ほっそりとした白い腰が震える。
背後から伸ばされた長い指先が、開かれた両脚の中心部を擽るようになぞる。
「んあっ・・・!」
充血した秘唇はすでにひたひたに濡れ、その上にある小さな真珠はぷっくりと膨れ上がっている。
清四郎はその膨らみきった愛らしい芽を優しく摘まみ、前後左右へと揺らした。
「ひゃぁあ!!やめっ!!やぁ!」
悠理は涙を溢しながら悲鳴をあげる。
男が与える容赦ない責めに、苦しみにも似た快感が身体中を走り抜ける。
「もっとよがりなさい。ほら、こんなに膨らんで可愛く主張してるでしょう?」
情感たっぷりに告げる男は、決して動きを止めようとはせず、更なる快感を与えるため、指の腹を使い擦り続けた。
そして、執拗な責めに喘ぐ女の首筋を、愛しいとばかりに舐め上げ、愛咬の痕跡を残してゆく。
「あ・・イク・・っ!!」
あまりにも強い刺激に呆気なく達すると、清四郎は再びその動きを再開させた。
痺れる様な快感がせり上がる。
喘ぎ声はもう既に掠れていた。
「ひぁっ・・・たすけ、て!」
「まだまだイけるでしょう?ここでたっぷりと覚えなさい。そうしたらちゃんと挿れてやりますから。」
そんな悪魔めいた囁きで翻弄する。
「も・・・だめっ、くるしっ!」
「力を抜けばいい。気持ち良さだけを感じるんだ。」
そろりと包皮を剥かれ、悠理は仰け反った。
「ひぃっ・・あっ!!」
清四郎の爪先がチリリとした刺激を与え、さらにとろとろと漏れ出す愛液を何度もまぶしつける。
「あぁ!せぇしろ・・・やぁ!!」
とめどない嬌声が溢れ出し、悠理はいっそのこと狂った方が楽だと感じる。
「おねがい!せぇしろ!何でも言うこと聞くからぁ・・やぁ・・ああ!!」
しかし男の指はその懇願を聞き入れぬまま、更に激しく揺さぶっていく。
小さな花芽は哀れにも赤く膨れ上がり、悠理は強制的に高みへと押し上げられた。
「っっあぁー!!」
ゆっくりと弛緩してゆく身体。
そこに伝う汗をペロリと舐め上げ、清四郎は満足そうに微笑む。
「良い声でしたよ。約束通り、次は僕のモノで啼かせてやりましょう。」
脱力した悠理は返事をすることもままならず、肩で息をしながら男を待ち受けるしかなかった。
果てなき快楽が漂う夜。
一人の女は、陥落することの深い悦びを、その身をもって知った。
二人の間に一つの変化が現れたのは、高校卒業後間もなくの事だ。
相変わらず六人は仲良くつるみ、事あるごとにその関係を深めていた。
「あたしもそろそろ本気になるわよ。」
いつも以上に気合いを感じさせる服装で、その夜の合コンに挑む可憐。
しかし珍しいことに、隣には野梨子と悠理が寄り添っていた。
「なんだおまえら。三人で合コンかよ?」
「そうなの。女の子がどうしても足りなくて、主宰者に是が非でもこの二人を連れてこいってお願いされちゃったのよ。」
その代わり目ぼしい男がいたら、二人っきりにさせてもらう密約も取り付けていた。
「野梨子はともかくよ・・・・・悠理は――」
皆まで言わずともわかる。
相変わらずマニッシュな格好をした悠理は、一見してイイ男にしか見えない。
「いいのいいの!どーせこの子は食べる専門なんだから。頭数合わせなだけよ。」
何気に酷いことを言われているが、悠理は気にも留めない。
それよりも今夜の飯が旨いかどうかにだけ神経が注がれていた。
「それに悠理が居てくれると、女の子の視線が分散されるでしょ?ほら、見た目だけは凛々しいから、この子。」
可憐の自己中心的な考え方も今さらの事。
仲間たちは静かに溜め息を吐く。
「野梨子、遅くなるようならタクシーを使いなさい。」
保護者のような気遣いを見せたのはやはり清四郎だ。
「解ってますわ。けれど二次会には参加しないつもりですの。」
「あたい、遅くなっても名輪に迎えに来てもらうから、送ってこうか?」
「あら、それなら是非ともお願いしますわ。」
「野梨子が合コンねぇ。でもさ、意外と気に入る男が見つかるかもよ?」
美童がからかいまじりで口を開く。
「清四郎も覚悟した方がいいんじゃない?野梨子がそのまま朝帰り――なんてことになったり。」
「僕がどうこう言える話ではありませんよ。確かに箱入り娘が羽目を外すのはお勧めしませんがね。」
「子供じゃありませんのよ?清四郎はわたくしを信用していないんですの!?」
「いえ、そういうわけでは――」
そんなやり取りをポカンと見つめていた悠理が、不意に口を挟む。
