裏交渉(小話)

※悠理は魅録になら恋心を暴露出来そうかな?野梨子はどうでしょう。


「清四郎。あんた、気付いてるのか?」

「魅録こそ、気付いていますか?」

「………悠理の気持ちに。」
「野梨子の想いに。」

「「・・・・・・。」」

「いいんだな?」

「そっちこそ………いいんですね?」

「俺は、悠理にはあんたしか居ねぇって思ってる。随分と前から……」

「僕も……魅録にだったら野梨子を任せられると信じてますよ。」

「なら………遠慮なくもらっちまうぜ?」

「どうぞ。僕も悠理と結婚するつもりでいますから。」

「おいおい………ちょっと待て。気ぃ早過ぎだろ。」

「うかうかしていると逃げられてしまいそうで、怖いんですよ───」

「はは、あいつは逃げねぇよ。今は………あんたにベタ惚れだからさ。」

「魅録がそう言ってくれるなら、安心です。」

「しっかし──おまえさんが悠理をねぇ。」

「魅録こそ……。それに野梨子はこの先、かなり手強くなるタイプですよ?手一つ握らせてもらえないかもしれません。」

「ま、その辺はゆっくり構えるつもりさ。そっちこそ、あの野生児相手に手こずるんじゃないのか?」

「扱いにはそこそこ慣れているので。」

「ほぉ、お手並み拝見ってわけだな。」

「…………ご期待に添えるようがんばりますよ。」



「魅録のやつぅ!勝手にバラしやがったぞ!」

「まったく、腹立たしいですわね。」

「こうなったらとことん手こずらせてやろうぜ。」

「ええ!思い切り焦らして差しあげましょう。」

この四人がそれぞれの位置に落ち着くまで、約一年の時を必要としたそうな。

やれやれ。