KISS

「───そんなにもキスが好き?」

「好きですね。一日中でも出来ますよ。」

「ふん。キスだけじゃ済まないくせに。」

「そんな風にもっていくのが、男の実力なんです。」

「ケッ!なんの実力だか。だいたいどこでそんなもん身につけてきたんだよ。じっちゃんのトコじゃさすがに教えてくんないだろ?」

「止めてください。想像しただけで気持ち悪い。」

「ならどこ?」

「────秘密です。」

「やらしー。おまえって昔からスケベなんだな。美童なんか目じゃないぞ?」

「あのねぇ。そんな訳の分からない焼き餅焼かずに、キスさせてくださいよ。二日ぶりの逢瀬なんですから。」

「だって───悔しいんだもん。」

「悔しい?」

「おまえの唇…………あたいが一番に欲しかった。この手も、体も、全部。」

「……………。」

「せぇしろ?」

「参ったな…………今のは効きました。はぁ~天然はこれだから困る。」

「な、なんだよ。」

「今日は一日中、キスさせてください。」

「は?」

「僕の実力を試す相手はこの先、悠理しか居ません。おまえはそれを受け留める義務がある。」

「な、なんだ、それ!」

「要するに……僕は…………」

「…………僕は?」

「一生悠理に夢中って事です。」

「……………ちぇっ。上手いこと言って。」

──────でもまあ、誤魔化されてやるよ。

あたいだって夢中だもん。

一日中キスしたいくらいには───

一生、おまえの胸で溺れたいくらいには───