innocent children(R)

「青い果実たち」の番外編のような感じです。Rなのでご注意を


季節は移ろい──
ひんやりとした秋風が吹くようになっていた。

聖プレジデント学園中等部は学園祭の準備で賑わっている。
特に生徒会長である清四郎は、クラス別で行われる出し物の調整に追われ、幾度となく会議を開いていた。
無論、副委員の剣菱悠理もその場に参加せざるを得ない。
あーだこーだ議論される中、彼女だけは詰まらなさそうにガムを噛んでいる。

ここ二週間。
秘密の恋人との触れ合いがめっきり減っている為、若い身体は疼いて仕方ない。
なのに、清四郎は学園で二人きりになっても、手を繋ぐことはおろか、キスすらしてくれないのだ。
多忙にかまけ、放置されている気がしてならない。
悠理の不満は募りに募っていた。

───なんだよ。忙しいのはわかるけど、放ったらかしかよ。

会議の内容が頭をすり抜ける中、真面目な男の横顔を見つめる。
百人中百人が、彼を初めて見たとしても、品行方正な中学生と疑うことは無いだろう。
理知的な瞳に淫蕩な雰囲気は微塵も見当たらない。

───ふん。知ってるか?此処にいる生徒会長はどエロの塊なんだぞ!?一旦その気になったら、何時間も離してくんないし、あんな事もこんな事も、口で言えないやらしい事、いっぱいしてくるんだからな。

覇気のある声で進行をつとめる清四郎。
彼をうっとりと見つめ続ける男女に、悠理は少なからず優越感を抱いていた。

本当は自分こそが特別な存在なのだと、声を大にして伝えたい。
白鹿野梨子じゃなく、この剣菱悠理が彼にとって唯一無二の存在だと───知らしめたい。

───卒業まであと四ヶ月か。指折り数えるなんて柄じゃないのにな。

悠理は声を殺して、小さく嗤った。

放課後の会議は二時間にも及んだが、無事、クラスそれぞれの出し物は決定した。
出来るだけ被らないように、そして安全性が確立したものだけを選ぶ。
心配性である教師達の許可を貰うためには当然、気を配らなくてはならないのだ。

「さて、後はこれを提出するだけだな。」

閑散とした生徒会室。
纏まった意見に満足し立ち上がった恋人は、悠理の表情を見て、思わず視線を留めた。

「どうした?」

ぶすくれた顔には明らかな不満が浮かんでいる。

「悠理?」

清四郎は窓際に座る彼女まで近付くと、覗き込むようにもう一度尋ねた。

「何を怒ってるんだ?」

「ふん!胸に手、当てて見ろよ。」

言われた通りにする男が憎らしく、悠理は思わず声を荒げる。

「本気で…………分かんないの!?」

「…………うーん………何となく解った気がするけど、それは僕の願望だしね。」

「願望?」

胸に当てていた手はゆっくりと離れ、悠理の膨らんだ頬を優しくなぞる。

「僕に触れたかった────違う?」

「そ、そうだよ!!解ってんなら何で………!?」

何でほったらかしにしたんだ!?

責める言葉を吐き出そうとした矢先、清四郎は悠理をギュッと抱きしめた。

「僕は……いや………僕も触れたくて仕方なかった。でも、悠理に触れたら最後、何もかも頭から吹っ飛んでしまうから。文化祭は生徒会長として最後の仕事だし、気を抜けなかったんだよ。」

「そ…………そんな理由?」

「そう。意外と可愛げがあるでしょう?」

言いながらも、悠理の腰を撫で回し始める清四郎に可愛げとやらは存在しない。
しかしその行為は、悠理の膨れ上がった欲望にたちまち火を灯す。

「早く終わらせて……思う存分、楽しみたいな。」

清四郎の切なげな呟きを、悠理はぎらつく目で否定した。

「あたいはもう、我慢なんか出来ないぞ!」

唾を飛ばす勢いで反論され、清四郎は驚きを隠せない。
目に見えて判る欲情を、悠理は敢えて言葉として訴えてきたのだから。

「………ほんとに?」

「うん…………」

「なら…………此処で……今すぐ脱いで下さい。」

清四郎は一旦悠理から離れ、生徒会室の鍵をかけた。
念の為電灯のスイッチも落とすと、夕暮れ時の所為もあってか、二段階ほど暗く感じる。

悠理は言われたとおり、制服のリボンをそっと解く。
息をすることすら躊躇われる瞬間。
今、自分たちがしようとしていることは中学生らしからぬ行為で、決して誰にも見られてはならない。

学園一の秀才と問題児。
その大きすぎるリスクを思い浮かべながらも、体は目の前の男を求めて疼き、もうどうしようもなかった。

ボタンを外し始めると、清四郎の喉があからさまに上下する。
先ほどまでの澄ました顔が、期待からか淫らに歪む。
互いの鼓動が聞こえるほど近くに来た時、 悠理は清四郎の学ランにそっと手をかけた。

