
煌めく大通りを行き交う人間が、二人の存在に気づいてしまった。
清四郎は慌てて立ち上がると、自らのジャケットを悠理に被せ、小走りにその場を立ち去る。
通報されては、流石にマズい。
逆方面に路地を抜けた所で、運良くタクシーに乗り込んだ二人。
「おや、可愛らしいサンタさんだね。」
「コン○ッドホテルへ。」
「はいよ。」
欲情の火が灯った身体を、シートの上でもじもじさせる悠理。
切ない余韻に頭がクラクラする。
だが、そんな淫らな恋人を清四郎が放っておくはずもなかった。
「悠理………」
視線だけで促され、悠理は目を瞠る。
赤い裾から伸びる、細く長い二本脚を、彼は『開け』と言っているのだ。
沈黙したまま首を横に振るも、強引に割り込ませた手が、彼女の秘められた場所を暴く。
濡らしたのは清四郎。
しかし太股が滑るほど、蜜を溢したのは悠理の期待からだった。
「…………んっ…………」
車の走る音に掻き消される、甘い吐息。
巧みな二本の指は、クチュクチュとわざとらしい音を立てていたが、ラジオを流す運転手の耳には届いていないだろう。
「いやらしい音ですね?」
耳に忍び込む意地悪な声に、悠理は自分の中が的確に掻き回され、絶頂へ誘われようとしていることに気付いた。
「んんっ………!」
『こんなとこで……ヤダ!』
そう涙ながらに訴えるも、彼の手は止まらない。
柔らかく厚みのある肉壺の、いわゆるGスポットを擦りたて、悠理が喘ぐ様子をつぶさに見つめていた。
「イきたいんでしょう?中がヒクヒクし始めましたよ?」
「………っ!!」
快感に弱い女だと、清四郎は気付いていた。
中と外、そして奥深くでの絶頂を叩き込んだ体は、思うがままに操れる。
それでいい。
僕が望む場所で、望むように脚を開き、その淫らな姿を見せつければいいんだ。
クイッと曲げられた指で、更に強く擦られる快楽の源。
慌てた悠理は両手で口を塞ぐと、清四郎の肩にもたれ掛かったまま、瞬く間にエクスタシーを迎えた。
「1600円です。」
二枚の札を出し、釣銭を貰わないまま、二人はタクシーから降りる。
周りからすれば、男にくったりと寄り掛かる悠理は、酒に酔っただらしない女に映ることだろう。
清四郎の磐石な腕は、しっかりと細腰に巻き付いたまま、ホテルのチェックインを済ませる。
サンタガールを小脇に抱える男を羨むスタッフたち。
その気持ちも分からなくはない。
今日はクリスマスなのだ。
特別な一夜となる、大切なイベント。
自分達とは縁遠い、ロマンティックな聖夜。
清四郎は特別フロアへの直通エレベーターの中で、悠理の胸をまさぐっていた。
大きなジャケットの前身頃から手を突っ込み、幼さの残る、しかし女性的な魅力も醸し出し始めている柔肉を揉みしだく。
「も………やめろよぉ………」
力無く抵抗するも、「これも前戯の内ですよ?」との答え。
理性と言う名のボタンが外れ、清四郎はどこかおかしいのかもしれない。
朧気な頭でそう考えるも、衣装の上から捏ねられ続ける乳首に意識が奪われ、悠理は喘ぐ声を止められない。
「…あ…ん……」
「気持ち良いんでしょう?」
「…………うん。」
「そう………素直が一番です。素直なおまえはとても可愛い。ほら……僕も興奮してきましたよ。」
彼女の手が導かれた先は、スラックス越しの欲望。
その怒張は、強さを誇る彼そのもの。
「か、硬い………」
「ええ、弾けんばかりです。もちろんおまえの中に埋めるまでは我慢出来ますが……」
そんなあからさまな言い方は、もうどうしようもなく濡れそぼった悠理の股間に新たな蜜を溢れさせる。
「………直ぐに、入れてあげますからね。」
「………うん。」
頷いた悠理の唇が軽く塞がれると同時、軽やかな音と共に二人をのせた箱は最上階へと到着した。
ワンフロアに二つだけの贅沢な部屋。
扉を開けたとたん、むせかえるような薔薇の香りが漂う。
「う……わっ。これ……」
「クリスマスくらい、ロマンティックに過ごしましょう。」
そう宣言した清四郎は、至るところに飾られた薔薇を満足そうに眺めた。
大理石で作られた大きなテーブルには、たくさんのスイーツが並べられている。
全ては恋人を楽しませる為。
だがその前に、飢えた狼の喉を潤してもらおうじゃないか、と清四郎は彼女を夜景の見える大きな窓に押し付けた。
そして邪魔なジャケットを剥ぎ取り、床に放り投げる。
真っ赤な衣装に包まれたサンタガールは、冷たいガラスの感触に火照る身体を癒されながら、柔らかなスカート部分だけを捲られてしまう。
露となる美しき臀部。
清四郎はそこを撫で回し、満足そうな吐息を吐くと、「いきますよ?」と小さく呟いた。
「あっ……!」
チャックを下ろしただけの男は、屹立した肉棒をすんなり沈め込む。
犯される悠理。
なんの抵抗もなく受け入れてしまう哀しき身体。
「……すごい………ぬるぬるだ。」
「あ………ぁあん!」
「ほら、奥の奥までずっぽり入った。わかりますよね?ここ………此処に当たってるでしょう?」
回された手が、子宮あたりを優しく撫でる。
舐め回すような動きで、肚の奥底を弄ばれる快感。
悠理の狭い膣道は、きゅうっと男を締め付ける。
そのあまりにも甘美な感触に、清四郎の口から甘い吐息が零れた。
「……ふぅっ………今日はたしか……安全日だったな。」
「!!」
「たっぷり注いであげますからね。」
「え……!?」
妊娠する危険性はゼロでは無いというのに━━━━
驚愕する悠理の片足を持ち上げた清四郎は、容赦なく穿ち始めると、二分を待たずして、その胎内に白き欲望を吐き出した。
悠理はあまりの激しさから崩れ落ち、夜景の煌めきを見つめ、放心したまま。
身体が震えるほどの余韻。
痺れる下半身からとろりと流れる、生暖かい白濁。
汚されたとは思えぬ、妙な愛しさが全身を包み込む。
清四郎は軽く息を整え、身に着けているもの全てを脱ぎ去ると、子供を抱きかかえるように手を伸ばす。
「………ベッドにいきましょう。」
「も………腰抜けたぁ。」
「何を言ってるんです?まだまだこれからですよ。」
赤は興奮を誘う効果でもあるのだろうか?