「清四郎のソレってさぁ、保護者として?それともヤキモチなのか?」
誰もが気になっていた質問を気軽に投げ掛ける彼女は、やはり強者(つわもの)だ。
三人は目を瞠り、続く言葉を待った。
「何が言いたいんです?保護者的観点からに決まってるでしょう!」
「いや――わかんねぇって。おまえそう言ったコト、鈍感そうじゃん?」
へらっと笑う悠理。
しかし――――
「誰が鈍感だ!!」
清四郎は珍しく声を荒げ、悠理を睨み付けた。
五人はパチクリと目を瞬かせながら、息を呑む。
「鈍感なのはどっちだ!!人の気も知らないで呑気な顔で合コンに行く女が!!」
「――――え?」
「「「「え?」」」」
頬を染めた男はふんぞり返りながら、開き直る。
「この際、言っておきましょう。特に・・・’女性に本気になれそうもない’と言った可憐!よく聞きなさい。」
「へっ?」
「僕はこれから悠理と、本気の恋愛をするつもりです!」
それは仲間達が面食らっている間、高らかに宣誓された。
が、無論悠理の預かり知らぬこと。
あまりのことに意識が飛んだままの彼女が、きっちりと捕獲されたのはそれから一週間後の事であった。
清四郎の恋は、本人も気付かぬ内に始まっていた。
いつものように宥める為の手が、性的な意味を持ち始めたのは高校三年の冬。
その薄い背中を撫でる時、さらりと下着の後をなぞる。
その羽毛のような髪に触れる時、わざと指を絡ませ手触りを堪能する。
何度、その可愛らしい耳をしゃぶり、細い首に唇を這わせ、身体を押し開きたいと思ったことか。
しかし―――
長年培ってきた自制心と強固な理性は、そう簡単に清四郎を動かそうとはしない。
――まだ早い
――もう少しだけ
――彼女が目覚めるまでは
そんな言い訳を自身に与えながら、やり過ごしてきたのだ。
だが、悠理を手にいれた今となっては、そんなストッパーも弾け飛ぶ。
渋々ながらも愛を受け入れた女は、後悔など無意味だと感じるほど清四郎に奪い尽くされていた。
・
・
・
「ひっぁ!」
舐めるように入り口を確かめる男の性器。
何度も先端を秘唇に擦り付け、つぶらな花芽をいたぶりながら、清四郎は余裕の笑みを見せる。
「ほら、何と言うんです?教えたでしょう?」
どれほど羞恥を感じていても、その言葉を言わなければ身体の飢えは満たされない。
涙に濡れた悠理は恐る恐る口を開いた。
「せ、せぇしろぉのおっきいので………あたいの中をぐちゃぐちゃに突き上げてください。」
「いいんですね?ストップは許しませんよ?」
「・・・ん。」
火照る頬を流れる涙すら熱い。
悠理はコクリと頷き、両脚をそっと広げた。
「随分と素直になりましたね。良い子です。」
ほくそ笑み、唇を舐める清四郎の赤い舌が欲情に塗れている。
本来ならあの舌で夢の世界に連れていってくれる筈なのだが・・今は何よりもこの空虚を満たして欲しくて仕方なかった。
「せぇしろぉ、早くぅ!」
「待ちきれないんですね?やらしいヤツだ。」
ズプッ……
溢れるほど濡れたその柔軟な肉壁は、何の抵抗もなく鋼のような杭を受け入れる。
「んっあ……!」
「すごいな……まるで溶岩みたいだ。」
無意識なのだろう。
適度な弾力で締めつける悠理の胎内はとろとろに溶けている。
綺麗な瞳が哀愁に彩られ、虚ろに揺れ動き、清四郎はそれにたっぷり見惚れた。
蕩けるような表情と共に・・。
「きもち……いいの?」
「ええ。良過ぎてこっちがどうにかなりそうだ。」
「―――なっていいよ?」
「・・・・素晴らしい覚悟ですね。お望み通り、無茶苦茶にしてやりましょう・・・。」
悠理の細身な身体を搔き抱くと、 快感のポイントに狙いを定め、突き上げ始める。
「あ・・・あ・・・っ・・ああ・・!」
リズミカルな中にも秘められた野蛮な動き。
清四郎の雄々しいまでの分身は、悠理を確実に啼かせ始めた。
「ああ・・・・イイぞ・・ゆうり・・・もっと、もっと感じろ・・・。」
絡み付く媚肉の感触。
得も言われぬほど甘美な柔らかさだ。
気を抜けばすぐに達してしまうだろう悠理の膣内は、素晴らしい快楽を生み出す。
「せ、せいしろぉ・・・!」
切ない光を灯す、潤んだ瞳。
その瞳に自分だけを映したい・・・永遠に。
そんな欲望を知ってか知らずか・・・悠理は清四郎を縋るように見つめた。
「可愛いですよ・・・悠理。もっと、もっと・・・僕を欲しがればいい。」
自然と揺れる腰が、悠理の欲情を示している。
清四郎はその動きに合わせ、さらに深く、奥深くを穿ち続けた。
