遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(5)

トクントクン…… 心音はそれでも穏やかだった。 悠理はどうであれ、清四郎は川の流れのように自然に近付き、赦されていない唇へ自分のものを重ねた。 それはしっとりと冷たく、足の痛みに耐える女の唇。 触れるだけの行為で...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(4)

白波が寄せては引いてを繰り返す。 流れる音楽のように。 空は突き抜けて青く、 太陽は燦々と輝いて、 その光を浴びた彼女はやはり美しかった。 「はぁ〜、今日も良い一日だったわ。思い切ってここに永住しちゃおうかしら♡ほら、肌も...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(3)

(1) (2) “安静に”と言われたとて、大人しく聞き入れるような女ではない。 せっかくのバカンス。 大好きな海は直ぐ目の前に広がっているのだ。 翌朝、芝田お手製のモーニングをたっぷり腹におさめた...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(2)

次の日もまた、島は最高の天気で六人を迎えてくれた。 魅録と悠理は紺碧の海に潜るため、チャーターしたヨットへ飛び乗る。 もちろん、芝田が手がけた大型ランチボックスを抱えて、だ。 野梨子と可憐は島にある唯一の売店を訪れ、それぞれお気に入り...
遠い島の小さな初恋物語

遠い島の小さな初恋物語(1)

時は春。 大学部の入学式も無事終わり、サークル勧誘も一段落ついた辺りの頃。 有閑倶楽部のメンバー達も新しい学び舎にすっかりと馴染み、長期連休に向け旅計画を立てていた。 「いいかげんアフリカいこーよぉ!南極でもいいからさぁ。...