彩り豊かな男(小話)

※意外と酒の影響を受ける清四郎だったりして


 

「なに?」

「………いえ、下着は着けないんですか?」

「おまえなぁ……………どの口が言うんだよ。夕べ無理矢理引き千切った誰だと思ってんだ?」

「え?あ、僕?」

「だからウォッカは飲むなっていったんだ。過去の経験上、三杯目飲んだらおまえ、絶対ドSになるだろ?」

「うーん………朧気な記憶しかありませんね。おまえのよがる顔はしっかり覚えてるんですけど。」

「ば、馬鹿やろ!んな記憶早く消せ!」

「そんな勿体ないこと出来ませんよ。しかし──そうか。そこまで酷くなりますか。でも他の酒なら問題ないんですよね?」

「え?うーん………問題はないけど、例えば日本酒だと妙に“甘え”てくるし、ワインは超上から目線の“クール”なヤツになるな。んでもって色々チャンポンしちゃうと、とことん“エロく”なる。正直、ちょっとどん引きするくらい。」

「…………本当ですか?」

「まあ、おまえ、普段真面目ぶってるから、色々抑圧されてんじゃね?んで酒飲んで解放されてるって感じ?」

「はぁ………ショックだ。これからセックスの前は………禁酒します。」

「え!?何で?」

「だって嫌……でしょう?そんな男………」

「ううん、別に。むしろ刺激的で楽しいよ。おまえ素面ん時は………すんげぇ優しいから───ほんとはもちっと乱暴でもいいと思ってたんだ。」

「…………意外と…………いや、完全にマゾですな。」

「そ、そこまでじゃないってば!」

「なら今から早速検証してみましょうか。ええ、きちんと素面で満足させてやりますよ。」

「うわっ……こらっ!あっ!ブラウスのボタンとれたぁ!!」

悠理は知らなかった。
清四郎がその気にさえなれば、酔った時よりもずっと過激になることを。

甘くて、クールで、とびきりエッチな恋人。
一粒でさまざまな味を楽しめる彼に、悠理は今日も翻弄されまくってしまうのだった。

「くそーー!何時間やってんだー!」

「ふふ。任せなさい。酒が入ってない分、疲れ知らずですよ。」

「ひぃぃぃー!死ぬぅ~!」

チャンチャン