冷静を装う男

 

シティホテルの一室。

黒髪の男はとても静かな目で女を見つめていた。

何故、そんなにも冷静でいられるのか。

それは得意のポーカーフェイスがあまりにも崩れないからである。

「あ・・・・せぇしろ・・・・・恥ずかしいよぉ」

女は哀しげな声で啼く。

いつもの怒声も、いつものほがらかさも、全て押し殺して。

「まだ・・・足りないんじゃないですか?もっと指を深く挿れないと。僕のモノはキツいでしょう?」

「いっぱいシタじゃん・・・ほら・・こんなに・・・・」

愛液塗れでトロトロになった指が、柔らかな粘膜から静かに抜き出される。

それは普段の彼女からは考えられないほどの痴態。

かれこれ1時間は、自分で自分を慰め続けている。

もう、何度イッたかすら覚えてはいないだろう。

ひくつく身体は汗で濡れそぼり、愛らしい口元からは下同様、唾液がこぼれ落ちている。

空洞となった蜜壺は、猛烈に男を求め、貪欲に震える。

男はその懇願を一笑したが、さすがにこれ以上、自分自身、待てなかった。

「良いでしょう・・・ちゃんと、埋めてやりますよ。」

取り出した凶暴な肉茎は猛々しく反り返っている。

~まずはどうしてやろうか~

ニッと口端を上げるも、胸は高鳴り、自然と汗が滲む。

「せぇしろ・・・・・スキ。」

可愛い言葉で誘われ、最早我慢も限界だ。

「僕も・・・・・・・・・・・愛してる。」

意地の悪い男がケダモノとなる瞬間、悠理は最高の歓びでそれを迎えた。