夏本番。
二人は比較的大きなお祭りに足を運んでいた。
どうしました?人ごみに酔いましたか?
んなことない。
なら、どうしてそんなにも仏頂面なんです?
…………だって…………
ん?
おまえ────褒めてくんないんだもん。
は?
せっかく、髪とか、ちゃんとしたのにさ………。ちょっとくらい、女らしく見えない?
なんだ………そんなことですか。
そ、そんなことって………ヒドイ!
もちろん、見えてますよ。ここにいる誰よりも可愛くて、誰よりも浴衣が似合ってます。
それは言い過ぎだろ!
いいえ。言い過ぎじゃありませんよ。真実です。けれど、僕にとっては………浴衣一枚すら邪魔ですがね。
え?
おまえは裸でシーツに横たわっている時が…………一番女らしいんですから。
!!!
ああ、ムラムラしてきましたね。一刻も早く脱がせたいな。そろそろ行きましょうか?
ま………まだ………これから花火があるんだぞ?
抜かりなく。ちゃんと全てが見える場所に宿を確保していますよ。
もぉ。………手際、良すぎだろ?
当然です。さてさて、おまえをじっくり味わいながら、楽しむとしましょうかね。
(あたい………花火、見れんのかな)