憂鬱なマーメイドシリーズ

憂鬱なマーメイドシリーズ

再会編2

「なぁ………おまえ、もしかして剣菱?」 「ん?」 仲間達はそれぞれの意図を持って会場へと散らばり、夫もまた食べることに夢中となった妻を半ば呆れたように見限ったのだろう。 いつしか彼は、よそ行きの笑顔で顔見知りの間を行き来してい...
憂鬱なマーメイドシリーズ

再会編1

━━━うぅ、ちょっと窮屈だなぁ。やっぱ、もうワンサイズおっきいドレスにしたらよかったか? ターコイズブルーのタイトなドレスは、胸を強調するかのようなデザインで、むしろ少し小さめが良いと勧められ、悠理は仕方なくこれを選んだ。 ━━...
憂鬱なマーメイドシリーズ

ハバナ編

「ごめ~ん!遅くなって・・・・・」 珍しく申し訳なさそうにやってくる恋人を、ビーチパラソルの影から息をのんで見つめる。 片手で300Pの本を開きながら。 直前までグローバルマーケティングについて埋め尽くされていたはずの脳が、一瞬で...
憂鬱なマーメイドシリーズ

アメリカ編

「だから!どうしてそんな簡単に男から物を受けとるんです!?相手に期待させるということが解らない年齢ではないでしょう?」 「んなもん知るかよ!余ったからって言われて無理矢理押し付けられたんだってば!」 「ほう。予約困難な‘パティシ...
憂鬱なマーメイドシリーズ

続:憂鬱なマーメイド

「やたっ!Bカップ!」 色とりどりの下着が並ぶ売り場の片隅で、 年配のベテラン店員は慣れた手つきで悠理の胸を計測し、にこやかに微笑んだ。 「半年前に比べて3センチアップされましたね。もうBカップの商品を選んで頂けますよ。」...
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憂鬱なマーメイド

突き抜ける青空。 爽やかな潮風。 何よりも大好きな季節。 ━━━━なのにあたいの心は晴れない。 いつもなら我先に飛び込む海を眺めながら、悠理はビーチパラソルの下で砂浜に‘の’の字を書いていた。 アイスブルーのパーカーを...