La nouvelle lune(初めての夜:R)

青い果実たちシリーズ:15歳の二人

最初は制服のリボンを解いた。

次に上衣のボタンに手を伸ばし、指が震えないよう気を配った。
彼女が協力的に腕を上げてくれたことは嬉しい誤算で・・
それが僕を受け入れてくれているという、何よりの証拠だった。
さっきの口付けよりも少し深く合わせると、悠理は小さく「んっ」と声を洩らした。
普段の少しアルト気味な声じゃなく、甘くて女の子らしい声。

いいな・・・
こんな声、きっと誰も知らない。

夢中になって唇を合わせていたら、彼女は真っ赤な顔で顔を背けようとした。
そこでようやく酸欠になっているのだと気付く。
呼吸のタイミングを上手に与えてあげないと・・・。
だけどそれはなかなか難しい。
だって少しでも離れているのは勿体ないから・・・・・

「けん・・・・・悠理、息して?」

「ぷはぁ!」

涙目で大きく息を吐き出す姿が可愛い。
可愛い・・・本当に彼女は可愛い。
普段よりもずっと華奢に感じるのは、自分の腕の下で大人しくしてくれているからだろうか。
ベッドの上に促して、スカートの裾を上げタイツを脱がし始めると、

「あ・・ちょ・・ちょっと待って!」

と、恥ずかしそうに初めてストップをかけた。

「ん?」

「脱ぐ・・・自分で、脱ぐから・・」

「いや、脱がせたいんだけど?」

「な、なんで?」

「普通は男が脱がすものだからね。」

「どこ情報だよ!」

「・・・・・。」

無言の圧力をかけたら、渋々諦めた表情を見せる。
これはさっさと脱がしにかからないと、どんどん時間がなくなりそうだ。

タイツ・・・なんて物は、こういうシチュエーションの時、非常に困難なシロモノで、
破かないよう、慎重に慎重を重ね、指を滑らせた。
そして見事な脚が現れる。
細くて綺麗な、野生のカモシカを彷彿とさせる脚。
すごく柔らかくて、滑らかな肌触りをしていた。
だが、これで思い切り男の急所を蹴り上げるのかと思えば、股間を抑えたくなる。
彼女の足技は相当なものだから。

次にスカートのホックを外し、これまたゆっくりと剥ぎ取った。
白くスポーティなパンツは彼女らしくて、でもそれに欲情してしまう自分はやはり子供なんだろうなと感じる。
制服の上が開けられたまま、同じく白いブラジャーが目に飛び込んでくる。

さあ・・・ここからが勝負だ。
そう気合いを入れ、身を起こすと、僕はルームウェアを慌ただしく脱ぎ去った。



寺から帰ってきて何よりも先に、日課であるシャワーを浴びた。
確かにこうなることを僅かながらにも期待していたが、それよりも汗臭いまま彼女の隣に座れないと思った。
念入りに身体を洗い、もちろん歯も磨く。
少しだけコロンも纏った。
その用意周到ぶりには、自分でも笑いがこみ上げる。

話は意外なほど盛り上がった。
僕の修行について、目を爛々とさせ食いついてくる姿に、ああ、本当に強くなりたいんだなと確信した。
ずっと意識してきた割には、僕が強くなっていることにちっとも気付かなかった鈍感さも露呈させつつ、
野梨子の意地悪は相当なものだった、と項垂れていた。

そんな話を淡々と続けながらも、僕はずっと彼女の唇や、首筋、うなじ、細い手首に視線を滑らせていた。
男の部屋の二人きりになるなんてこと、日常茶飯事なのだろう。
それが無性に苛ついたが、彼女の「女」としての危機感の無さが、今こうした機会を与えてくれているのだから、感謝するべきなんだろうなと改めた。
すこぶる自分勝手な理由だが・・・。

自宅にはお手伝いさんしかいない。
夕食を作り終えたら帰る手筈になっていた。
夜勤の「父」は不在。医大生の「姉」と専業主婦の「母」は共に近場の温泉旅館へと出かけている。
こんな日は・・・そう、滅多に生まれない。

用意された夕飯を食べて居るとき、彼女は遅くなるようなら電話しなきゃ、と言ってきた。
どうぞ、とスマートに促したものの、もし「帰ってこい」と言われたらどうしようと、内心ドキドキしていたんだ。
しかし驚くほどあっさり、外泊の許可が出たらしい。

「リベラル・・なんですねえ。」

「ん?リベラル?」

「お母さんとか怒らない?」

「ああ・・今更だからな。ちなみに電話の相手は五代。執事だよ。」

「ふ~ん。」

お金持ちのお嬢様だというのに、これ。
問題児たる所以がここにあるのか。

味が解らないままの夕食を終え、用意された紅茶を飲みながら再び話し始める。
ネタが尽きないのは、彼女の世界が想像よりも広かったから。
暴走族や、松竹梅魅録との出会い、喧嘩の場数、もちろんヤバい経験も多々あるらしく、自慢げにそれを語ってくれた。
もちろん僕もそれなりの経験と人間関係を築いているのだけれど、彼女の世界を知ることが最重要課題だ。