欲望にギラついた目が、悠理を捕らえて離さない。
飢えた狼よりも激しく、襲い来る渇きに対峙している。
自分でも想像していなかった嫉妬心を、彼は持て余していた。
ベッドに横たえられ、脚を大きく開かされたサンタガール。
ぐっちょりと濡れたそこは、そんな狼に畏怖するよう、震えている。
「いい眺めです。」
吐き出した欲望と、女の欲情。
この上なく淫らな祠へ、清四郎は容赦なく侵入した。
赤い衣装の上から固く尖った両方の蕾を捏ね、激しい律動を繰り返す。
悠理の愛液と己の欲望を掻き出すよう、何度も、それこそ何度も。
「あっ………ひっっぃ!!ああっあっ………もっ……だめぇ!」
嗚咽と甲高い矯声が入り交じる。
かき混ぜられる蜜壺は白く泡立ち、グチュリグチュリと耳にこびり付くような淫猥な音を立て、肌が打ち合う音と溶け合う。
細い腰を掴んだ手は、悠理を人形のように前後させ、男の猛々しさを伝えていた。
「んっんっ………ああ、せいしろ……!!」
飛び散る熱き潮。
悲鳴のような嬌声。
清四郎は、哀れなほど涙を流し、悶える子羊に、たっぷりと口付け、二度目の放出を奥深くで終えた。
だがそれで満足するような男ではない。
粘膜を絡み合わせ、互いの唾液を啜り合っていると、中に埋めたままの肉茎はあっという間に復活を遂げる。
「……な、なんで、こんなに……絶倫………なんだよぉ………」
激しく息を切らす悠理に対し、彼はそこまでではない。
余裕を見せつけながら、それでも本音を吐く。
「悠理の具合が良すぎるのもありますが…………僕は頭のどこかでおまえを支配したいと考えているんでしょうね。」
━━━━支配!?
悠理にとってその言葉は、恐怖と嫌悪の対象。
けれど、ここまで作り替えられた身体は確かに清四郎の言いなりになっていて、与えられる快楽から逃れることは出来そうもなかった。
「あ、あたいだって!おまえのこと支配してやるかんな!」
「ほう。おまえにしては良い台詞です。」
ゆっくりと舐め回すような動きで、悠理の奥深くを探り始めた清四郎は何故か嬉しそうに笑う。
「もっともっと僕のことを考えなさい。一日中僕だけを思い、僕の為に身を焦がせばいい。そうでないと……不公平だ。」
「……………え?」
「目には目を、愛には愛を。同じくらい想って欲しいと願うことはおかしいですかねぇ?」
欲望ばかりだと思っていたその瞳に、切なさが滲んだ。
悠理はキュンと胸を締め付けられ、思わず両手を伸ばす。
「おまえって…………………可愛い。」
「可愛い、ね。ま、今はその答えに甘んじておきましょう。」
「あ……!」
照れ隠しからか、抽送を速めた清四郎はやはり可愛かった。
視線から逃れるよう悠理の首元に顔を埋め、ほんのり赤くなった耳を見せつける。
「せ……せぇしろ!」
「ん?」
「………好き、だよ………」
想いよ、届け!
どうせ、今日はクリスマスなんだ。
意地も照れも取り払って、お互い素肌で感じ合い、伝え合おう!
驚きのあまり一旦動きを止め、目を瞠った清四郎。
悠理の気持ちが届いたのだろう。
頭の芯が痺れ、目が眩むような幸福に包まれる。
「メリークリスマス、悠理。ずっと………愛してる。」
「メリークリスマス……せぇしろ………」
恋人として初めて過ごす聖夜。
どうやら心の距離も、ぐんと縮まったようだ。