読み切りシリーズ(ノーマル)

恋はままならず

恋はままならず〜清四郎視点の夜〜

恋はままならず〜扉〜の続き ほんのりR作品 夢、だろうか。 ───いや、夢だとしても問題ない。 彼女の香りが鼻腔を擽り、 彼女の寝息が肌に降りかかる。 ほんのり伝わってくる体温。 絡み合う足先。 ふわりと広が...
恋はままならず

恋はままならず〜扉〜

「あらまあ!!剣菱のご令嬢じゃありませんこと?」 振り向けば、紫色のワンピースを着た少しふくよかな中年女性が目を見開きこちらを見ていた。 大ぶりのイヤリングと真珠のネックレス。化粧は年相応に濃い。 悠理は記憶を辿るも、何も...
恋はままならず

恋はままならず〜嵐〜

〜Rテイスト〜 ”いいよ“ たったそれだけの言葉で覚悟を伝えた悠理だが、心臓はドラムを鳴らすかのように激しく鼓動していた。 しかしそれは自分だけではなかったようで……… 血走った瞳で見つめてくる男もまた、触れ合う胸で...
恋はままならず

恋はままならず〜新風〜

恋はままならずシリーズ 思いの外低く鳴る出航の汽笛。 空気を震わせるその物悲しい音は、悠理の腹底にまで響いた。 そういえば昔、大型客船で旅をしたな、と思い出す。 あの時は手に入れた大金で贅沢三昧楽しん...
嘘も方便

嘘も方便(3)

嘘も方便(1)(2) 剣菱の屋敷は夜でもそれなりの輝きを放っている。 厳重な警備体制に加え、家の主による装飾が一般家庭とはかけ離れているからだ。 やたらと広い玄関アプローチには、青銅で作られた龍が淡い光を浴びながらこち...
恋はままならず

恋はままならず〜噂〜

恋はままならずシリーズ 剣菱悠理が生徒会長と交際中だって? どこから洩れたのか、そんな噂が学園内を駆け巡った。 悠理のファン、清四郎のファン、それぞれが阿鼻叫喚の様相で嘆いている。 とはいえ、彼らほど...
恋はままならず

恋はままならず〜失恋〜

檜山澄恵(ひやますみえ)は包帯に隠れた脚を見つめ、そっと溜息を吐いた。 明日にはこの白い布ともおさらばだと聞いている。 だがこの白い布のお陰で毎日のようにあの人が声をかけてくれるのだと思えば、いつまでもこのままにしておきたいと望...
恋はままならず

恋はままならず〜告知〜

週明けの通学路は普段通りの混雑を見せていて、悠理は我先に車から飛び出すと、黒髪の仲間達の肩を叩いた。 「おっす!」 「おはよう。」 「おはようございます。今日も元気ですわね。」 背後から可憐と美童もやってくる...
恋はままならず

恋はままならず〜謝罪〜

日が暮れていく──── 互いの想いを確認した二人は、静けさ漂う中、離れられずにいた。 ここは6人の部室で、普段は色恋など持ち込まぬ空間だ。 清四郎に抱きしめられ、涙をその制服にしみ込ませた悠理は、気恥ずかしさから少し身じろ...
恋はままならず

恋はままならず〜想い〜

恋はままならず〜焦り〜 ちっぽけな石を蹴ったとて、気持ちが晴れるわけでもない。 悠理が抱える悩みは、この晴れた空には不釣り合いに感じるが、 何の解決策も見出だせない自分がとことん嫌になり、もう一つの石を大き...