「君のおかげでうちの生徒は随分助かったよ。」

「あれは・・まあ、なんていうか、その・・・喧嘩したかっただけなんだけど。」

「うん、知ってる。」

「あ、そ。」

「でも、正義感がないと、出来ない行動も多くある。立派立派。」

「そりゃ、ども。」

頬を少しだけ染める姿。
うん・・・そろそろいい雰囲気になれそうだ。

こうして僕は覚悟を決めた。



名前を呼び合う事を決め、きちんと彼女の了承も得た。
そして今、目の前には半裸姿の「剣菱悠理」が横たわっている。
全てが夢のようだが夢で無い現実に、僕の昂ぶりは最高潮に達している。
教えられた「色即是空」なんて言葉が何の役にも立たないことを、15歳にして初めて知った。

下着を下ろし、彼女に見えないようそっと手で触れる。
ああ・・・拙いな。
これ以上、彼女に触れたらすぐにでも達ってしまいそうだ。
だが、やはり挿入して、彼女・・・悠理の中を味わいたい。
未知の感覚を全身で感じ取りたい。
グッと腰に力を込め、心に緊張を宿す。

「悠理・・・胸に触れても?」

「あ・・・うん。」

薄いブラジャーをたくし上げれば、薄いピンク色の突起を持つ、まだ未発達な幼い肉にしゃぶりつく。
こんなに小さかったら・・もしかして痛いんじゃないだろうか。
その不安が的中したのか、彼女は「うあ・・!」と小さく叫び声を上げた。

「ごめん!」

「あ・・・ううん。でも、もうちょっと優しくしろよ。」

「解った。」

掌にすっぽり収まるか弱き膨らみを、渾身の優しさで手繰り寄せ、その頂(いただき)にキスを落とす。
舌と唇を使った愛撫に、ゆっくりと悠理の緊張が解れてきているのが解ったが、僕の緊張は張り詰めたままだ。

「ん・・・あ・・・・あ・・・」

可愛い声が出始めた頃、ようやく感じてくれているのだと気付く。
胸に湧き上がる歓喜。
直結するは自らの昂ぶり。
血が滾り、自然と彼女の下腹部へ擦りつけていた。

唾液でべたべたになった上半身から、名残惜しさを感じながらも身を起こし、サイドテーブルから避妊具を取り出す。

「・・・それ、何?」

「ああ、コンドームだよ。」

「見せて!」

興味を示した彼女の行動は早く、あっという間に僕の手から包みを奪った。

「へえ・・・こんなんなんだ。」

「開けちゃダメだよ。」

「あたいがしてやろうか?」

「しなくていい!」

奪い返したソレを口に咥え、再び押し倒す。
全く・・・初心者同士、色気がないのは仕方ないが、雰囲気というものは大事だろう?

「菊・・清四郎って、ほんとに初めてなんだ・・?」

「そんな経験豊富に見えますか?」

「・・・いや、そうじゃなくて・・・」

言い淀んでいる間に封を切り、何とか装着させる。
これは前々から練習していた為、思っていたよりスムーズに行えた。

「おまえって・・・何でも事前に練習してそうだから。」

思わず吹き出しそうになったが、寸でのところで堪える。

「しませんよ。君と、悠理としたかったから・・・。」

「そ、そか。」

彼女は真っ直ぐな気持ちに慣れていないのか、いつも照れて顔を背ける。
それが可愛い。
それが彼女らしいと思う。

すべすべとした肌に口付けながら、指をようやく下着の中へ。
生暖かい感触と、ふわふわの恥毛。
初めて触れた事で、胸がドキドキと高鳴る。

「触るけど・・痛かったら言って?」

「あ、うん。」

固く閉じられた割れ目にゆっくり人差し指を差し込む。
直接見てみたい衝動がこみ上げるが、まだ早いと自分を窘(たしな)めた。

ぬる・・・

え・・?
もしや、濡れてる?

もう一度確かめる。
やはり・・・濡れている。
初めてなのに?
まさか、さっきの拙い愛撫で?

