「ひっ……っん………や!」
清四郎の指がそっと開くその場所。
瑞々しい花を連想させる濃い紅色を、彼の器用過ぎる舌が妖しげにさまよう。
男の長い指が花弁を撫で、甘露を泡立てていくも、それは全て彼の口へと消えて行く。
ジュッルッ……
いつになっても耳慣れぬ湿音。
快感にのたうつ女は、男の上半身で押さえつけられたまま、その破廉恥な音を聞き続けた。
「あぁ………美味しい。」
それこそ、耳を塞ぎたくなるような台詞。
鋼のように鍛えられた熱い筋肉が、悠理の敏感な肌を優しく擦る。
「っふ……も、やだぁ!」
「どうして?おまえは此れが好きでしょう?僕に舐めて欲しくてこんなにも滴らせているんでしょう?」
「ち、ちがう………っあんん!!」
否定する間もなく、彼の口が再び嬲り始める。
膣口へと指を少し沈ませては、花弁の愛撫に戻るといった技も加えられ、 悠理の中にじりじりとした思いが積もっていった。
あぁ……もどかしい。
もっと、もっと。
気持ちよくなりたい。
自然と揺れ始める腰を清四郎の腕は、ぐっと押さえ込んだまま。
飽きること無く、蜜を舐め啜っている。
「ふふ。可愛いな。苦しいでしょう?イカせて欲しいんですよね?」
敏感すぎる芽を弄びながら、悪戯っぽく呟く男。
「く、苦しいに決まってんだろ!」
「なら……早く答えるべきですよ。」
「……………。」
「ほら、でないとこのまま悠理の気が狂うまで続けちゃいますけど?」
「っ………やっ!やぁあ!!」
ピンと弾いた肉芽に清四郎はズズッと吸い付く。
女なら誰もが抗えぬ強烈な快楽を与えるために。
縦横無尽に蠢く舌が根元から何度も這い上がり、チュパチュパと吸われ、噛まれ、尖らせて行く。
「ひぃぃぃ……んんんんっ!!」
悠理は呆気なく絶頂に辿り着いたが、それで済ます男ではなかった。
「まだまだ……ですよ。いっそ、本当に狂ってみますか?僕はそれでもおまえを可愛がる自信はありますけどね?」
言い終わるや否や、その長い舌は彼女の秘裂から溢れる蜜を啜り、再び真っ赤に充血した小さな核へと触れる。
「も、もぉ、やぁだぁ!!」
「なら、答えなさい。」
カリリ………
彼の白い歯が、甘く鋭く、ソレを噛む。
「……する。するよぉ!おまえと結婚でも何でもするからぁーー!許してよぉ!」
「約束ですよ。」
満足そうに微笑んだ清四郎は、すっくと身を起こし、手早くベルトを外す。
ファスナーを下ろす手は焦りを見せず、しかし布から飛び出した肉茎は先走りが零れ、不遜に聳え立っていた。
「今、挿れてやりますからね。」
喉を鳴らしながら、ツプッと音を立て沈ませて行く。
絡み付く柔らかな肉襞が、理性的な彼を侵食するのはいつものこと。
「………あっ、あっ、せ、せぇしろ………硬い……」
「当然です。おまえを抉じ開けたくて仕方なかった。僕にとってもかなり辛い状況だったんですよ?」
そう切なく言い終わると、強靭な腰を躊躇うことなく繰り出し始めた。
「あっ………ん、あっあっ………」
「やっと………おまえが………僕のものになると………決心したんだ。このまま………子供でも作りましょうか?」
「う、うそ!?」
「嘘………ですよ。でもいつかは………」
本音を交えながらの律動は激しさを増す。
悠理の愛液がしとどに飛び散り、シーツに大きな絵を描くも、彼は恍惚とした表情で胎内を掻き回し続けた。
「ひっあ………中、な、なか………すごぃぃ!」
「悠理、中だけでイク?」
「ん、ぅん!イク………イクから!!清四郎!キスしてぇ!」
絶叫の懇願を塞いだのはもちろん彼の唇で。
悠理は恋人の舌に吸い付きながら、何度も襲い来るハレーションに耐えた。
━━━はぁはぁ・・・
「………卑怯もん!」
息も絶え絶えに、悠理は恋人の腰をつねる。
「………そうですか?三年も付き合っているのに、いつまでも『結婚』の二文字から逃げるおまえが悪いんでしょう?」
「だって………まだ、遊びたいんだもん。」
ぷぅと膨らむ頬を、清四郎の指が小突く。
「遊ばせてやりますよ。もちろん社会勉強もこなしながら、ね。そうして少しずつ、僕の奥さんになっていってくれればいい。」
「…………ほんと?前みたいに急かさない?」
「ええ。おまえに逃げられては今度こそ再起不能ですから。」
そんな女殺しの台詞がさらりと口から飛び出せば、悠理の胸が疼くのも当然。
「こいつぅ、可愛いこと言ってぇ。」
気怠い身体で腰へと跨がった彼女は、チュチュと可愛いキスを胸板に落としながら、清四郎を見下ろす。
「………なら、いいじょ。結婚しよっ。」
「ありがとう。………御礼に、今夜はたっぷり気絶させてあげますね。」
「!!!」
したり顔の恋人にしてやられたけれど、悠理は不思議と幸せな気分でその申し出を受け止めた。