※イラストと共にR注意報
「あ、やだ、も……イッちゃう………清四郎ぉ!」
切ないまでに泣き叫ぶ女を、男は容赦なく責め立てる。
断続的に痙攣を起こす身体が目に見えて紅く染まり、快感に身を浸す恋人が無我の境地に辿り着いたことを、男は知る。
ハクハクと口を開き、辛そうに瞼を落とす悠理。
美しくも凛々しい顔が、羞恥に歪む瞬間はいつ見ても艶めかしい。
無垢であったあの頃を思い出すのが困難なほど、彼女は変化し、清四郎を夢中にさせていた。
手放せない存在。
もう、決して────
力強い締め付けがようやく基準値に戻ると、清四郎はゆっくり腰を引き、ほんの少し先端を埋めたまま、結合部を見下ろした。
目が眩むほど淫靡な光景が、そこには在る。
薄皮に包まれた可憐な真珠が愛液に光り、その少し奥ではグロテスクな肉棒が薄紅色の襞をこじ開けたままでいる。
未だ幼さの残る性器は張り裂けそうなほど広がり、懸命に男を包み込む様は痛々しさすら感じるほど純粋であった。
こぼれ落ちる甘い蜜。
香り立つ汗。
大きく脚を開かせると、シーツに絵を描くほど溢れている。
「濡れすぎですよ………メイドにどんな言い訳をするつもりですか?」
この年でお漏らしとは流石に言えまい。
そんな意地悪な質問には答えぬまま、悠理は腰をくねらせ、『お代わり』を要求した。
一度達したくらいじゃ満足しない身体だ。
そういう風に作り替えたのは、もちろん清四郎である。
「今更…………構うもんか。どーせあいつら、あたいたちのことなんて、お見通しなんだから。」
事実、この部屋を清掃するメイドは二人分のタオルやバスローブ、着替えを用意していて、いつ何時でも清四郎が泊まることを想定している。
シーツにはロマンティックな薔薇の香りが染み込み、まるで新婚夫婦への気遣いそのもの。
少しでも居心地が良いように、と工夫されていた。
全て百合子の指示であることが窺い知れる。
「毎晩のようにこうして………おまえを責め立てていることも………きっとお見通しなんでしょうね。」
寝室の扉は分厚いものの、悠理の嬌声はわりと大きい。
洩れ聞こえていても、なんら不思議ではない。
「………んなの、どうでもいいから………なぁ、もっとしよ?」
強請る視線と甘い声。
女のスイッチが入ったままの悠理は、底なしに貪欲だ。
「淫乱娘め。」
入り口で遊ばせていた屹立を一気に押し込み、差し貫く。
戦慄が走るほどの激しさで。
悦びに目を見開く悠理は、柔らかな身体を跳ねさせ、清四郎の腰に脚を絡めてくる。
瑞々しい反応と喘ぎ声が迸り、記憶したエクスタシーを呼び起こすよう、自らも下半身をくねらせ、快楽を貪る。
「くっ…………」
脈打つ陰部に清四郎は呻いた。
一度達した後の悠理は、麻薬に溺れるが如き、強烈な快感をもたらす。
溢れる潤滑油が、きつく締め付ける胎内を適度に緩和し、律動をスムーズにさせるも、奥深くでは先端を吸いつくように刺激してくる為、加減が難しいのだ。
「ゆうり。………堪らない。どうしてこんなにも気持ちいいんだ、おまえは。」
「…っ…ぁ、は………あっ………んなの……知るかよ…………あたいも………おかしくなるぅ!!」
強い突き上げが、閉じられた瞼の裏に光を見せる。
断続的な収縮が繰り返される中で、清四郎の肉茎は暴れまくった。
しかし過度に敏感な内膜は更なる刺激を与え、男を果てへと巻き込もうとする。
蠢くように絡まる灼熱の粘膜。
中断出来ない快感にひたすら腰を振るしかない。
引き締まった腹筋により力を加え、清四郎は悠理を見下ろす。
彼女もまた、絶頂を迎えようとしている。
その理由は、強く閉じられた瞼から涙がこぼれ落ちているから。
───愛しい女のこんな表情は、一秒たりとも見逃せない
清四郎の抽送は一層激しいものとなった。
「あ、ぁぁ!!だめぇ………っ……!!」
「くっ、ぅっ……………」
二人の汗が吹き飛ぶ。
抗う間もなく白濁は迸り、悠理の内部を激しく打ち付けた。
細腰を掴んだ状態で、最奥へと注ぎ込まれる熱い精。
まるで所有者の証であるかのように、最後の一滴までもが脈動と共に染み込んでゆく。
同時に迎えることが出来たオーガズムは、彼らを真っ白な世界へと誘い、満たされた心と体がゆらゆらと水面を漂った。
最高の時。
悠理はうっとりと清四郎を見つめる。
「はぁ…………いい気分。」
「男(こっち)の台詞ですよ。」
「そ?」
汗だくの体をシーツに擦り付け、悠理はサイドテーブルを探った。
が、それよりも早く清四郎の手が伸び、レモンが沈む炭酸水を取る。
「ほら。」
「ん。」
ゴクッゴクッ
弾ける泡が流れ込む。
その勢いある飲みっぷりは、さっきまでの色気を感じさせない。
まるでスポーツの後のように爽やかで、それはいつもの快活な悠理でしかなかった。
だが清四郎は悠理に欲情し続けている。
細い首を流れる汗とも水ともつかぬ液体に。
マシュマロの胸を彩る紅色の痕跡に。
陶器のように滑らかな脚の間を、吐きだしたばかりの熱い刻印が零れ落ち、それらの全てが清四郎の飽くなき欲望を刺激し、彼女を支配し尽くしたい気持ちにさせるのだ。
「悠理…………」
手を伸ばした先には、恋人の火照った耳。
擽るよう弄ぶのは一つの合図だった。
「さっすがせぇしろちゃん。………回復力あるなぁ。」
そう茶化す悠理もまた、清四郎に付き合えるだけの体力を持っている。
濡れたままの肉茎が徐々に力を取り戻す中、まずは慣れ合ったキスで互いの情熱を高めてゆく。
「あーあ。シーツ、ベタベタ。」
「次はベランダで?」
「あほ。それこそ誰かに聞かれちゃうだろ!」
「結婚した後は、もう少し防音仕様に作り替えますか。」
「…………それもそうだな。」
あるようでないような羞恥心。
激しいセックスに溺れる二人は、実のところ人目など気にしていない。
気にしているのはむしろ周りの方で───
その後、メイド達からの嘆願を聞き入れた百合子は、二人の新居を敷地内に建てるよう指示した。
「これも可愛い孫のためよね。清四郎ちゃんには張り切ってもらわなくちゃ。」
全くもって、無用の心配である。