女性というものは感じないと濡れないはず。
あとは防御本能が働くとき・・らしいが、ここは前者だと信じたかった。

湧き上がる歓喜に身を任せ、僕はとうとう彼女の下着を剥ぎ取ってしまう。

「あ・・・こら!!」

「見せて・・・悠理、見たいんだ。」

大きく広げたソコは、何とも形容しがたい美しさを放つ。
花のような、貝のような・・・。
ナイトスタンドの仄かな灯りは、はっきりとした色までは表現出来ていなかったが、それは瑞々しいピンク色に感じた。

舐めて良いだろうか?
さすがにダメかな。

「舐めても良い?」

「ダメ。」

ですよね・・・と、諦めを噛み締める。

「さ、触るのはいいけど・・・」

腕を口元に当てながら告げた言葉に、僕はもちろん従った。
そっと薄い肉を開き、湿りを帯びた場所を探る。

ああ・・ここがそうなのか。
小さな穴が見つかると、ゆっくり指を挿入する。

「んっ!!」

「痛い?」

「わ、解んない。」

「もう少し挿れるよ?」

第一関節まで入れた時、彼女の身体がビクンと跳ねた。
この辺りが限界かな。
想像していたよりもずっと狭い胎内を、ゆっくりと掻き回す。
温かくて心地よい肉の寝床。

しかし・・・本当に入るのだろうか・・・。
僕のサイズが彼女を傷つけなければ良いのだが。

指に纏わり付く透明の液が徐々に増えてくる。
くちゅくちゅと卑猥な音を立てながら・・・。

ああ・・・舐めたいな。
どんな味がするか確かめたい。
でも、嫌がることはさすがに出来ないし・・・。

仕方なく抜き出した指を舌で味わう。
無味なはずのそれは、甘酸っぱく感じた。

「そろそろ・・・挿れてもいい?」

「うう・・・いいよ・・!!」

真っ赤な顔をしている照れ屋な彼女は、投げやりにそう言った。

屹立した僕自身をあてがった時、とんでもない事をしているように思い、躊躇したが、
徐々に沈めていくとそんな心配や不安はあっさりと霧散した。

気持ちよくて・・・
それは、当然経験したことがない心地よさで、この行為に溺れてしまう気持ちがよく理解出来た。

「うっ・・・」

「息を吐いてみて。きつい・・よ、悠理の中・・・」

「あ・・おまえも痛いの?」

「いや、気持ちいい。」

「・・・・そ、そか。」

彼女はふーっと息を吐き出し、涙目で見上げてくる。

可愛いな。

こんな温かな想いを彼女以外に感じたことが無い僕は、それを必死で伝えようと何度も口付けた。
じっと留まっているのも辛かったが、彼女が泣く姿は健気で可哀想に思えた為、我慢する。

次第に中が解れ、じわりじわりと愛液が溢れ出す。
痛みへの抵抗がそうさせるのだろう。

「動くよ?」

「ん。」

悠理に覆い被さりながら、ゆっくり慎重に腰を動かす。
ぞくぞくする快感が腰から背中に走り抜け、気付けば夢中で抽送を繰り返していた。

「あ・・・気持ちいい・・・悠理・・・!」

「っ・・・!!!」

声にならない声を僕の口で塞ぐ。

ああ・・もう、彼女は僕のものだ。
誰にもやらない。
あの魅録にだって・・・触れさせたくない!

「悠理・・!」

限界はすぐに訪れる。
彼女の名を強く呼びながら、胎内で解き放たれた精。
あまりの快感に、僕は突っ伏したまま、暫くその余韻に浸るほか無かった。

その後・・・

まるで理性を置き去りにしたまま彼女を貪った。

悲鳴が徐々に喘ぎ声へと変わる。
それが興奮を助長させ、僕から限界を奪い去った。

掠れた嬌声が耳元に心地よく触れる。
どれだけ吐き出しても求めてしまう稚拙な自分を、嘲る余裕すらない。

欲しかった。
彼女の隅々まで、僕の匂いで塗り替えたかった。
思い遣る余裕すら無いままに、胎内を穿ち続ける。

「あ・・せぇ・・しろ・・・・!」

舌足らずな声で切なそうに僕を呼ぶ。
それが・・限界だった。

「ゆ・・うり・・・!」

思い切り腰をぶつけ、最後の一滴まで皮膜の中へと出し尽くす。
汗に塗れた身体にしがみつき、激しい呼吸を繰り返しながら、僕はゆっくりと目を閉じた。

その後、腰が立たないという彼女を抱え、バスルームへと連れて行く。
浴槽にはお手伝いさんがきちんと湯を張ってくれていた為、そこへ二人して浸かった。
呆然としたまま、現実世界へ戻ってこない様子の悠理。
そんな彼女を後ろから抱きしめ、たくさんのキスをする。
ぬるま湯の中、汗を流し、酷使した部分を丁寧に洗うと力なくもたれかかる。
そんな珍しい姿を目に焼き付け、僕の胸は満足感に満たされていた。

この子の為になら、きっと何でもしてやれるだろう。

そんな風に思えるのは、やはり身体を繋いだから?
「一緒に大人になりません?」・・・なんて嘯(うそぶ)いた自分は、とことん素直じゃ無いと思う。

さて・・・いつ、きちんと告白しようか。

今はまだ・・・この微睡みから抜け出したくない。
彼女もきっと同じ世界を漂っているだろうから・・・。