「おまえも………脱げよ。」

「…………見つかったら、言い逃れ出来ないけど?」

「でも………あたいは、直接肌に触れたい。」

彼女が望む事を、清四郎はあたかも当然のように与える。
悠理がこんなにも興奮し、積極的に動く姿は初めてだった。
何でも言うことを聞いてやりたい───そんな風に思う。

悠理は悠理で、興奮の坩堝にどっぷりとハマっていた。
これはとてつもなく刺激的な行為だ。
さっきまで真面目な顔で話していた男の、 まだ青さを残した肌は滑らかで、その胸板は厳しい鍛錬の賜物か、適度に張りつめている。

「清四郎…………」

若さ漲る、見事な造形美にうっとりとした悠理の唇は、彼の鎖骨に恐る恐る触れると、静かに滑らせ始めた。
まるで絹の感触を楽しむかのように。

「いつになく大胆、だね。」

薄茶色の突起を尖った舌先で触れられ、清四郎は襲い来る悶えをぐっと押し殺し、伝える。

「…………欲しかったもん………ずっと………」

子供のような甘え方で訴える悠理の目尻は、ほんのりと赤く染まっていた。

ジィ…………

されるがままの状態でも、清四郎は恋人の一挙手一投足から目を放さない。
ファスナーが下ろされ、その隙間から取り出された屹立を悠理が愛しげに撫で始めても、それを凝視し、次への期待に胸を膨らませる。

「………舐めても、いい?」

「…………存分にどうぞ。」

ここ数ヶ月の間、二人はありとあらゆる性戯に溺れた。
家族の目を盗み、勉強会と称し、イケない行為に耽る。
家人が留守で家を空ける時は、ほぼ一晩中愛し合い、睦み合った。

お互い、知らないパーツはもう何もない。
欲に溺れ、好奇心のままに身体を繋げる。
子供らしからぬ、否、子供だからこその衝動。

こんなこと、誰にも言えないけれど……………

 

ピチャ………ピチャ………

子猫がミルクを舐めるように、悠理は清四郎の猛々しいイチモツを、唾液をまぶしながら愛撫した。
苦みばしった先走りを舌に感じながら、それでもしゃぶることを止めない。

「………くっ、悠理………それ………すごく良い。」

先端の割れ目に強く進入するピンク色の尖りは、器用な動きで清四郎を喘がせる。
根元に添えられた幼い手を、彼女の唾液と入り混じった己の体液が、確実に汚し始めていた。
背徳感が背中を這い回る。

「は……ぁ…………悠理………駄目だ。もう、出そう…………」

堪えられないうねりに腰を大きく振り、 喉の奥へと擦り付けるような律動が彼女の目から涙を流させた。

「んっ………ぐ………ぅ」

唐突に擡げる嗜虐性。
清四郎が腰前にある頭を掴み固定すると、苦しさからか喉の動きは激しさを増し、放出を促すよう痙攣する。

「くっ…………ぁ………出………るっ!!!」

ビュクッ……!

長く溜めこんでいた青臭い白濁は、その愛らしい口の中へ。
目が眩むほどの快感に震える清四郎は何度も腰を打ちつけ、全てを吐き出した。

最後の一滴まで吸い取られた後、ゴクン、と鳴る細い喉に目が釘付けになる。
飲精など強要した覚えはないが、悠理はそれを当たり前のように行った。

「………はぁ…はぁ………気持ち悪くないか?」

不思議と、悠理はその言葉に首を横に振る。

「美味しくはないけど………気持ち悪くもないよ?」

「…………そうか。」

自分とて、悠理の流す愛液ならいくらでも飲み干せる。
むしろ飲みきれないほど迸ればいいとすら思うのだ。

それと同じ感覚なのだろうか?

「なら、次は僕の番だ。ほら、机に乗って、足を開いて───」

タイツを脱ぎ捨てた後、悠理はその淫らな指示に従った。
スカートを極限にまでたくし上げ、両膝を立てると、コットンの真っ白い下着が露となる。
腰を屈めた清四郎はその場所へ思い切り顔を突っ込み、まずは甘酸っぱい香りをグンと吸い込んだ。

「あ………んっ!こら、変態ぃ!」

詰る声もどことなく甘い。
すっかり染みを作り始めたパンティの上から、ゆっくり、いたぶるように舌を這わせる。
唾液で濡れた布は徐々に秘裂を浮かび上がらせ、その形を明らかにしていった。

匂い立つ女の香り。
とても十五歳の濡れ方ではないだろう。

「あ………もぉ、焦らすなよぉ………」

何度もなぞられた場所からはコプリと音が聞こえるほど溢れ出している。
清四郎の人指し指がそっと布をめくれば、まだ産毛程度の恥毛しか生えていない薄い丘が姿を現した。
そしてその先にある桃色の媚肉。
固く閉じられた小さな穴に、剛直な性器が出入りするとは未だ信じられない。

唾液をまぶし、秘肉をねぶる。
ヒクヒクと脚を震わせる悠理の太股を優しく撫でさすりながら、興奮を高めてゆく。
清四郎の長い指が柔らかな肉の間に埋め込まれ、悠理は久々の異物感に腰を跳ね上げた。

