「せーしろー!姫始めしよーぜ!」
「悠理………その漢字、正しく変換されてます?」
「は?“姫”、“始め”、だろ?他にあんの?」
「諸説ありますが、元々“姫始め”という言葉に『年が明けてから初めてするセックス』の意味はありません。」
「うそん!まじ?」
「ま、近年ではそういう意味合いで多くのカップルが励んでいるそうですが、実際は“やわらかく炊いた飯”、『姫飯』を食べ始める日とされてますね。まあそれもどこまで信憑性があるかわかりませんが。───だから意味に沿った漢字としては“秘め始め”が正しいかと。」
「ふーん。そなんだ…………じゃ、『姫始め』は無し?」(キュルルンと澄んだ目で見上げる悠理)
「まさか!漢字などどちらでもいい話です。もちろんどっぷりねっとり、今から一日かけて楽しむつもりですよ。」
「うふ♡せぇしろちゃん、愛してる♡」
「覚悟してくださいね、悠理。」
皆様の予想通り、体力自慢の彼らがたった一日で終わるはずもなく────
「ん~・・・あり?今、何日?おせち食ったっけ?」
「僕の筍なら、ほら、ここに。」
「あん♡まだこんなにも硬いのかよぉ。」
「当然です。ほら僕にもおまえの貝を味合わせてくださいよ。」
「あははは!下品~!」
三日三晩かけ行われる“秘め”始め。
仲間達すら近寄らない愛の巣は、盆正月に関わらず、いつもピンク色の空気に包まれている。
ここに踏み込める勇者は、ただ一人。
この世で最強の女、剣菱百合子、その人であった。
「あなた達!いい加減になさい!いつまで顔を見せないつもりなの!!」
「ひぇぇ、母ちゃん!!」