雨(HAPPY DAY)

絶え間なく降り続く雨は 大都会東京をすっぽり包むよう 雨足を強めていく 剣菱が持つ超高層ビルの最上階。 その宝石を撒き散らしたような街を、今年26歳を迎える清四郎は眉を顰めつつ眺めていた。 ...

「こら。どこで道草食ってたんです?」 夕時の繁華街。 細い糸のようだった雨がどんどんと強まる中、この学園の制服で出歩いてる生徒はほとんど見かけない。 元々、送り迎えが当然の子息令嬢。 親は子を思い、籠の鳥の如く扱う。 ...

雨(聖夜の二人:微R)

いつの間に予約していたのか─── 清四郎に連れられチェックインしたそこは、都内でも三指に数えられる高級ホテル。 光の海を見下ろせる高層階スイートは、誰もが憧れる幻の部屋だった。 クリスマス仕様ということで、広い天井にはプラネタリウ...

雨(聖夜の二人)

雨に濡れた石畳。 既に上がってはいるものの、路傍の人々は寒さに肩を竦めている。 イルミネーションは眩いばかりに輝き、寒々しい夜を飾った。 そう───今日はクリスマスイブ。 冷たい風に晒されながらも、恋人達の胸は暖かい。 此処に...

雨(続・参)

今日もまた雨。 どんよりとした雲と、時折木々を揺らすほどの強い風。 美しく切り揃えられた芝生が水を弾く中、悠理は窓の桟に浅く腰掛け、人気のない中庭を見下ろしていた。 「最近、雨…………多いよなぁ」 誰へともない呟きを...

雨(続・弐)

雨はまだ止まない。 夜はどんどんと更けていく。 デート(仮)を楽しむ清四郎と、戸惑いながらもついて行く悠理。 手近な店でトンカツを存分に堪能した後、さて一体何をするのか? 商業施設から出た二人は煌びやかなネオンの中、肩を触れ...

雨(続)

雨雲は重く蔓延る。 日も暮れ落ち、辺りはすっかりネオンが瞬いているが、天気の所為か人の気配は少ない。 悠理は濡れた制服を紙袋に入れた。 飛び込んだブティックはサービスが手厚く、 水を吸い込んだ鞄も丁寧に拭き上げ、すっかり元通りの...