「ひゃっ!!」

「痛かったか?」

「ん、ううん………だいじょぶ。」

「これ、脱がせますよ?」

するすると足から滑り落とされた下着は、すっかり濡れそぼっている。
それを敢えて悠理の目に届くような場所へ置き、彼女の身体を横たえた。

いくら下校時間が過ぎているとはいえ、何時、誰が通りがかるか解らない場所。
清四郎は軽く視線を流し、もう一度、鍵が閉まっているかどうかを確かめた。

今更、おさまりはつかない。

一度放ったはずの精は、若さ故か、すでに復活を遂げている。
硬くそそり立った肉棒を、濡れた襞に絡ませながら、彼は悠理の顔中にキスを落とした。

「避妊具は一個しかないから………」

「うん。」

「出来るだけ………長く保たせるよ。」

ズボンの後ろポケットから取り出した財布から四角い袋が現れる。
清四郎はそれを器用に噛み切ると、すっかり慣れた手付きで逞しい肉茎に被せた。

小さな胸が期待に波立つ。
触れなくても解るほどヒクついている秘孔。
皮膜越しに伝わる熱は、まるで彼の欲望そのもので───

クチュクチュと焦らすようにあてがわれた昂ぶりがようやく挿入されたとき、悠理は思わず甲高い声をあげてしまった。

「あぁあっ!!」

「こら、静かに。」

そう窘めながらも、清四郎は奥を目指し、突き進む。
ぬるぬると纏わりつく膣襞が、まるで生き物のように蠢く。
男の全てを搾り取ろうとするかのように。

亀頭がコリコリと当たる場所からは、強い快感が溢れ出す。
この肉悦からはそう簡単に抜け出せそうもない。
ツボを心得た清四郎の動きは、可憐な鳴き声を引き出すに充分な働きを見せた。

「あ………ぁ……ん!ひゃぁ………あぁ!」

汗ばむ肌からは甘さが香り立つ。
清四郎の舌が幼い乳頭を咥え、左右に揺らせば、悠理の声に更なる艶が混じりだした。

「可愛い声だ。すごく……興奮するよ。」

冷静なふりでそう評価しながらも、このシチュエーションに誰よりも昇りを覚えているのは清四郎だ。
繰り返し子宮口をつつけば、呼応するかのように蠢き、熱杭を締め付ける。
見事に収縮する胎内の悦楽。
それに抗うには、相当な忍耐を必要とした。

「くっ……………!」

清四郎は気を散らす為、頭を軽く振るが、悠理は絶頂に向け走り出しているのか、まるで蛇のように絡み付き、吐精を促す。

「はぁ………せぇしろぉ………気持ちいい……」

たった数ヶ月前まで、こんな蕩けるような顔を見せなかった悠理。
今は時として、妖婦のような艶めかしさで清四郎を誘うこともある。

「ね、一緒に…………来て………?」

あどけない声とその赤い舌に翻弄されながら、理性を覆される快感に浸る。
此処がどのような場所かも忘れ、がむしゃらに腰を振れば、瞬く間に背中を駆け抜ける恍惚感。

「はっ………ゆうり………!」

「せぇしろ………あ、あっ………すごっ……いぃ!!」

折れそうなほど細い悠理の腰を両手で掴み、激しく打ち付ける。
ガタガタと揺れ動く机を、ものともせずに。

「あっ、あっ…………あぁああぁ……っ!」

「………………くっ!!」

大きく震える体を抱きしめながら、清四郎は深く、重い絶頂を迎えた。
歓喜に戦慄く悠理はじっとりと汗ばみ、定まらぬ焦点を合わせようともしない。

久しぶりのエクスタシーはそれほど善かったのだろうか。

濡れた前髪を優しくかき上げ、清四郎の唇は甘く柔らかなキスを落とす。

「…………腰が抜けそうだ。」

「………あたいも。」

二週間ぶりの結合には物足りないけれど、それでも清四郎に求められた事で溜飲が下がった悠理は、腕を伸ばし清四郎の首に絡み付く。
しっとり汗ばんだ肌を重ねて。

「「気持ち、よかった。」」

「……………プッ!」

「ハモったね。」

同時に呟いた感想が心の満足感を表すようで、二人はじゃれ合うようにキスをして、ようやく机から身を起こした。

「とうとうヤッちゃったな。」

「これはさすがに退学もの………だね。」

「あたいはともかく、清四郎を退学にする馬鹿はいないと思うけど?」

「悠理だって。………金の卵を手放す馬鹿もいないだろ?」

ニヤッと笑う二人は姿形が違えども、同じ類の人間にしか見えない。
子供特有の無邪気さと、ずる賢さ。
共有する秘密は大きければ大きいほど愉しいものだ。

「腹減ったぁー!どっかで飯食ってこ?」

「オーケー。美味いハンバーガー屋があるんだ。そこにしよう。」

「やったね!」

残された教室には二人の甘い香りだけが漂い、沈みゆく夕日は木々の長い影を落とす。

二人は未だ十五歳。
刺激的な未来を確信しながら、一歩ずつ大人へと近付いてゆく。