「んぁ・・!あ・・・っ・・・あ・・・!!」
小さな胸が上下に揺れ、尖った先端に軽く口付ける。
腰を打ち付ける音が二人の間を行き来し、悠理はとうとう目の前に光の帯を感じた。
「いい・・・気持ちいい・・・せいしろぉ!!ああ・・・ん・・・・」
「もっと言え!もっとやらしい言葉を吐いて僕を興奮させろ!」
「やぁ・・・あ・・・せ、せいしろぉ・・・おかしくなるよぉ・・・も、からだ・・・溶けちゃう・・・」
「それで・・・・どうして欲しい?」
「イカせて・・・・最後まで・・・ぐちゃぐちゃにしてぇ・・・・・!!」
細い二本の脚を肩にかけ、清四郎は言葉通り大きな音を立てながら悠理を貫き続けた。
「ゆうり・・・ゆうり・・・ああ・・・いいぞ。締まってきた・・・イくんだな?」
「うん・・・うん・・・・!あ・・・っ・・・イっちゃう・・・・も・・・イくぅ・・・!!」
互いの息が限界まで上がり、繋がった部分がドクドクと脈打ち一体化する。
悠理は軽く意識を飛ばしながら、光の海へと飛び込んでいった。
はぁ・・はぁ・・・・
鍛えられた清四郎の身体は悠理に覆い被さり、その息を荒げている。
なかなかおさまりそうもない呼吸を、男は自嘲しながら整え始めた。
これほどまでの体力を使い、女を抱くなんてこと、今まで経験したことが無い。
―――悠理には全て本気でぶつかる。
愛を告げたその時から、決めていた。
そうでもしないと、この女は野生猿が如く離れてしまう。
一度植え付けた「女の悦び」を他で試されては、苦労も水の泡だ。
どんな手練手管を使っても悠理を繋ぎ止めておかなくては・・・・。
他の男になど、一ミリたりともやれるはずがないのだから――。
そんな光景を目の当たりにしたら、自分でもどう変化するか・・想像するだけでも寒気が走る。
合コンの話が出た時、灼熱に似た激情が胸を走り抜けた。
野梨子がたとえ恋人を見つけようと、それはそれ。
無論、どうしようもない男に惹かれた場合、それなりの対処をするつもりだった。
だが、万が一悠理がそうなった場合。
穏やかで居られるはずがない。
誰一人として、彼女に触れる男は許せなかったのだから・・・・。
「悠理・・・」
ゆっくりと覚醒し始めた女を、再び揺らし始める。
「せぇしろぉ・・・また・・・?」
「おまえも足りないでしょう?もっともっと気持ち良くしてあげますから・・・」
「怖いよ・・・あたい、どうにかなっちゃいそうで・・・」
「良いんです。それが僕の目的なんですから・・・。」
「目的?」
「この先、僕以外を求めるなんてこと、絶対にさせませんからね。」
ずるりと抜いた欲棒で再び突き上げる。
「あ・・・ああ・・!!」
「おまえの身体が僕の全てを受け入れるまで・・・こうして何度でも抱き続けます。」
そんな声が果たして聞こえているのだろうか?
悠理は既に悦楽の世界へと足を踏み入れ始めている。
清四郎は、細い二本の腕を自分のモノで制しながら律動を加えた。
グチュ・・グチュ・・・・
淫らな湿音が辺りに響く。
一度、中に放った精が潤滑剤となり、腰の動きも大胆なものへと変わる。
「あ・・・っ・・せいしろ・・・それ・・・・!」
「イイのか?」
声すら出せないほど快感に溺れているらしい。
悠理はコクコクと頷き、涙を流した。
「可愛いな・・・おまえは・・・・」
よほど気持ちが良いのか、悠理はそのまま頭を振り被りながら狂ったように喘ぎ声をあげる。
「あ・・・・ああ・・・!せいしろ・・・・・またイっちゃう・・・・・!」
迸(ほとばし)る愛液が二人の下半身をたっぷりと濡らし、清四郎はその心地よさを歓喜に変えた。
動きを制限されることで、マゾっ気のある女は翻弄される。
激しく振り続ける腰の逞しさをその身で感じながら、悠理はとうとう全ての羞恥から脱皮した。
「も、もっと・・・して!だめなの・・・おまえじゃなきゃダメ・・・だから・・・ぁ・・・・・おかしくしてぇ!」
「誓いますか?」
「うん・・ち・・・かう・・・・・・せいしろ以外・・・・とはぜったいに・・・しない・・・・」
『早く・・・』と懇願する姿に、ようやく清四郎の心が凪ぎ始める。
ならば・・・とことん縛ってあげましょう。
おまえの全てを――。
僕の爛れた愛で・・・・。
夢見るように嗤う男は、まるで世界を手に入れたかのような幸福に満たされる。
そして・・・・
昏く微笑む清四郎の姿を、享楽の海に漂う悠理が目にすることはなかった。