桜色のキス(小話)

  • ※花より●△?

 

寒い?

寒くないよ。

桜………見てます?

え?うーん………あんまり。

勿体ない。こんなにも美しく咲いているのに。

んなこと言ったって………おまえが………

僕が?

ずっとあたいの前に居るじゃん。壁になってて……見えないし。

そうですね。でも僕は桜を眺める悠理が見たいので、どうしてもこんな風になってしまうんですよ。

恥ずかしいなぁ……。いくら人気(ひとけ)のない公園だからって───膝上抱っこは流石にヤバいじょ。

まあ、この体勢だとキス、したくなりますしね。

よっく言う!さっきから何回もしてるぞ!!

あっ、風だ。ほら、吹雪きますよ。

うわ………わぁ!綺麗………っんぐっ!……………な、なにすんだ!

やっぱり僕だけ見てくれなきゃ、嫌です。

なんだよ、それ……

それにこっちの桜色の方が………ずっと魅力的なんでね。

あっ……ん、こら、また………………………

僕が愛でる桜はおまえだけで充分ですよ。

うぇ………キザ………